インドのパンといえば、カレーと一緒に食べる有名なナンを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。実はインドには、ナンのほかにもさまざまな種類のパンがあります。この記事では、インドのパンにはどのような特徴や種類があるのか、また作り方のポイントについてご紹介します。
◎インドのパンの特徴
インドのパンは、日本のパンのようなふっくらとした形のものより、ナンのように平らな形をしているものが一般的です。インドには酵母を使用しない無発酵のパンが多く存在しており、生地を膨らませずに焼き上げるため平たいパンに仕上がります。インドでは、パン自体の味や風味を楽しむよりもカレーやチャツネなどを包んで食べるのが主流であるため、伸ばした生地を焼いてすぐに食べるという習慣があります。
インドのパンに使われる小麦粉には、全粒粉のアタと中力粉にあたるマイダの2種類があります。南インドでは、パンよりも米が主食とされているため、米粉や豆粉を使用したパンの種類も豊富です。また、パンを主食とする北インドは小麦の栽培が盛んで、全粒粉を使用した無発酵のパンが親しまれています。精製された小麦粉は高級品のため、家庭でパンを作る際は全粒粉が使われることがほとんどです。
インドを代表するパンであるナンは、インドだけでなくパキスタンやイランなど、中央アジアの広い地域で食べられています。ナンの起源は約7000~8000年ほど前とされており、世界で最初に作られたパンともいわれています。そんな古い歴史をもつナンは、楕円形に伸ばした生地をタンドールという壺型の窯の内側に貼りつけて焼き上げるという、特徴的な製法が用いられています。そのため、ナンはインドにおいて高級なパンとされており、外食や祝儀の際に食べるのが一般的です。日本では、インドのパンといえばナンというイメージがありますが、実は日常的に食べられているのは無発酵のチャパティというパンになります。チャパティは専用の窯を必要とせず、無発酵で気軽に作ることができるため、インドの家庭では朝昼晩と食卓に並ぶこともめずらしくないのです。
◎代表的なインドのパンの種類
ナンは、日本でもカレーのおともとしておなじみのパンです。壺型のタンドールという窯に貼りつけて焼き上げる平たいパンで、その特殊な製法から本場インドでも家庭ではなくおもに外食先で食べられています。生地の表面はパリパリとしており、なかは気泡をたっぷりと含んでいるためもちもちとした食感が特徴です。
チャパティは、ナンと同様に平たい形をしていますが、発酵させずに鉄板で焼き上げます。ナンよりも薄くカリッとした食感で、カレーなどの料理をのせて食べるのに適しています。インドのピザとも呼ばれているのが、クルチャというパンです。クルチャは、ナンの生地のなかにチーズやオニオンなどの具材を入れて焼き上げた総菜パンになります。丸くて平たい形をしており、飲食店ではピザのように食べやすく切り分けて提供されます。
プーリーは、全粒粉と水を混ぜ合わせた生地を平たく伸ばし、焼かずに油で揚げたパンです。油のなかで風船のように大きく膨らみ、油から上げてもしぼむことはありません。クリスピーな食感が特徴で、カレーやスープとも好相性よく、なかの空洞にソースを流し込んで楽しむこともできます。
◎インドのパン作りのポイント
タンドール窯がない家庭でも、オーブンまたはフライパンを使用して手作りのナンを楽しむことができます。ナンのおもな材料は、中力粉、砂糖、塩、ドライイースト、牛乳、卵、ヨーグルト、水、溶かしバターです。中力粉がない場合は、強力粉と薄力粉を1:1の割合で混ぜることで代用可能です。オーブンを使用して焼く場合は、天板ごと300℃~最高温度にしっかりと予熱しておきましょう。
ボウルに溶かしバター以外の材料をすべて入れ、よく混ぜ合わせます。生地がまとまったら、溶かしバターを加えてさらに混ぜましょう。全体にバターがなじんだらひとまとめにし、こね台に出して生地がなめらかになるまで15~20分ほどよくこねます。こね台に生地をすりつけるようにしてこねるのがポイントです。こねあがった生地を丸めてボウルに入れ、乾燥しないようラップをかけて室温で30分~1時間程度発酵させます。生地が2倍ほどに膨らめば、発酵完了の合図です。
発酵させた生地は打ち粉をふるった台に取り出し、スケッパーなどで4等分にしましょう。分けた生地をそれぞれきれいに丸めて、ラップかよく絞った濡れ布巾をかけて30分ほど休ませます。休ませた生地に軽く打ち粉をまぶし、片手で持った生地を反対の手のひらに打ちつけるようにして伸ばします。生地がある程度伸びたらこね台にのせ、手のひらや綿棒を使って平らになるようさらに伸ばしていきましょう。伸ばしたとき、生地の厚みは均等にならなくても問題ありません。
オーブンを使用して焼成する場合は、成形した生地をオーブンシートに移し、予熱したオーブンの天板にシートごとのせます。3~5分ほどこんがりとした焼き色がつくまで焼き上げ、仕上げとして生地の表面に刷毛で溶かしバターを塗りましょう。フライパンを使用して焼く場合は、薄く油をひいて中火にかけておきます。成形した生地をあたためたフライパンにのせ、蓋をして中火で20~30秒焼きましょう。蓋をしたまま、さらに弱火で1分半~2分ほど焼きます。生地が膨らんで焼き色がついたら裏返し、1分ほど蓋をして焼いたら完成です。焼き上がったら、お好みで表面に溶かしバターを塗りましょう。ナンは焼き立てが1番おいしいとされているため、熱いうちにカレーなどにつけて食べるのがおすすめです。
◎まとめ
インドのパンは平たい形のものが多く、カレーなどほかの料理と一緒に食べることでおいしさが増します。工夫次第では家庭でも本格的なインドのパンが楽しめるので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などの一連の業務を行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問い合わせください。