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おいしいパンには冷却が必要!製パン機械ブレッドクーラーの役割

2024年7月30日
パンは焼き立てが1番おいしいといわれていますが、実は焼き上がったあとに冷却することでおいしさが増すことをご存知でしょうか。この記事では、パンを冷却する際のポイントや、製パン工場で使われているブレッドクーラーについてご紹介します。
◎焼き上がったパンを冷却する理由
焼き立てのパンは余分な水分が多いため、粘りがあって口どけが悪く、せっかくの小麦の風味も感じにくい状態です。また、焼き立てのパンは非常に高温なので、おいしそうだからと冷却せずに食べてしまうと、口のなかを火傷する可能性もあります。しかし、総菜パンなど冷却しないほうがおいしいパンもありますので、レシピによって適切に対応しましょう。
 
焼き上がったパンを十分に冷却することで不要な水分が蒸発し、ふんわりとした食感に仕上がります。水分とともにアルコールも抜けていくため、気になるイースト臭がなくなり、パン本来の味わいを楽しむことができます。焼き上がったパンの水分は生地の中心に集まっているため、外側は固く中心はやわらかいという、食感の偏りが生じます。冷却しているあいだに、水分がじっくりとパン全体に行きわたり、偏りが解消されてバランスのよい食感になります。焼き立てのパンは、高温で蒸気を帯びているので、焼き上がってからすぐに袋などに入れて保存しようとすると、袋のなかに結露が発生してパンが傷んでしまいます。パンは、湿気の多い環境に弱いため、保存する場合はしっかりと冷却してから袋に入れましょう。
 
焼き立てで水分を多く含んだパンは、クラストが安定しておらず非常にやわらかいため、カットしようとすると腰折れを起こしてしまいます。また、ナイフがパンにうまく入っていかず、きれいにカットすることは困難です。切り分ける際は、冷却してクラストが安定してからカットするようにしてください。おいしいパンを楽しむためには、しっかりと冷却することが重要です。

焼き上がったパンを冷却する理由
◎パンを冷却するときのポイント
パンが焼き上がったら、すぐに天板や型から取り出しましょう。焼き上がった状態のまま長時間放置すると、天板や型とパンのあいだに蒸気がこもってしまいます。蒸気で湿ったパンを冷却すると、固くなってしまうだけでなくカビなどの雑菌が発生する原因にもなります。せっかくのおいしさが損なわれてしまうため、通気性のよい清潔な環境で冷却することが大切です。型に入れて焼き上げるパンの場合は、取り出す前に型の側面を叩いたり、型ごと上から落としたりしてパンにショックを与えるのがポイントです。ショックを与えることで、水分が早く抜けるだけでなく、型からきれいに外しやすくなります。
 
取り出したパンは、必ず通気性のよいケーキクーラーや金網に乗せて冷却してください。冷却時間は、食パンなどの大型パンで約1時間、バターロールなどの小型パンで約20分程度が目安です。指でさわって、ほんのりあたたかいと感じる温度まで冷却してください。室内の温度を下げたり、冷蔵庫に入れたりする必要はありません。急速に冷却すると縮みや劣化につながるため、常温でゆっくりと熱や水分が抜けていくのを待ちましょう。
 
冷却後はパンを袋に入れて、ふんわりと空気を含ませるようにして口を縛ってください。30分ほど経過すると、袋のなかにうっすらと水滴が発生しますが、徐々に消えていきます。冷却したパンをそのままケーキクーラーや金網にのせておくと、必要な水分まで抜けて乾燥してしまうため、常温になったら袋に入れるひと手間が大切です。こうすることで、適度に水分を含んだしっとりとした食感のパンに仕上がります。ただし、袋と接するようにパンを入れると、水滴がついて湿ってしまうため、注意が必要です。
 
冷却後、すぐに食べる場合は常温保存で問題ありませんが、3日以内に食べきれない場合は、冷凍保存してなるべく早めに食べきりましょう。また、パンを冷蔵保存するとグルテンの老化を促してしまうため、アレンジにフルーツやハムなどを使用した場合を除いて、避けたほうがよいでしょう。パンの冷却は、通気性のよいケーキクーラーや金網を使用し、湿気や乾燥に注意しながらゆっくりと行うことがポイントです。

パンを冷却するときのポイント
◎製パン工場で使われているブレッドクーラー
製パン工場では、焼き上がったパンの冷却にブレッドクーラーやクーリングコンベアという製パン機械が使用されています。
クーリングコンベアは、焼き上がったパンをオーブンの出口まで運ぶあいだに冷却させる製パン機械です。パンを冷却しながら加工や包装の工程まで運べるというメリットがありますが、一方でデッドスペースである天井付近を周回していることから、工場内の温度が必要以上に上がってしまうというデメリットがあります。
 
そのため、近年ではクーリングコンベアに替わって、ほとんどの製パン工場でブレッドクーラーが導入されました。ブレッドクーラーは、大きな部屋のなかにパンを冷却するためのタワーが設置されており、焼き上がったパンはベルトコンベアにのせられて次々とブレッドクーラーまで運ばれてきます。
 
ブレッドクーラーに設置されているタワーのほとんどはスパイラル状などの円形で、何段にもなったコンベアが回転しながらパンを冷却する仕組みになっています。急速に冷却させるとパンが傷んでしまうので、ブレッドクーラーに運ばれたパンは1時間半ほどかけてゆっくりと冷却されています。そのため、ブレッドクーラーのなかは冷却に適した常温に保たれています。ブレッドクーラーを使用してパンを冷却すれば、工場内の温度が上がりすぎることもなく、パンの製造にふさわしい環境を保つことができるのです。

製パン工場で使われているブレッドクーラー
◎まとめ
パン本来のおいしさを楽しむためには、通気性のよい環境での冷却が欠かせません。製パン工場では、ブレッドクーラーという製パン機械が冷却の役割を担っています。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械の開発や販売を行っております。製パン機械についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問合せください。
 
おいしいパンには冷却が必要!製パン機械ブレッドクーラーの役割