世界屈指のサッカー強豪国・ブラジル。中南米最大の国土をもつブラジルのグルメといえば、シュラスコを代表とする肉料理です。そんなブラジルでは朝食に焼き立てのパンを食べる習慣があり、人々にとってパンは身近な存在といえます。この記事では、ブラジルのパンにはどのような特徴や種類があるのか、作り方のポイントについてもご紹介します。
◎ブラジルのパンの特徴
ブラジルにパンが伝わったのは、ポルトガルの植民地だった19世紀ごろといわれています。ポルトガルから作り方が伝わったパンですが、主材料である小麦粉は主に輸入品が使用されていたため、港から遠い内陸部では貴重なものだったそうです。ブラジルの国土は小麦の栽培に適しておらず、とくに北部は干ばつしているため、小麦栽培のほとんどは南部で行われていました。しかし収穫できる小麦の量は多くなく、代わりにキャッサバ粉などを使用したパンが作られていました。
現在は、主食である米や豆と並んで、パンも普及しています。ブラジルでのパンの年間消費量は、1人あたり33kgともいわれており、これは食パンにすると約97斤分に相当します。主に無発酵のパンが作られていたブラジルですが、実は日常的に食べられているのはパン・フランセースと呼ばれるフランスパンです。フランスパンといっても、正確にはフランスではなくメキシコから広まったパンといわれています。1860年代にメキシコ皇帝・マクシミリアンが即位した際、パン・フランセースは料理人たちによってメキシコに持ち込まれ、メキシコのみならず中央アメリカで広く食べられるようになりました。
パン・フランセースは、和訳するとフランスのパンという意味ですが、そのサイズは私たちがイメージするフランスパンよりも小さく、外はカリカリ、中はふんわりとした食感が特徴です。おもにバターやマーガリンを添えたり、サンドイッチにしたりして、コーヒーとともに楽しむのが定番となっています。パン・フランセースはブラジル人に深く愛されており、焼き色や食感、見た目、香り、味、弾力性など、細かい規定が設けられています。これらの規定をクリアしたものだけが、パン・フランセースと呼ばれるのです。おもに朝食として食べられるパン・フランセースですが、間食や夕食としても食べられているため、ブラジルでは1年に約170万個ものパン・フランセースが消費されています。
◎代表的なブラジルのパンの種類
ブラジル発祥のパンといえば、ポン・デ・ケージョ。もちもちと食感が楽しいひと口サイズのチーズパンです。小麦粉の代わりにキャッサバ芋から作られるタピオカ粉を使用しているため、独特の弾力があります。酵母やベーキングパウダーを使用せず、無発酵で作られるのが特徴です。ポン・デ・ケージョはブラジルの家庭でもよく作られており、家庭によって作り方や味に違いがあるといわれています。
ふっくらとした食感のパン・フランセースは、メキシコ由来のソフトフランスパンで、ブラジルの食卓の定番です。主に朝食として食べられるため、ブラジルのパン屋には毎朝焼き立てのパン・フランセースを求めて多くの人が訪れるといいます。切り込みを入れてハムやチーズなどを挟み、サンドイッチにするのが一般的な食べ方です。
生地にひき肉を包んで焼き上げるブラジルの代表的な総菜パンがエスフィーハです。ひき肉を包んだ生地を三角形に成形して焼き上げたエスフィーハ・フェシャーダが一般的ですが、具材をピザのようにトッピングして包まず焼き上げたエスフィーハ・アベルタも親しまれています。おもに軽食として食べられているエスフィーハは、焼き立てがもっともおいしいとされています。
◎ブラジルのパン作りのポイント
ブラジル発祥のパンであるポン・デ・ケージョは、もっちりとした弾力とチーズの香りが特徴です。発酵不要なことから短時間で作れるため、パン作りの初心者さんや子どもと一緒に作るのもおすすめです。ポン・デ・ケージョの主な材料は、タピオカ粉、卵、牛乳、水、オリーブオイル、塩、粉チーズです。タピオカ粉がない場合は、白玉粉と小麦粉を混ぜて代用することができます。
まずは、天板にクッキングシートを敷き、オーブンを180℃に予熱しておきましょう。小鍋に牛乳、水、オリーブオイルを入れて、沸騰する直前まで火にかけます。温まったら火を止め、タピオカ粉を加えてヘラでよく混ぜます。固くなりすぎるようなら、少しずつ水を足し、耳たぶくらいの固さになるまで続けてください。ある程度生地がまとまったら、生地をボウルに移し、卵、塩、粉チーズを加えて、ダマがなくなるまでよく混ぜ合わせましょう。材料が完全に混ざったらこね台に移し、表面がなめらかになるまでよくこねます。こねあがった生地は乾燥しないようラップに包んで、冷蔵庫で少し寝かせておくと成形しやすくなります。寝かせた生地をピンポン玉大になるよう分割して丸め、天板に並べます。予熱しておいたオーブンで20分ほど焼き、うっすらと焼き色がつけば完成です。
ポン・デ・ケージョは冷めると固くなってしまうため、焼き立てが1番の食べごろです。そのままでも十分おいしいですが、ジャムをつけたり切り込みを入れてサンドイッチとして食べるのもおすすめです。もし冷めてしまった場合は、トースターで軽く熱を与えると、弾力を損なうことなく温め直すことができます。冷凍保存も可能なため、1度にたくさん作って冷凍しておくと、いつでも気軽においしいポン・デ・ケージョが楽しめます。
◎まとめ
パンは、ブラジルの家庭において毎日の食卓に欠かせない存在です。とくに無発酵で気軽に作れるポン・デ・ケージョは、ブラジルでは家庭の味のように親しまれています。思い立ったときに短時間で作れるブラジルのパン作りを、ぜひ家庭で楽しんでみてはいかがでしょうか。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などを行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問い合わせください。