パン生地は、気温や水分量、発酵時間など変化に敏感なので、パン作りがうまくいかないときがあります。ですが、失敗したからといって捨ててしまうのは食品ロスにもなります。この記事では、ゆるすぎたり発酵しすぎたパン生地を、蒸しパンやピザ、ドーナツなどにリメイクできる方法をご紹介します。
◎よくあるパン生地作りのトラブル
よくあるパン生地作りのトラブルには、軽量ミスによって粉っぽくなったり水っぽくなる、ミスキング不足で少し膨らみが弱くなってしまうことがあげられます。ほかにも、捏ね上げ温度が高すぎて生地が粗くなったり、発酵がうまくできない、反対に発酵しすぎてしまうといった失敗もありがちです。
トラブルのなかでも多いのが過発酵で、発酵時間が長すぎたりパン生地の温度が高すぎることが原因になります。とくに気温が高い夏は、パン生地の過発酵が起きやすいので注意が必要です。パン生地の温度管理は難しいため、気が付かないうちに過発酵となってしまう場合もあります。生地が伸びすぎてつぶれやすくなっていたり、ツンとした酸っぱい香りがすると、過発酵になっている可能性があります。
また、パン生地の一次発酵後に行うガス抜きの際に「プチプチ」といった気泡が弾ける音がしない場合も、過発酵を見極めるポイントとなります。このようなトラブルによって失敗してしまったパン生地でも、さまざまなリメイク方法でパン生地をアレンジして使えます。
◎ゆるすぎたパン生地のリメイク方法
パン生地がゆるすぎた場合、慣れた人であれば粉を足して硬さを戻せるかもしれませんが、それが難しい場合でもリメイクできます。まず、手軽に作れるのが蒸しパンです。生地を型に流し、総菜系ならベーコンやチーズ、お菓子系ならチョコやレーズンを加えてアレンジもできます。蒸し器に水を入れて沸騰させ、蒸し目皿の上に並べて蓋をして強火で13分ほど蒸すだけで簡単にできます。
クッキングシートを敷いた天板に生地を流し込んで作るピザも、生地をリメイクできます。オーブンを180度に予熱し、ピザソースやケチャップ、玉ねぎ、ハム、コーン、マヨネーズなどをトッピングします。25分から30分ほど焼けば完成です。生地がゆるすぎて流れ出てしまうようなら、粉を少し足しましょう。
ワッフルメーカーがある家庭であれば簡単にできるのがワッフルです。生地をスプーンですくい、ワッフルメーカーに入れて5分から6分ほど焼きます。チョコレートやナッツなどを添えてアレンジできます。小さい子どもがいる家庭では、ホットケーキにリメイクするのもおすすめです。生地をフライパンに流して低温でじっくり焼けば、できあがります。甘みが欲しければ、砂糖を足したり焼いた後にチョコレートやはちみつをかけたりして楽しめます。
おやつの時間にもぴったりなのが、ひとくちドーナツです。そのまま揚げると甘くないドーナツになるので、甘さが欲しい場合は揚げたあとに、はちみつやシュガーをトッピングしてください。スプーンでパン生地をすくい、もうひとつのスプーンで熱した油のなかに落とします。ひっくり返しながらこんがり色になったらザルに取り、油を切って完成です。
◎発酵しすぎたパン生地のリメイク方法
過発酵したパン生地は、ゆるくなってしまい扱いにくくなります。発酵が足りなければ発酵時間を足せばよいのですが、発酵しすぎたパン生地はもとに戻すことができません。リメイクする際は、膨らまなくてもいいパンにアレンジすることがポイントです。
前述したピザのほかにナンもおすすめです。油を敷いたフライパンに伸ばしたパン生地を入れ、弱火から中火で両面焼きます。片面3分ほど焼くと完成なので、比較的短時間で作ることができます。カルツォーネは、パン生地を丸くのし棒で伸ばし、スライスチーズやトマトケチャップ、マヨネーズ、玉ねぎ、ウインナーなど好みの具をのせて半分に折ります。フォークの背などをとじ目に押し付けて、焼いたときに中身がでないようにしっかりとじます。
ハケで溶き卵を塗ってから、きれいな焼き色になるまで焼きます。180℃に予熱したオーブンで20〜30分ほど焼いてください。朝ごはんにもぴったりのベーグルは、発酵させて膨らまなかったパン生地でも、もちもちのベーグルに生まれ変わります。パン生地を小さなこぶし大に分けて、20分ほど休ませます。次に、水と砂糖やはちみつを鍋に入れて沸騰させ、丸めたパン生地を入れて片面30秒ほど茹でます。さらに裏返して30秒ほど茹でたら、180℃に予熱したオーブンで15分ほど焼いて完成です。
◎失敗して余ったパン生地の保存方法
余ったパン生地をまとめてリメイクできないときは、冷凍庫か冷蔵庫で保存できます。冷凍庫であれば1か月ほど保存可能です。生地ごとラップに包んで保存する方法とパン生地を成形してから保存する方法があります。成型したパン生地は、ひと晩ほど冷凍してからファスナー付きの保存袋に移します。
解凍後、手間をかけずに食べたい場合は、成形してから冷凍するのがおすすめです。解凍する際は、冷蔵解凍か自然解凍、レンジ解凍のどれでも解凍できます。冷蔵庫であれば8時間、常温であれば1から2時間程度置き、電子レンジは弱めの温度設定で20〜30秒くらい加熱し、様子を見ながら少しずつ解凍してください。冷蔵庫で保存する場合は、夏場は1日から2日、冬場は1週間程度保存可能です。
余ったパン生地を保存する際の注意点は、パン生地を乾燥させないことです。濡れ布巾やラップをかけて乾燥を防いでおくと、異物混入も防げます。またパン生地を保存する際には、温度管理も大切です。パン生地は4℃以下で発酵が止まり、10℃以上だと発酵しすぎてしまいます。冷凍庫や冷蔵庫に多くの物が入っていたり、開け閉めを頻繁にしたりすると庫内温度が変わってしまうので注意が必要です。
解凍させるときに気を付けなければならないのは、パン生地の中心までしっかり常温になるまで解凍させることです。パン生地が均一に解凍されないと、焼く際にムラがでてしまい、焼き上がりに影響がでる可能性があります。
◎まとめ
パン生地がゆるすぎた場合、蒸しパンやピザ、ワッフルやドーナツなどにリメイクできます。発酵しすぎた場合でも、膨らまなくても大丈夫なナンやカルツォーネ、ベーグルに生まれ変わります。さまざまなリメイク方法を活用して、失敗したときでも前向きにパン作りを楽しみましょう。
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