冬のパン作りでも適切な温度管理を可能にするプルファーの重要性
◎冬のパン作りにおける温度管理の難しさ
外気温が低くなる冬は、パン作りの温度管理が難しい傾向にあります。パンは適切な状態を保持できなければ、ふんわりと美味しく焼き上がりません。食感や香りなどの重要な要素となるのが発酵となり、この工程は生地の温度に左右されます。発酵とは、イーストが生地の糖分を二酸化炭素とアルコールに分解して、エネルギーを作り出す活動です。イーストの活動環境を整えることが大切で、適切な温度は32~35℃になります。パン生地が20℃以下の状態では、イーストの活動は低下してしまいます。そのため、生地を捏ね上げたときの温度が高かったり低かったりすると、発酵速度は変わってしまうのです。
冬のように気温が低い環境では、発酵に長い時間を要すため、室温は25℃程度に設定するとよいでしょう。最適な環境作りが難しいときは、オーブンの発酵機能を利用した生地温めをおすすめします。生地を管理する際は、捏ね上げたときだけでなく、成形などの工程でも冷えてしまわないように注意が必要です。とくに分割丸め後の状態は、小さい分室温の影響をまともに受けるため、内部温度を測定し確認する作業が大切です。
パン生地の温度は、発酵だけでなくやわらかさにも影響します。高いと生地の分子が不安定になり、やわらかくなるのです。一方、低いと安定し固くなるため、ハード系はその特性を利用して捏ね上げ温度を低めにします。その結果、歯切れのよい食感が生まれるのです。たとえば、バターロールは温度が低い状態で発酵させると、生地の分子が安定して固くなります。ゆっくりと発酵させることで巻き目がきれいに焼き上がるので、覚えておくとよいでしょう。パンの種類や作業工程によって適切な生地温度が異なる点は、認識しておくことが必要です。

◎温度が低い冬の時期にパンを発酵させるポイント
温度管理は、パンの味や香りを決める発酵時間に影響し品質に関わりますが、冬は気温が低くなり発酵を促すことは難しい作業です。室温が適正でも材料や使用する道具が冷えていれば、生地内部は冷たくなってしまいます。準備する際は、作業台が冷えすぎていないかを確認したり、仕込み水にお湯を足して温めたりと細かな配慮が必要です。策を講じても、うまくいかない場合に備えて、パン生地を温める発酵の促進方法を知っておくと役立つでしょう。
方法としては、あらかじめ温めておいた発酵器に入れたり、オーブンの発酵機能を使用します。最終発酵であれば、焼成にむけてオーブンを温めている間に、上のスペースへ生地をのせても発酵促進できます。パン生地に濡れた布巾をかぶせて湿度を保ち、オーブンの上に網などをのせて置いておきます。一次発酵と二次発酵では温度設定が変わるため、パン生地の状態によって調整することが大切です。ほかにも、炊飯器や使用中のコンロ近くに置いておけば、温かくなり発酵が進みます。発泡スチロールにお湯を入れたコップとパン生地を入れる方法もおすすめです。また、発酵にかかる時間を計算して夜のうちに生地を仕込むことも方法のひとつです。
パン生地を温めて発酵を促すときは、過発酵に注意してください。過発酵かどうかの見極めは重要で、一次発酵であれば生地が1.5~2倍、二次発酵は1.5倍膨らむのを目安にします。触って確認する際は、パン生地に第1関節まで指を入れ、穴の状態を確かめるフィンガーチェックがおすすめです。一次発酵後に、生地の穴が戻ってしまうなら発酵不足の状態で、底はゆっくり戻るけれど穴が残っていれば最適です。生地がすぐにしぼんでしまうようなら、過発酵が考えられます。二次発酵を確かめるときは、成形後の生地側面を指の腹で押して確認します。凹みがすぐに戻ってしまう場合は発酵不足で、跡が少し残る程度であれば二次発酵は完了です。しかし、凹んだ部分から生地がしぼむときは過発酵になっています。美味しいパンを作るときは、数値の確認だけでなく生地を見極める判断力も必要です。

◎温度変化にも影響を受けない製パン機械の中間プルファー
パン工場で使用されるプルファーは、生地の発酵状態を整える製パン機械です。用途によって分かれており、一次発酵後に使用する中間プルファーと最終発酵の際に使うファイナルプルファーがあります。中間プルファーは、メッシュ状のかごに分割した生地玉を入れて、休ませつつ移動させられる製パン機械です。外気温の影響を受けず、パン生地の発酵に最適な温度や湿度の整った環境を作り出します。
KOKIで取り扱っている、中間プルファーCorrect Proofer CP15・CP18の役割は、分割したパン生地を移動させながら休ませることです。グループごとの振り分け可能な3段バッファー投入装置によって、さまざまな種類の生地をバケットに移動できます。的確な投入が可能で、出口も整列搬送される仕組みです。投入装置のレールが移動できるようになっており、メンテナンス作業にも配慮した構造となっています。KOKIの中間プルファーは、本体フレーム間に空間ができるよう作られていて、清掃しやすい点は大きなメリットです。
工場における中間発酵は、分割と丸めで乱れたパン生地のグルテン構造を整える工程です。生地は、分割・丸め・成形の作業ごとにグルテンが壊れてしまい、引き締まった状態となります。中間発酵は、グルテンの凝集性を伸展させ、生地の持つ「やわらかく伸びる性質」を高められるようにするのです。イーストの作る炭酸ガスが生地内部の気泡にたまり、内圧が高まります。この炭酸ガス効果で生地玉内部の密度が粗くなり、やわらかくなることで成形しやすくなります。発酵のスピードが速いと内圧の増加が頻繁に起こり、膨らみだけでなくグルテンの弾性化も進んでしまうため、温度管理は厳密に行うことが必要です。パンの美味しさを一定に保つには、製パン機械による安定した技術や環境整備が求められるのです。
◎まとめ
パン作りでは、温度管理が味を決める要素となり、適切な環境整備が重要です。KOKIでは、パンが発酵する環境を整える、中間プルファー Correct Proofer CP15・CP18を開発・販売しています。パンの品質保持が可能な製パン機械を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

