パンの焼き上がりを左右する?発酵におけるイーストと天然酵母の違い
◎パンづくりにおける発酵の働き
パン生地を発酵させる工程では、酵母の働きによって糖を分解し、二酸化炭素とアルコールを生成します。発酵で生成された二酸化炭素は、パン生地をふくらませるために重要な役割を果たし、アルコールはパンの風味に影響します。発酵の過程では、イーストや天然酵母が、水と温度をエネルギーとして活性化しはじめ、その後糖分をエネルギー源として発酵が進みます。そのため、パン生地の水分量、湿度や温度の管理などが、パン生地の発酵過程で非常に重要となります。
一次発酵を行ったあと、生地をこねてグルテンを生成することにより、しっかりとしたもちもちのパン生地の構造が形成されます。生地をこねて成形したあとは、二次発酵へと進みます。二次発酵により生地の内部構造がさらに整い、ふわっとふくらんでもっちりとした焼き上がりのパンに仕上がります。二次発酵が終わり焼き上げの段階に入ると、発酵により生成されたアルコールが蒸発し、パンの風味が整います。このように、パンづくりにおける発酵は、パンの焼き上がりを左右する重要な工程となっています。

◎発酵に欠かせないイーストと天然酵母の違い
パン生地の発酵に欠かせないのがイーストや天然酵母で、それぞれ違いがあります。まずイーストは、おもにサッカロマイセス・セレビジエという酵母の一種です。糖分を発酵させる力があり、パン生地に含まれるデンプンや糖を分解してエネルギー源として利用します。イーストにはドライイーストと生イーストがあり、どちらも市販されているため手軽に入手でき、品質も安定しています。イーストの発酵過程で生まれるのが、二酸化炭素とアルコールです。アルコールはパンの風味に影響しますが、焼き上げる過程でほとんど蒸発します。糖を分解する際に発生する二酸化炭素には大きな役割があり、パン生地をふくらませ、ふわふわの食感に焼き上げるのに欠かせない存在です。またイーストは、発酵の過程で微量の酸を生成します。それがパン特有の酸味を与え、おいしい風味を醸し出します。
天然酵母の発酵は、自然界に存在している乳酸菌や酪酸菌を利用した発酵で、そのプロセスは多様性に富んでいます。発酵の過程でアルコールと二酸化炭素を生成する点ではイーストと変わりませんが、その過程が一概に説明できないほど複雑な仕組みになっています。またパン生地を発酵する際に、天然酵母と共存する乳酸菌が酸味を生み出すため、焼き上がったパンはより豊かな風味をまといます。また乳酸菌の働きによる健康効果が高く、自然界に大きく依存するため毎回焼き上がりが違うパンを楽しめるといった特徴があります。天然酵母でパンを焼き上げるためには、まず天然酵母のスターターづくりからはじめなければなりません。そのため、パンづくりの経験がある程度ないと、挑戦しにくく感じるかもしれません。

◎イーストと天然酵母の発酵プロセスの違い
イーストと天然酵母の発酵プロセスには大きな違いがあります。イーストのサッカロマイセス・セレビジエという酵母は、単細胞の真菌からなる微生物です。成分が安定しており、水に溶かすだけで簡単にパンづくりに取り組むことができます。パン生地がうまくふくらまないなどの失敗も天然酵母より少ないため、パンづくり初心者にも重宝されています。ドライイーストは、乾燥した状態で販売されているイーストで、水で戻してから使用し、使用期限が長く保存性が高いのが特徴です。生イーストは新鮮な状態のイーストなので、風味が良いものの使用期限や保存期限が短くなっています。
一方、天然酵母は自然界に存在するバクテリアや微生物で発酵させる方法なので、イーストと違い特定の商品として販売されているわけではありません。一般的には、果実や穀物などに付着している酵母を利用して、バクテリアなどの微生物が独自のスターターを形成します。時間と手間がかかる方法ですが、ふっくらとして豊かな味わいのパンが焼き上がります。スターターを作る際は、水と小麦粉やライ麦粉を混ぜてペースト状にしたもののなかに、果物の皮などを入れます。その後、混ぜたタネを数日暖かい場所で発酵させます。この間に酵母や乳酸菌が生成されるのです。発酵が進むにつれて小麦粉や水を追加する「餌やり」という過程を経て、スターターを活発にさせます。その後ようやくパン生地にスターターを混ぜて、発酵に進むことができます。

◎イーストと天然酵母のメリットの違い
パンを焼き上げるうえで、イーストと天然酵母はそれぞれメリットが異なります。まずイーストの最大のメリットともいえるのが、成分の安定性です。天然酵母と違い、予想外の働きをするなどのアクシデントがありません。パンづくりをする際に、分量や温度・湿度管理を注意するなら、同じように発酵し安定した品質のパンを焼き上げることができます。一方天然酵母は、発酵の過程が複雑で自然界に存在する菌を利用しているため、安定したパンを作成するにはある程度の経験や技術が必要となります。天然酵母を使用するパンで成功率を左右するのは、スターターの出来具合といっても過言ではありません。天然酵母のスターターは、小麦粉と水を混ぜ合わせてペースト状にしたあと、果物の皮などを入れて天然の酵母液を作ることからはじまるため、非常に手間がかかります。
またイーストと天然酵母を比較すると、発酵時間も大きく異なります。イーストの場合は、数時間から1日で発酵が終わります。天然酵母の場合、作成するパンの種類によっては数日以上かけないと発酵の過程が終わらないものもあります。安定して手軽に作りたいのであれば、イーストを使用したパンづくりがおすすめです。天然酵母はイーストと比較すると作る難しさがありますが、複雑で個性的な味わいのパンの仕上がりになります。また健康面でのメリットも大きく、酵母と共存している乳酸菌が胃腸の消化活動を助ける働きをしてくれます。

◎まとめ
パン生地の発酵は、パンの焼き上がりを左右する重要な役割を果たします。イーストか天然酵母かによっても、風味や味が変わります。KOKIでは、発酵に関わる製パン機器の開発や製造を行っています。製パン機器の導入を検討している方は、当社までお気軽にご相談ください。
