リトアニアの生活を支える黒パンの魅力と作り方
◎寒冷気候のリトアニアで育まれた食文化
リトアニアはヨーロッパの北東部に位置するバルト海に面している国で、エストニア、ラトビアと並んでバルト三国と呼ばれる国のうちのひとつです。リトアニアは「森と湖の国」として知られ、森林が国土の約3分の1を占め、国内には約3,000もの湖があるなど、多くの都市が深い緑に囲まれています。バルト海沿岸には世界遺産のクルシュー砂州があり、観光名所としても有名です。
リトアニアは農業が盛んな国で、主要な作物は飼料作物、大麦、ライ麦などがあげられます。じゃがいもやベリー、きのこなど自然の恵みもリトアニアの食文化を支えています。なかでもリトアニアでよく食べられるのが、じゃがいもを使った料理です。リトアニアの伝統的な料理であるツェペリナイは、すりおろしたじゃがいもで肉団子を包んだ、ラグビーボールのような形が特徴の料理です。じゃがいもをよく食べるリトアニアの家庭では、じゃがいも専用のすりおろし器が広く使われています。
リトアニアで主食として食べられるのがライ麦を使って作られる黒パンです。ライ麦はリトアニアの寒冷で湿潤な気候でも強く育つことから、主要穀物として取り扱われてきました。黒パンは祭事や宗教的行事にも欠かせないもので、リトアニアの人々の生活と文化になくてはならない存在です。

◎リトアニアの生活に欠かせない黒パン
リトアニアの主食として食べられる黒パンは、ライ麦と水で作るサワードゥパンです。サワードゥとは英語で「酸っぱい生地」を意味し、小麦と水のみで作る天然酵母のひとつです。ライ麦粉はグルテンを形成しないため、一般的な作り方では膨らみにくいですが、サワードゥを配合することで生地の膨らみが安定します。またサワードゥには独特の風味やさわやかな酸味をプラスしてくれる特徴もあります。黒パンはこのサワードゥで作られるため、酸味のある独特な風味が魅力のパンです。ライ麦粉には食物繊維やミネラルが豊富なため、栄養価が高い点も黒パンの魅力です。
リトアニアでは黒パンを作る際、各家庭で作られたサワードゥを使う伝統的文化があり、母から子に受け継がれる貴重なものでした。家庭では自宅のオーブンを使い、ドライフルーツを乗せたりシードを加えたりと、各家庭のアレンジで楽しまれています。市場で大きな塊の状態で売られている黒パンを買って帰り、自宅で少しずつ切って食べることもあります。
リトアニアではサウナの合間に黒パンを食べることもあります。リトアニアの伝統的なサウナ「ピルティス」は、4時間ほどかけて行うため合間のおやつとして黒パンが出され、塩漬けされたラードと一緒に食べたり、バターやはちみつを塗って食べたりもします。
リトアニアでは残ってしまい固くなった黒パンを油で揚げて食べる、ケプタドゥオナというパンも魅力です。ケプタは揚げた、ドゥオナはパンを意味し、スライスした黒パンを油で揚げ、塩やスパイスで味付けして食べます。ケプタドゥオナはおやつやビールのおつまみとして楽しまれています。そのほかにも、リトアニアでは黒パンを使って作られるギラという飲み物もあります。焼いた黒パンをお湯に入れて、酵母を加えて発酵させ、砂糖やハーブを加えて作られます。黒パンの風味がベースになった酸味のある飲み物で、リトアニアでは定番の飲み物です。このようにリトアニアでは黒パンは主食としてだけではなく、おやつや飲み物としても広く親しまれています。

◎リトアニアで食べられる黒パンの作り方
黒パンを作る際に重要なサワードゥは、自宅でも作ることが可能です。自宅で作る際は、容器や器具をアルコールスプレーや煮沸消毒で清潔にすることが重要になります。作り方はライ麦粉と水を容器に入れ、底からしっかりと混ぜます。水分を全体に行きわたらせたら、表面を平にして27~30度の温度で24時間前後置きます。表面部分を取り除き、気泡が多く含まれている部分を取って別の容器へ移します。そこに水とライ麦粉を加え、再度27~30度の温度で24時間前後発酵させます。この工程を4~7日ほど繰り返してサワードゥは完成します。完成の目安は、気泡や酸味のある香りが出てきた状態です。季節や環境などの条件により必要な日数は変わるため、香りを確認しながら作る必要があります。
完成したサワードゥを使った黒パンの作り方はシンプルです。まずボウルにライ麦粉、小麦粉、ディルやキャラウェイなどのハーブシード、塩を入れます。お湯を入れて混ぜ、さらにサワードゥも加えて混ぜ合わせます。粉類が全体的に混ざるまで捏ねたら、濡れ布巾をかけて6時間ほど置いて一次発酵させます。打ち粉をした台に生地を取り出し、カードを使いながら丸く成形していきます。オーブンシートを引いた天板に移し、1.5倍ほどの大きさになるまで二次発酵させ、200~250度のオーブンで30分ほど焼いたらできあがりです。食べるときは30分以上冷ましてからスライスします。一次発酵の時間が長めのため、夕方に生地を混ぜておき、翌朝に焼いて食べることも可能です。
市販の粉末タイプのサワードゥを使用して、本格的な黒パンを作る方法もあります。作り方はボウルに小麦粉とライ麦粉、粉末タイプのサワードゥ、ドライイーストを入れます。そこに好みのハーブシード、砂糖、塩を入れて混ぜます。お湯を加えて混ぜ、ひとまとまりになるまで捏ねたら、濡れ布巾をかけて1時間ほど一次発酵させます。パン生地が膨らんだら、打ち粉をした台で生地を丸め、20~30分発酵させたら200~220度のオーブンで30分ほど焼いてできあがりです。

◎まとめ
黒パンは、古くからリトアニアの人々の食を支えてきました。黒パンの原料のライ麦は栄養価が高く、リトアニアの主食として欠かせない存在です。KOKIでは、食を支えるパン作りに欠かせない、製パン機械の開発・販売を行っています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
