ライ麦が愛される!アイスランドの特徴的なパンと食べ方
◎アイスランドのパン文化の歴史
アイスランドは、イギリスやアイルランドのさらに北部に位置する小さな島国です。ヨーロッパ国内ではイギリスに次ぐ広い国土を誇ります。熱い国であるのに氷河もあることから「火と氷の島」とも呼ばれており、200を超す活火山と国土の12%を占める氷河が両立する、非常に美しい国です。アイスランドの気候は夏でも10度前後と低いですが、冬になっても0度ほどであり、日本ほど寒暖の差がなく過ごしやすい地域とされています。これは、暖流であるメキシコ海流が流れる西海岸制気候の特徴です。風が冷たいため体感温度はもう少し下がります。
アイスランドのはじまりである祖先はヴァイキングと呼ばれる人々です。彼らは、9世紀のノルウェー動乱の時期にノルウェーのノルマン人が海に逃れてアイスランドに定住しました。彼らが船に乗り運んできたといわれる羊は、今やアイスランド人口の何倍の数となります。その結果、アイスランドは牧畜が盛んになるのと同時に島国であるため漁業も盛んです。ヴァイキング時代から受け継がれている数々の保存食も、現代に残りつつ近代の欧米の料理に置き換わっているものもあります。アイスランドの料理といえば受け継がれてきた伝統的な羊や魚を大切にしつつ、現代的でヘルシーなものも取り入れ、素材の新鮮さと質の高さを重視した料理です。
しかしアイスランドでは、日本のコメやフランスのパンなどといったはっきりとした主食は存在せず、いくつか主食として食べています。パンも主食のひとつで、18世紀ごろからはじめて食べられるようになったのです。アイスランドが独立前がデンマークであったことから、アイスランドのパンのはじまりである最初のパン屋はデンマーク職人が開きました。そこからアイスランドのパンにはデンマークの焼き技術が広まったのです。また、日照時間が短く夏も短いアイスランドでは穀物があまり育たないことから、パンは長期保存と節約の目的で作られました。

◎アイスランドの特徴的なパンと食べ方
保存食としてはじまったパンのなかでも、現代でも人気のパンが2つあげられます。どちらのパンも貴重な穀物を用いて作られていることから当時は贅沢なパンでした。アイスランドのルグブロイスと呼ばれるパンは、ダークライ麦を使って作られたパンです。9〜10世紀に移住したヴァイキングによりライ麦の栽培がはじまったのが起源とされています。伝統的なこのパンは、地熱地帯の温かい土にルグブロイスの生地を入れた鍋を埋め、約24時間かけて蒸し焼きにする方法で作られていました。このことから「地熱パン」として親しまれてきました。家庭用オーブンが普及する20世紀初頭までは、この製法が一般的だったといわれています。ルグブロイスはどこのスーパーやパン屋でも入手可能で、日常生活に定着していています。色が黒く非常に密度が高いのが特徴的です。加えて皮がなく、しっとりとして、低温で焼くことから甘くしっとりしています。ルグブロイスは薄切りにしてそのまま食べると、ライ麦本来の甘みを楽しめますが、もっとも人気なのがバターをたっぷり塗って食べる方法です。甘めのパンとバターの塩味が絶妙の味になります。スモークされた魚や羊肉の燻燻製、チーズなどと一緒に食べることも可能です。ほかにも、甘くしてデザート風に楽しんだり、スープのお供として楽しむ方法もあります。アイスランドの住民だけでなく観光客からも人気があり、アイスランドを象徴するパンといえるでしょう。ライ麦が愛されるのも、この伝統的なパンであるルグブロイスが広まったからだと考えられます。
葉のパンという意味を持ち、時に雪パンとも呼ばれるルイヴァブロイズも有名です。このパンはアイスランド北部からアイスランド全土に広まりました。小麦粉を極限まで薄く伸ばした生地に雪模様などの幾何学模様を切り込み油で揚げて作られたお菓子パンです。薄く伸ばされているので見た目は非常に薄いのが特徴的で、複雑な切込みを楽しみながら食べることができます。小麦粉を薄く伸ばすのは、17〜18世紀の穀物不足の時代に少ない小麦粉で作られたためです。またルイヴァブロイズはクリスマスの時期には必ず作られ、スーパーのパン屋等でもクリスマス時期に季節限定の商品として販売されることがあります。アイスランドの冬の食卓に欠かせないパンがルイヴァブロイズなのです。このルイヴァブロイズは触感はパリッとして、パン自体に味はあまりないことから、スナック感覚で食べることができます。アイスランド人が子どものころから楽しむことができる日常のパンで人気な食べ方としてはルグブロイスと同様にバターをつけて食べる方法です。

◎アイスランドで親しまれる代表的なパンの作り方
ルグブロイスの現在の材料は、ライ麦、小麦粉、牛乳、砂糖、ベーキングパウダーなどです。砂糖ははちみつやシロップに置き換えられることもできます。また、ルグブロイスの作り方は時代と共に変化しました。本来のルグブロイスの作り方の特徴はゆっくりと時間をかけて低温加熱することです。この工程により、澱粉が分解され甘みが出ていたことで砂糖は入れないか、入れても少量でした。しかし、現在では電気式オーブンが家庭に普及してから調理の時間が短縮されたため、砂糖やシロップを入れるようになったのです。
作り方は簡単で材料を混ぜ、バターを塗った型に入れ表面を滑らかにします。アルミホイルでしっかり蓋をし100度〜120度のオーブンで6-8時間または一晩焼いた後、オーブンから出してそのまま冷ましましょう。熱いうちに型からは外し、清潔な布巾で包んで冷ますと、皮が固くならずしっとり仕上がります。作る際は、低温で長時間焼くことを意識しましょう。
ルイヴァブロイズの作り方は簡単です。現在の材料は、小麦粉、水、無塩バター、砂糖、塩で、この材料を混ぜて薄く伸ばせる固めの生地を作ります。生地の塊を小さく分けて、綿棒などで極限まで薄く伸ばし、切り抜き型やハサミで葉脈のような模様を入れましょう。熱した油で両面がきつね色になるまでサッと揚げると完成です。揚げたルイヴァブロイズに砂糖をまぶすこともあります。ルイヴァブロイズはかつて羊脂で揚げられていたため独特な風味がありましたが、現在は植物油を使うことが主流です。

◎まとめ
アイスランドのパン文化は、貴重な穀物を長期保存できるように作られたのがはじまりです。厳しい自然環境のなかで育まれたパンは、現在でも食卓に欠かせない伝統の味として親しまれています。KOKIでは、製パン機械の開発・導入を行っています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
