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リーンとリッチの違いは?パン生地の分類

2022年3月22日
パン作りをしていると、いろんな種類のパンがあると感じませんか?食パンをはじめ、バターロール、クロワッサン、ベーグル、バケット、菓子パンやお惣菜パンなど、さまざまな種類のパンがあります。
パン作りは使う材料や配合の仕方などで変わりますが、パン生地には大きく分けてリーンとリッチの2つのパンの種類があるということをご存じでしょうか。このパン生地の違いによって、パンの味や食感、パン作りの工程や製法などにも違いが生じます。今回は、パン生地のリーンとリッチの種類について、それぞれどんな特徴や違いをご紹介します。
◎パン生地のリーンとリッチの違い
パン作りをはじめるときに、まず知っておきたいパン生地の分類が、リーンなパン生地とリッチなパン生地です。それぞれ、材料やこねかた、発酵の仕方、焼き方、味や食感、見た目などにも大きな違いがあります。

まずリーンなパン生地とは、パンを作るための基本的な素材のみで作るパン生地のことを指しています。パン作りに必要とされる基本的なものは、小麦粉と水、塩、酵母の4つになります。リーンなパンと言われるものには、フランスパンやライ麦パン、ベーグル、ナン、バケット、トルティーヤといったパンがあり、そのなかには、基本的な4つの素材以外の材料が含まれているパンもありますが、配合量が少ないため、リーンなパンに分類されています。
リーンなパンには、ハード系と言われるような硬さのあるパンが多く、クラストと呼ばれるパンの外側が香ばしいのも特徴です。シンプルな素材で作られるため、小麦粉の味や風味を楽しむことができますが、保水性のある砂糖やバターを加えていないため日持ちしにくく、焼き上がりが1番おいしいパンと言われています。ヨーロッパ圏で多く消費されているのはリーンなパンで、いろいろな料理と合わせたり、オリーブオイルにつけたりといった食べ方がされています。



次に、リッチなパンとは、パンを作るための基本的な素材に加えて、他の材料をたくさん加えたパン生地のことを指しています。ほかの材料には、卵やバター、乳製品、砂糖などがあり、そのような材料が加わることでパン生地がやわらかくなるため、ふっくらとしたソフトな焼き上がりになります。甘味やバターなど、ほかの素材の風味が出るため、加えるものや量によって個性を出しやすく、あんぱんやドーナツ、クリームパンなどの菓子パン、総菜パン、ブリオッシュ、クロワッサンなど、多くのパンがリッチな生地に分類されます。
砂糖やバターには保水性があるため、時間が経ってもしっとりしており、日持ちしやすいという特徴もあります。日本では、リッチなパンが作られることが多く、食事だけでなくお菓子として、コーヒーや紅茶と合わせて食べられることも多いパンになります。
◎パン生地の作り方の違い
リーンなパンとリッチなパンは、配合する材料だけでなく、こね方、発酵の仕方、焼き方といった作り方にも違いがあります。
まずリーンなパンは、シンプルな素材のみでこねるため、グルテンが形成しやすいといいう特徴があります。そのため粗めにこねて、生地をこねすぎないようにし、滑らかに伸びるまでこねるのではなくグルテン膜がやや粗めで切れてしまうくらいのこね具合で作ります。リーンな生地は、酵母の栄養になる糖が少ないため、時間をかけてじっくり発酵させる必要があります。また高温で発酵させると、小麦粉の風味が失われてしまうため、冷蔵庫などで一晩かけて発酵させるオーバーナイト法を用いることが多いです。焼き上げのときは時間をかけず、高い温度でパリッと焼き上げると、焼き上がりが硬くなりすぎません。リーンな生地は、膨らみにくいので、生地に切れ込みを入れたり蒸気を加えたりしてよく膨らむよう補助します。
次にリッチなパンは、基本的な素材以外に、パンをやわらかくさせる材料が多く入っている分、グルテンが形成しにくいという特徴があるため、グルテンがつながるまでしっかりとこねる必要があります。砂糖やバターによってこねやすい生地になっているので、弾力があり滑らかに伸びて、つるんとした表面になるまでしっかりこねましょう。リッチなパンは、酵母の栄養になる糖が多く入っているため、発酵の進みが早いですが、発酵しすぎると生地が膨らみすぎてしまい、生地の弾力が弱くなってしまいます。加える酵母の量を調整したり温度管理をしたりして、発酵し過ぎないよう注意が必要です。リッチなパンは、さまざまな焼き上げ温度に対応でき、作りたいものによって焼き上げる温度をコントロールします。焼き時間が長すぎると硬くなってしまうため、焼き過ぎには注意が必要です。

◎パンの見た目や味の違い
リーンなパンとリッチなパンは、焼き上がりの見た目や味にも違いがあります。
リーンの場合、同じ分量で作った生地でも、リッチなパンよりふくらみは少なく、焼き色が薄いのが特徴です。生地の内側に大小の気泡が入っており、外側のクラストもしっかりしているので噛み応えがある食感です。素材本来のシンプルな味で、料理と合わせる主食として食べやすいパンです。

リッチの場合、同じ分量の生地でもリーンなパンよりよくふくらみます。生地に入っている糖分が多いため、しっかりと濃い焼き色がつくのも特徴です。発酵とこねる工程で、気泡が小さく、同じ大きさになるようこねられているため、内側はきめが細かく、しっとりと柔らかい食感になります。砂糖やバターの風味や甘さ、コクをしっかりと感じることができ、そのままでもおいしく食べられるパンです。

◎まとめ
パン生地は、大きく分けてリーンとリッチという2つの種類があります。リーンな生地は、シンプルな材料のみを使って作るので、小麦粉の味や風味が引き立つ、食事に合わせやすいパンになり、リッチな生地は、砂糖やバターなど他の材料を加えて作るので、やわらかくてふっくらとした、甘みのあるパンになります。それぞれ生地の違いによって、こね方や発酵の方法など、作り方にも違いが出ます。パンを作るとき、食べるときには、これはリーンなパン?リッチなパン?と考えてみてくださいね。