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食パンを作るときに欠かせないパンニングとは

2022年4月26日
パン作りの業界では、ほかで使用されていない専門用語が多く使われているため、パン作りに携わっている人にとっては当たり前の用語でも、一般の人やパン作りをはじめたばかりの人には意味が分からない言葉も多いかもしれません。
 
パンの外側部分を表すクラストや内側部分のクラムといったパンの部位の名称から、パン作りの製法、パンを作る工程に関する用語など、使用されている専門用語は多岐にわたります。またベーカリーやパン工場などで行われる作業や使われる製パンの製造機械の名称など、より専門的なパン作りの現場で使用されている用語も多くあります。
 
今回は、さまざまなパン業界の専門用語から、パンニングという用語の意味や具体的な方法をご紹介します。

◎パン生地をパン型に詰め込むパンニング
パンニングとは、成形したパン生地をパン型に詰め込む作業のことを指して使われます。またパンニングとは反対に、型から取り出す作業はデパンニングと呼ばれています。
 
パンニングは、パンを焼き上げる直前に行う作業ですが、パン作りではさまざまな工程を経て焼き上げにいたします。まず材料をまぜてこねる作業からはじまり、こねた生地を発酵させて中種を作り、製造するパンに合わせた生地量に分割して丸めてから、再度発酵のためのベンチタイムを設けます。
 
再度発酵させたパン生地は、ガス抜きのために薄くのばされ、ようやく成形の段階に進みます。この工程で、食パンやロールパン、菓子パンなど、製造するパンに合わせてパン生地を成形していき、あんぱんやレーズンパンなど、焼き上げ前に生地に具材を入れるパンは、この段階であんこやレーズンなどの具材を生地に入れ込んでいきます。
 
型を使って焼き上げをするパンは、成形したあとのパン生地を型に詰め込みパンニングを行います。食パン用のパン生地は、うすくのばした生地を棒状に巻いて成形をし、四角い箱型の型に生地を入れてパンニングします。家庭で食パンを焼く場合は、1斤用の型を使用する場合が多いと思いますが、ベーカリーやパン工場などでは、2斤から3斤分の生地を入れられる大きな型を使用していることが多いです。

◎焼き上がりを左右するパンニングの工程
パンニングにはさまざまな方法がありますが、パンニングがきちんとできているかどうかは、焼き上がりの出来栄えを左右する大切な工程です。食パンを作る際にパンニングが上手にできないと、ケービングと言われるパンの側面や上部がへこんでしまう現象が起こってしまうことがあります。
 
大手企業のパン工場など、製造ラインを使って大量生産を行っている製パンの現場では、すべての工程ごとに専用の製造機械を使ってパンの製造をしており、パン生地の成形からパンニングまでの作業も、多くの現場で機械が使用されています。
 
食パンを製造しているパン工場の場合、ガス抜きをして薄くのばした生地は、機械を使って丸められて棒状に成形されます。棒状に丸められた生地は、パンニング用の機械でM字型に折り曲げられ、M字型に折りたたまれたまま長方形の型に詰められていきます。
 
パン工場などで大きな型を使って食パンを焼く場合は、M字型の生地を3個ずつパンニングする方法が多く用いられており、M字型のパンニングが最も普及しています。M字型にパンニングすると、発酵の力で生地が広がりやすく、食パンの内側が美しく仕上がります。M字型にパンニングしたあと蓋をして焼き上げの工程にすすむことで、きれいな長方形の食パンになります。また、生地を折り曲げないで棒状のままパンニングして蓋をしないで焼くと、山型の食パンが出来上がります。
 
菓子パンやロールパンなど、四角い型を使って焼き上げる必要がないパンの場合でも、パン工場で大量生産する場合は、くぼみがつけられた専用の天板を使用して製造されています。成形したパン生地をひとつずつ天板へパンニングし、そのままラインにのって最終発酵や焼き上げの工程を行います。
◎手作り食パンのパンニング
家庭でパン作りをする場合、菓子パンやロールパンなどは型を使う必要はありませんが、食パンを作る際は型に成形したパン生地を詰めるパンニングの作業を行い、パンを焼き上げていきます。家庭での手作り食パンでのパンニングは、俵型成形や丸め成形、U字成形といった方法が使われることが多いです。
 
俵型成形は、手でパン生地を軽く押さえて空気を抜いていきます。めん棒で上下にのばした生地の両端を、型の大きさに合わせて折り込んでからロール状にまるめて俵型に成形し、1斤分の型へ俵型の生地を2から3個パンニング して焼き上げます。丸め成形は、めん棒を使わずに手で丸めて成形します。手で軽く押さえてパン生地の空気を抜いたあと、手前に生地を引くようにしながら丸めていき、型に2から3個パンニング して焼き上げていきます。U字成形はM字型に似ている方法で、めん棒でのばした生地を巻いてロール状にしてからUの字に曲げて成形し、U字に曲げたままの生地を2から3個パンニング して焼き上げます。U字成形は、角型食パンを作る際に最適な方法と言えます。

◎まとめ
パンニングとは、成形したパン生地を型に詰め込む作業を指して使われる用語です。パン工場では、材料をこねる段階から成形やパンニング、焼き上げまで専用の機械を使って行われ、安定した品質のパンが製造されています。
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