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食感を決める!パン生地に使われる粉の種類

2022年5月2日
パン生地は材料にどんな粉を使うかで味や食感が異なります。スーパーでは強力粉や中力粉がパン生地用の粉として売られていますが、実はそれ以外にもさまざまな粉でパン生地をつくることが可能です。今回はパン生地づくりに欠かせない、粉の役割と種類についてご紹介します。
 
◎パン生地と小麦粉の関係とは
パン生地づくり用の粉はたくさんの種類がありますが、スーパーなどで一般的に売られている強力粉や中力粉などは、実は全て小麦粉に分類されます。
 
小麦粉は、どの種類にもグルテニンとグリアジンと呼ばれるタンパク質が含まれており、水を加えてよくこねることでグルテンという網目状の組織を作り出します。
 
グルテンは、パン生地を発酵させる時に発生する炭酸ガスを外に逃さないようにキープする役割を果たしており、ふっくらとしたパン生地をつくるためには欠かせない存在です。小麦粉の種類によってグルテンを形成するタンパク質の割合が異なります。つまり、パン生地の仕上がりは小麦粉に含まれるタンパク質の量で大きく変わってくるのです。

◎パン生地をつくる小麦粉の種類
パン生地づくりに使われる小麦粉は、超強力粉、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉の順番でタンパク質が多く含まれています。
 
最もタンパク質の割合が多い超強力粉は、小麦タンパクが多く含まれており、強靭なグルテンを形成してふっくらとしたフワフワのパン生地をつくることができます。強力粉は、パン生地づくりに使われることが多いポピュラーな小麦粉で、もっちりとした食感のパン生地がつくれることが特徴です。
 
準強力粉は「フランスパン用粉」とも言われ、その名の通りフランスパンのようなカリっと香ばしいパン生地づくりに適しています。
 
中力粉はクッキーやマドレーヌなどによく使われる小麦粉で、準強力粉と同じくハード系のパン生地向きです。強力粉に比べ、ずっしり重たいパン生地になりやすいです。
 
薄力粉はタンパク質の含有量が少なく、単体ではパン生地づくりに適していません。ただ、強力粉に混ぜて使うことにより、さっくりとした軽い口当たりのパン生地をつくることができます。
 
食パンや菓子パンのようなソフトな仕上がりのパンをつくりたい場合は、超強力粉や強力粉を使うのがおすすめです。より細やかな網目状のグルテンができるため、炭酸ガスが均等に保たれ、フワフワとしたやわらかいパンに仕上がりやすいからです。
 
反対にクロワッサンのようなサクサクとした食感のパンや、バゲットのように皮がパリッとしたパンをつくりたい場合は、タンパク質の含有量が少ない準強力粉が適しています。
 
このように、小麦粉を使ってパン生地をつくる場合は、どんな食感のパンをつくりたいかで選ぶことが大切です。中力粉や薄力粉を強力粉の代わりに使用するなど、タンパク質の含有量が異なる粉を代替することはできないので注意しましょう。
 
一般的に小麦粉と呼ばれるものは上記の通りですが、パン生地づくりにはこれら以外の特殊な小麦粉が使われる場合もあります。代表的なものが全粒粉と小麦胚芽です。
 
全粒粉は文字通り、小麦の粒を丸ごと粉状にしたものを指します。胚乳だけでなく、表皮や胚芽も含まれるため、胚乳のみを製粉した小麦粉と比べて色が少し黒くなっているのが特徴です。また全粒粉は、小麦粉よりもビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富に含まれており、栄養価が高い粉として知られています。またGI値が低く、糖に変わるまでのスピードが遅いほか、水分を吸収して腹持ちを良くするので、ダイエット中の方にも好まれています。
 
ですが、全粒粉だけでパン生地をつくると小麦の殻でグルテンが壊され、膨らみの少ないかためのパンに仕上がってしまいます。そのため、全粒粉を使ってパン生地をつくる際は強力粉などに混ぜて使うのがおすすめです。
 
小麦胚芽は小麦の胚芽部分を挽いた粉で、全粒粉同様に栄養価が高く、健康志向の方に好まれるパン生地づくりに適しています。ただ、小麦胚芽のみでは生地を膨らませることができないため、小麦胚芽入りのパン生地をつくる際は分量に注意が必要です。作りやすさを重視するなら、小麦粉に1割程度加えてつくってみましょう。これだけで風味が増したおいしいパン生地に仕上がります。

◎パン生地をつくれる小麦粉以外の粉
パン生地は小麦粉のみでつくられることがほとんどですが、小麦以外の原料でつくられた粉を混ぜることで、より味や食感の変化を楽しめます。ここではパン生地づくりに使われることが多いライ麦粉、米粉、とうもろこし粉についてご紹介します。
 
ライ麦粉はライ麦を挽いてつくられた粉で、グルテンを形成するグルテニンではなく、粘性の高いグロブリンというタンパク質が含まれているため、食感が小麦粉でつくられたパン生地と仕上がりが大きく異なるのが特徴です。小麦粉でつくられたパン生地がフワフワとした食感になるのに対し、ライ麦粉でつくられたパン生地はずっしり重みのあるパンに仕上がります。
 
米粉は精白米を粉砕したもので、ライ麦と同じくグルテンが含まれていないのが特徴です。小麦粉でつくられたパン生地と比べて膨らみは少ないものの、もちもちとした食感でおいしく召し上がることができます。また、米粉でつくられたパン生地は小麦アレルギーの人でも食べられます。ただし、パン生地用として販売されている米粉の中にはグルテンが含まれているものもあるため、小麦アレルギーの方は注意が必要です。
 
とうもろこし粉は乾燥させたとうもろこしを粉砕したもので、粒の大きさによってコーングリッツ、コーンミール、コーンフラワーなど呼び名が変わります。
単体ではなく、香りと甘みを出すために小麦粉と混ぜたり、イングリッシュマフィンのようにパン生地の表面にまぶしたりして使われます。

◎まとめ
パン生地は同じ工程でも、使う粉によって味や食感が大きく変わります。どんな粉を使うかだけでなく、どのぐらいの分量で混ぜ合わせるかによっても味や食感の変化を楽しむことができるので、これからパン生地をつくる方は、ぜひ材料の選び方にもこだわってみてくださいね!