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パン生地に使う砂糖の役割と種類

2022年5月24日
菓子パンをはじめ、パン生地の多くは材料に砂糖が使われています。パン生地に甘みを加えるためというのが主な理由として挙げられますが、実はパン生地づくりにおける砂糖の役割はそれだけではありません。この記事では、パン生地づくりに適した砂糖の種類や、パン生地に加える時の注意点についてご紹介します。
 
◎パン生地づくりにおける砂糖の役割
パン生地をつくるにあたり砂糖の役割は実にさまざまですが、1番大きな役割としては、やはり甘みを加えることでしょう。ご存知の通り、砂糖は甘みを持つ調味料です。パン生地に加えることによって風味をつけることができます。
 
実際にパン生地をつくったことがある方ならお分かりかもしれませんが、パン生地に甘さを加える場合は結構な量の砂糖を配合します。配合率でいえば、通常の食パンで5~6%、あんパンやデニッシュなどの菓子パンでは18~25%が一般的と言われています。しかし、これだけ多く加えているにもかかわらず、仕上がるパン生地がさほど甘くならないのはなぜなのでしょう。
 
その理由は、砂糖がパン生地に含まれるイースト(パン酵母菌)の栄養分となるためです。パン生地づくりにおける材料の1つであるイーストには、糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する働きがあります。糖分が分解されると、当然分解された分だけ甘みがなくなります。
 
この働きは発酵と呼ばれるもので、ふっくらとしたパン生地をつくるためには欠かせない活動です。糖分は小麦粉のでんぷんなどにも含まれるため、イーストさえあれば発酵することは可能ですが、砂糖を配合することで、よりスムーズに発酵が行えるようになります。
 
パン生地づくりにおける砂糖の役割はそれだけではありません。砂糖には水分を吸収して保持する作用があるため、材料に加えることでしっとりとしたパン生地に仕上がります。また、保水作用を持つ砂糖をパン生地に加えることで、出来上がったパンの状態を長くキープすることも期待できます。
 
通常、パン生地は時間の経過とともに水分が蒸発していくため、時間が経つほど劣化が進んで生地がかたまりやすくなってしまいます。しかし、糖分が多く含まれているパン生地なら小麦粉のなかに水分が長く留まるため、やわらかい状態をキープすることができるのです。
 
また、砂糖はパンのこんがりとした焼き色にも一役買ってくれます。パン生地に熱を加えると、小麦粉に含まれるファニルアラニンなどのアミノ酸と糖が化学反応(メイラード反応)を起こし、メラノイジンなどの褐色物質がつくり出されます。パンのこんがりとした焼き色はこの褐色物質によるもので、糖分が多ければ多いほど、パンの焼き色が濃くなります。

◎パン生地づくりに使う砂糖の種類
大きく差が出るわけではありませんが、パン生地をつくる際はどんな砂糖を使うかによって味わいが微妙に変わります。ここではパン生地づくりに使用されている種類と特徴についてご紹介します。
 
○上白糖
日本において最も広く使われています。甘さにクセがないため、パン生地をはじめ、お菓子や料理などに幅広く使われます。水分が多く含まれており、パン生地に加えることでしっとりとしたソフトな口当たりのパンに仕上がります。
 
○グラニュー糖
海外で一般的に使われています。上白糖同様にクセはほとんどありませんが、甘さは上白糖よりも淡白であるため、パン生地に加えると若干あっさりとした味わいのパンに仕上がります。
 
○三温糖
上白糖をつくる際に出る糖液を煮詰めてつくっており、淡い黄褐色になっているのが特徴です。成分は上白糖とほとんど変わりませんが、煮詰めてカラメル化しているため、上白糖よりも強い甘さとコクがあります。
 
○黒糖
さとうきびを圧縮して抽出した液を煮詰めてつくられたものです。黒褐色の見た目をしており、パン生地に加えて焼くと少し黒っぽいパンに仕上がります。
黒糖パンと呼ばれる商品があることからもお分かりいただける通り、ほかと比べて甘さと風味が強いのが特徴です。
 
○きび砂糖
文字通り、さとうきびが原料となっています。精製途中のさとうきびの糖液を煮詰めてつくるため、黒糖に近い風味やコクを感じられます。
 
○てんさい糖
北海道で栽培されるてん菜(サトウダイコン)から作られています。ほどよいコクとまろやかな甘さがあります。
 
一般的にパン生地づくりでは上白糖またはグラニュー糖が使われます。とくにこだわりがない場合は上白糖を選びましょう。上白糖はクセが少ないため、どのようなパン生地づくりにも適しています。また、保水性が高いため、小麦粉が劣化してパンがかたくなるのを長期間防いでくれる効果も期待できるでしょう。
 
一方、シナモンロールやメロンパンなど、パン生地の風味をいかしたい場合は上白糖よりもすっきりとした甘さを持つグラニュー糖がおすすめです。コクや風味を出したいなど、こだわりがある方は三温糖や黒糖、きび砂糖などもぜひ使ってみましょう。

◎パン生地に砂糖を加えるときの注意点
パン生地に砂糖を加える時は配合量に注意することが必要です。なぜならパン生地に入れすぎると、パン酵母菌の発酵を阻害してしまう恐れがあるためです。
配合率が10%までのパンであれば問題ありませんが、それ以上になると発酵が鈍くなってしまいます。発酵の阻害を防ぐ対策としては、イーストの配合量を増やす、発酵時間を長くするなどの方法がおすすめです。また、最近では耐糖性のイーストも販売されているため、砂糖の配合量を増やす場合はそういったものを使うのも1つの手といえるでしょう。
 
加えて、パン生地に砂糖を多く加える場合は生焼けにも注意が必要です。糖分が多いパン生地ほど焼き色が早くつきやすいため、砂糖の配合率に合わせて焼成の温度や時間を管理することが大切です。

◎まとめ
パン生地は小麦粉・イースト・水・塩と、4つの原料さえあればつくることが可能ですが、甘みを出したい、よりパンをふんわりさせたいという場合は砂糖が必須となります。パン生地づくりに使用できる砂糖はさまざまな種類がありますが、初心者の方やとくにこだわりがない方は、オールマイティーに使える上白糖がおすすめです。こだわりがある場合や製パンにある程度慣れてきたら、ほかの砂糖を使ったパン生地づくりにもチャレンジしてみてくださいね。