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リーンなパンをこねるのに適したスパイラルミキサー

2022年7月19日
 
パン作りとひとことで言っても、食パン、ロールパン、クロワッサン、ベーグル、フランスパンなどパンの種類は膨大です。パンは基本的に小麦粉と水、酵母、塩を使用して作りますが、砂糖やバターといった副材料を加えるパンも多く、パンの種類によって、配合する材料やそれぞれの分量などが異なります。そのなかでもパン生地は大きく2つの種類にわけられており、材料やこね方などの特徴が異なるため、生地作りで使用する機械も生地に合う特徴を持つ機械が使用されています。この記事では、生地やこねかたの違いに関わるスパイラルミキサーについてご紹介します。
◎スパイラルミキサーとは
スパイラルミキサーは、ミキサーと呼ばれる製パンの製造機械のひとつです。ミキサーは、パン生地を作るときに材料を混ぜてこねる作業を行う機械で、大きさや特徴の違うさまざまな種類があります。パン工場など大量生産を行う製パンの現場で使用されているのは、大型の横型ミキサーと呼ばれるミキサーで、ベーカリーなど店舗で多く使用されているのは、中型の縦型ミキサーです。スパイラルミキサーも店舗で使用するタイプの中型ミキサーですが、日本のベーカリーでは縦型ミキサーの方が主流となっています。
 
そのほかには、主にヨーロッパで使用されていたスラントミキサーやアートフェックスミキサー、家庭でも使用できる小型の卓上ミキサーなどの種類もあります。スパイラルミキサーは縦長の機械で、材料を入れるミキシングボウルと、混ぜるためのフックと呼ばれるバーをセットして使用します。スパイラルミキサーのフックは、名前の通りスパイラル状になっており、縦型ミキサーのフックはJのような形をしています。
 
スパイラルミキサーを使用する際は、ミキシングボウルに材料を入れ、安全カバーをセットしてスイッチをオンにします。スパイラル状のフックが回転すると同時にミキシングボウルも回転し、材料を混ぜてパン生地をこねる仕組みとなっています。

◎スパイラルミキサーの特徴
パン生地をこねる際にスパイラルミキサーを使用するのが適しているのは、リーンなパンと言われているパン生地です。リーンなパンとは、フランスパンやライ麦パンなどのハード系と言われるパンのことで、小麦粉と水、酵母、塩の基本材料のみを配合して作ります。リーンなパンは、しっかりとした歯ごたえやシンプルな味わい、外側のカリっとした焼き上がりが特徴です。もう1つの種類はリッチなパンと言われるパン生地で、砂糖やバターなどの副材料を加えて、ふんわりとやわらかく焼き上げたパンのことを指しています。
 
なぜリーンなパンを作る際にスパイラルミキサーが適しているのかと言うと、リーンなパンは、生地をまんべんなくこねすぎず、粗目にこねて作るという特徴があるからです。パン生地をこねすぎないようにするとグルテンが強化されないので、リーンなパンの特徴となる歯ごたえのあるパンを焼きあげることができます。
 
スパイラルミキサーは、スパイラル状のフックが回転して生地を練り、練っては休ませてという繰り返しの動作でパン生地をこねていきます。スパイラルミキサーを使用して、まず低速を中心にこねて最後に高速で軽くまとめるような作り方をすると、自然な練り込みでグルテンを形成させることができるため、リーンなパンを作るのに適しているのです。
 
日本のベーカリーで主流になっている縦型ミキサーは、生地を練って叩きつける動作を繰り返してこねるため、しっかりこねてグルテンを強化させることができます。そのため、ふんわりとしたやわらかい焼き上がりになるリッチなパンを作る場合に適しています。縦型ミキサーは、この叩きつける動作によって大きな音が出てしまう場合がありますが、スパイラルミキサーは、叩きつける動作をしないため動作音が小さいという特徴もあります。縦型ミキサーでは、パン生地を作るときに生地の温度が上がりすぎないよう、ボウルを冷却しながらこねることができるものもありますが、スパイラルミキサーは、ミキシングボウルも回転しながらこねるため、ボウルに氷水をあてて生地をこねることはできません。
 
このようにスパイラルミキサーと縦型ミキサーは、どちらも中型のミキサーですが、それぞれ異なる特徴を持っています。ハード系のパンに力を入れているベーカリーでは、スパイラルミキサーを使用していることが多いですが、店舗によっては、縦型ミキサーとスパイラルミキサーの2台を使用している場合もあります。

◎スパイラルミキサーの種類
スパイラルミキサーは、以前は海外の製品を輸入して使用することが多かったのですが、近年は、日本で製造されているスパイラルミキサーも多数販売されています。小型店舗向けのサイズから、1度に大量の生地をこねられる大型サイズまで、さまざまな種類のスパイラルミキサーがあります。
 
スパイラルミキサーは、大型サイズであっても少量の生地からこねることが可能です。機械の大きさの割に大量の生地を1度にこねることもできるため、幅広い生地量に対応しています。ミキシングボウルは、固定式のものや着脱式のものがあり、固定式のスパイラルミキサーは、洗浄用の排水口が付いていてボウルを洗うことができる仕様になっています。
 
大型のスパイラルミキサーのなかには、ミキシングボウルを着脱して、そのまま発酵やねかしなどを行えるものや、スパイラル状のフックが2本ついていて、パン生地をこねる時間を短縮できるものもあります。基本的には低速と高速の2段階のスパイラルミキサーが主流ですが、4段階で速度調整できるものもあり、ボウル用と攪拌用にモーターが2つ付いていて強力な動作ができるものなどもあります。製造するパンの量や用途に合わせて選ぶことが可能です。

◎まとめ
スパイラルミキサーは、パン生地を混ぜてこねる作業を行う製パンの機械です。とくに生地をこねすぎないで作る、フランスパンやライ麦パンなどのリーンなパンを作るのに適しています。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に、製パンの製造機械の開発や製造を行っています。製パンに関するお悩みやご相談はお気軽にお問い合わせください。