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パン型からパンをはずす機械デパンナー

2022年8月2日
パン工場では、パンを焼き上げるまでにいろいろな製造機械を使用しています。材料を混ぜてこねる横型ミキサーや大量のパン生地を分ける分割機、分割した生地を丸めるための丸目機などがあげられます。製パンの製造機械のなかには、パン屋さんなどの店舗で使用している機械もありますが、大量生産を行う現場でのみ使用する機械も多数あります。この記事では、パン工場ならではの製造機械のひとつである、デパンナーについてご紹介します。
◎デパンナーとは
デパンナーとは、焼き上がったパンをパン型やトレイからはずすための製パンの製造機械です。パン作りの用語で、パン型に生地を詰める作業のことをパンニング、パン型からパンをはずす作業のことをデパンニングと言いますが、そのデパンニングを行うための機械なので、デパンナーと呼ばれています。
 
通常パン作りでは、材料を混ぜて生地をこねることからはじまり、発酵させたり分割したり、形成したりといった工程を何度か繰り返して焼き上げに進みます。食パンを製造している場合は、2斤用や3斤用など金属製のパン型に生地を詰めていきます。角型食パンであれば同じ金属製のフタをかぶせ、山形食パンであればフタをせずにパンニングの工程へ進みます。
 
ロールパンやあんぱん、クロワッサンなどを製造している場合は、くぼみがついている金属製のトレイを使って焼き上げを行うため、くぼみに合わせてトレイにパンニングをしていきます。パン生地は、パンニングしたあとに最終発酵させてから焼き上げに進みますが、パン工場ではパンニングや最終発酵、焼き上げもすべて専用の製造機械で行います。
 
パン型やトレイごと製造ラインのコンベアで流れながらそれぞれの工程を進んでいきます。焼き上げるときも大型オーブンのなかでゆっくりと移動しながら移動し、焼きあがる時間にオーブンから出るように設定されています。オーブンから出て焼きあがったパンはパン型やトレイごとさらにコンベアを移動していき、すぐにデパンナーでデパンニングをします。
 
デパンナーでパン型やトレイからはずされたパンは、冷却するための部屋へ移動し、ゆっくりと冷ました後にスライスや包装の工程へと進みます。デパンナーは、製パンの製造ラインに組み入れる大型の機械なので、パン工場など大量生産を行う現場でのみ使用されている製造機械です。ベーカリーなどの店舗では、手作業でデパンニングが行われています。

◎デパンナーの種類
デパンナーにはいくつかの種類があり、製造しているパンの種類によって使用するデパンナーの特徴が異なります。
 
まずは、すくい取る方式のデパンナーです。このデパンナーは、ロールパンやバンズなどトレイを使って焼き上げるパンの製造で使用されています。焼きあがったパンをのせたトレイが流れているコンベアに別のコンベアをさし込み、パンをすくいあげてトレイとパンを離す仕組みになっています。焼きあがったパンは、そのまま新しいコンベアにのって製造ラインを流れていき、次の工程へ進みます。
 
吸引式のデパンナーは、ロールパンやあんぱんなどトレイを使って焼き上げる多種多様なパンの製造で使用されています。吸引式のデパンナーは、名前の通り焼きあがったパンがのったトレイの上から吸引し、吸引部にパンがくっついてトレイから離れ、そのまま別のコンベアに移動させる仕組みとなっています。
 
食パンなど深い型を使って焼き上げる際に使用されているのが、反転式デパンナーです。反転式のデパンナーは、コンベアを流れるパン型を取りあげて、そのまま180度反転させる仕組みです。反転させることでパン型が上側にくるため、型から自然に離れてパンだけを取り出すことができます。二斤用や三斤用のパン型でも、2個から3個同時に反転させてデパンニングすることが可能です。
 
フタをかぶせて焼き上げる角型食パンの場合は、フタを取りあげるデリッターと呼ばれる機械を別で取り付けることで、フタをとって反転させる作業もすべて機械を使って行うことができます。

◎デパンナーの選び方
デパンナーを選ぶうえで重要なポイントは、焼きあがったパンを傷めずにデパンニングできるかという点です。特に食パンは、ケービングという現象が起きやすいため注意が必要です。
 
ケービングとは腰折れとも言われる現象で、焼きあがったパンの側面や上部がへこんでしまうことを指しています。遠心力を利用して型から離れさせる反転式のデパンナーなどは、焼きあがったパンにショックを与えずにパン型から外すことが可能です。また山形食パンなど、ふっくら焼き上げるパンも、ふくらんだ生地がつぶれないようにデパンニングする必要があります。
 
デパンナーのなかには、エアーブローという型からはずす前に空気を吹き込んで型から離れさせる装置が付いている機器もあり、そのようなデパンナーを選ぶことで、製造するパンの品質を安定させて生産した製品内の良品の割合を多くし、高い歩留まりを実現できるようになります。
 
またデパンナーの種類によっては、すくい取る方式と吸引式の2つの方法を兼用することができるデパンナーも製造されています。製造するパンに合わせてどちらの方法もひとつのデパンナーで使用できるため、さまざまな製品で製造ラインを共有することが可能です。
 
さらに、デパンナーの清掃性も選ぶ際のポイントとなります。食品を扱う機械は、衛生面での注意も必要になるため、ステンレス製の部品や簡単に取りはずせる部品など、清掃しやすい部品を使用している機械を選びましょう。

 
◎まとめ
デパンナーは、焼きあがったパンをパン型やトレイから外す、デパンニングという作業を行う製パンの製造機械です。主にパン工場の製造ラインでデパンニングを行うための、専用の機械として開発されています。KOKIでは、製パンのさまざまな工程に関わる製造機器を開発、販売しています。現場の声を取り入れた、効率的に安定した品質のパンを製造できる機器を開発しているので、お気軽にお問い合わせください。