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バリエーションが広がる!ドライフルーツを使ったパン生地づくり

2022年8月9日
バリエーションが広がる!ドライフルーツを使ったパン生地づくり
製パンに使うフィリングにはさまざまなものがありますが、なかでも味や香り、食感のバリエーションが増やせるドライフルーツは多くのパン生地づくりに使われています。この記事では、製パンに使われるドライフルーツの種類やパン生地に加える際の下処理方法、混ぜるタイミングをご紹介します。
◎製パンに使われるドライフルーツの種類
ドライフルーツとは文字通り、乾燥させた果物を指します。製パンにおいては、主にレーズンやいちじく、ベリー類、かんきつ類、トロピカルフルーツが使われます。それぞれのドライフルーツにはどんな特徴があり、どのようなパンをつくる時に使われているのかご紹介します。
 
○レーズン
レーズンは製パンに使われる代表的なドライフルーツです。甘さと酸味があり、レーズンパンをはじめ、パネトーネやシュトーレンなどさまざまなパン生地づくりに使われています。
 
種類によって味ややわらかさが微妙に違ってくるので、慣れてきたらつくりたいパン生地に合わせてレーズンを変えてみるのもおすすめです。甘みを強く引き出したい時はカリフォルニアレーズン、反対に甘さを控えめにしたい時はマスカットレーズンやグリーンレーズン、柔らかな食感を求める場合はサルタナレーズンが適しています。

 
○いちじく
ドライいちじくは、生のいちじくに比べて栄養価が高く、ミネラルや食物繊維が豊富に含まれています。プチプチとした独特の食感はハード系のパン生地やナッツ類と相性が良く、代表的なパンとしてはパン・オ・フィグやフィグ・ノアがあげられます。ドライいちじくはイラン産またはトルコ産のものがほとんどですが、製パンに使用する場合は濃厚な甘みを感じられるトルコ産が適しています。

 
○ベリー類
甘酸っぱさが感じられるドライベリーは、パン生地づくりだけでなく、お菓子のフィリングとしても使われることが多い人気のドライフルーツです。製パンにはクランベリーやブルーベリーがよく使われています。単体でパン生地に混ぜ込むのはもちろん、ナッツ類やヨーグルト、はちみつなどと一緒に加えてもおいしいパンに仕上がります。

 
○かんきつ類
爽やかな香りが感じられるオレンジやレモンなどのかんきつ類は、パンのアクセントにぴったりです。パン生地づくりにおいては果実そのものよりも、皮の部分を乾燥させたピールが使われることが多いです。紅茶やチョコと相性抜群で、よくアールグレイやココアパウダーと組み合わせてパン生地に練り込まれています。

 
○トロピカルフルーツ
パイナップル・マンゴー・パッションフルーツなどのトロピカルフルーツも製パンに使われることがあります。暖かい地方で採れる果実ということから、サマーシュトレンやサマーブリオッシュなどのフィリングによく使われています。

○フルーツミックス
「どのドライフルーツを選べばいいのかわからない」という方は、いろいろな味や食感が1度に試せるミックスタイプを使ってみましょう。パン生地づくりに慣れていない方は、粒の大きさが揃っているダイスカットタイプがおすすめです。粒が均等になっているダイスカットタイプなら、パン生地に混ぜ込みやすく、フルーツが偏ってしまうのを防ぐことができます。
 
◎パン生地にドライフルーツを混ぜる時の下処理
ドライフルーツをパン生地に加える場合は、湯通しあるいは水通しをしておくことが必要です。乾いた状態のドライフルーツをそのままパン生地に混ぜると、ドライフルーツが生地の水分を吸収してしまうからです。
 
それを考慮して材料の水分量を増やすのであれば問題ありませんが、湯通しはドライフルーツのコーティングや汚れを取る目的もあるので、オイルコーティングされているものを使う場合は、下処理をしてから使用したほうがよいでしょう。手間に感じるかもしれませんが、下処理はぬるま湯で洗って水気を切るだけなのでさほど手間はかかりません。お湯や水に長時間浸すと甘みや色が水に溶けだしてしまったり、やわらかくなりすぎたりするので、あくまでもサッと洗うだけにしておきましょう。
 
一方、より手間をかけてもよいのであれば、湯通ししたドライフルーツを洋酒に漬け込んでおくことで、さらにリッチな味わいのパンに仕上げることができます。とくにシュトーレンやクグロフなどをつくる場合は洋酒漬けしたドライフルーツを使うのがおすすめです。漬け込みフルーツを製パンに使用する場合は、消毒・殺菌した保存ビンにお酒を注ぎ、湯通ししたドライフルーツを加えて10日間ほど漬け込んでおきましょう。漬け込んでいる期間、毎日ビンのなかを軽くかき混ぜることで、お酒がしっかりフルーツに染み込みます。
 
ドライフルーツの洋酒漬けはダークラムが使われることが多いようですが、ブランデーやウイスキー、キルシュ、オレンジキュラソーなどとも相性抜群です。つくりたいパン生地やお好みの味に合わせて洋酒漬けも楽しめます。

◎パン生地にドライフルーツを混ぜるタイミング
ドライフルーツは糖分が多く、表面に出ると焦げやすいため、製パンに使用する際は一次発酵の前にパン生地に加えるのがおすすめです。早めにドライフルーツを加えてしまうと、小さい粒によってグルテンの生成が阻害され、パン生地が膨らみにくくなってしまいます。目安としてはパン生地が8~9割ほど捏ねあがったタイミングで加えるようにしましょう。ドライフルーツが表面に出ている場合は生地のなかに練り込むか、上からさらに生地をかけて焼くと焦げを防ぐことができます。
 
パン生地づくりに慣れていないうちは、こういったグルテンの分断や表面の焦げが起こりやすくなるため、ドライフルーツの配合量にも注意することが必要です。慣れるまでは材料全体に対し、2~3割のドライフルーツを加えるようにしましょう。ナッツ類を加える場合はさらに減らしてみてください。

◎まとめ
ドライフルーツはどの果実を選ぶかだけでなく、組み合わせる材料、漬け込むお酒などによっても味や風味、食感のバリエーションを広げることができます。パン生地に加えるタイミングや分量に慣れてきたら、ぜひさまざまなドライフルーツ入りのパン生地づくりに挑戦してみましょう。