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ナッツ入りのパン生地づくり!下処理や入れるタイミングのポイント

2022年8月23日
ナッツはパン生地に入れることが多いフィリングの1つです。製パンで使用する際は、それぞれの特徴だけでなく、下処理やパン生地に加えるタイミングを知っておく必要があります。この記事では、ナッツ入りのパン生地をつくるときのポイントについてご紹介します。
◎製パンに使われるナッツの種類
ナッツとは本来「堅果種子類」と呼ばれる木の実のなかでも食用部の種子や果実が固い殻や皮に包まれたものを指します。パンのなかには落花生やヒマワリの種、カボチャの種などが使われているものもありますが、これらは堅果種子類に該当しないため、厳密にいえばナッツとは別物になります。
 
ただし店頭で販売されている商品の分類や世間一般の認識としては、これらもナッツ類に含まれているようです。今回は、堅果種子類に該当するナッツ類から製パンによく使われるものをご紹介します。
 
○くるみ
くるみはパン・オ・ノアやフィグ・ノア、レザン・ノアなど、さまざまなパン生地づくりに使用されます。ローストした後に少し砕き、パン生地に練り込むことでカリッとした食感と特有のテイストが楽しめます。ドライフルーツやチーズとの相性も良く、初心者でもパン生地づくりに使いやすいフィリングと言えるでしょう。

 
○アーモンド
アーモンドはローストした状態したものをそのままパン生地にトッピングしたり、粉末状にしてパン生地やクリームに練りこんだり、幅広い形で製パンに使用します。クロワッサンにアーモンドクリームがかかったクロワッサン・オ・クレームダマンドが代表的ですが、ほかにもクグロフと呼ばれるブリオッシュの一種に使われたり、食パンに混ぜて使われたりすることもあります。

○ヘーゼルナッツ
ヘーゼルナッツは芳醇な甘さや香ばしさがあることから、チョコレートと組み合わせてパン生地によく使われます。単体で使う場合はローストして砕いたものをパン生地に混ぜたり、シュトーレンやパンフォルテのようにそのままの状態で入れたりします。

○ピスタチオ
緑色の種子が鮮やかなピスタチオは、パン生地に混ぜて使うほか、砕いてトッピングに使ったり、クリームに練りこんだりして使われます。バターやアボカドのようなねっとりとした食感が特徴的で、パン生地に加えることでほんのり甘いコクが出ます。

◎ナッツ類を使ったパンの種類
ナッツはさまざまなパン生地づくりに使われています。どのようなパンをつくるか迷ったら、これらのパンづくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。
 
○カンパーニュ・フリュイ
カンパーニュ・フリュイとは、ドライフルーツやナッツが練り込まれたカンパーニュのことです。フリュイはフランス語で果実・果物を意味します。カンパーニュはフランスパンの1種で、ライ麦粉をはじめとする精製度の高くない小麦粉を使ってパン生地をつくり、大きく丸い形に成形して焼き上げるのが特徴です。

 
○シュトーレン
シュトーレンはドイツで古くから食べられている伝統的なパン菓子です。地域やお店によってレシピは異なりますが、一般的にはバターをたっぷり加えたパン生地に、ドライフルーツやナッツを練り込んで作ります。ずっしりと重くて日持ちするのが大きな特徴で、ドイツでは毎年アドベントと言われるクリスマスの4週間前の日曜日からクリスマス・イブまでの期間に食べられます。

 
○パン・オ・ノア
パン・オ・ノアはくるみをたっぷり配合したフランスパンで、いわゆるくるみパンのことです。小麦粉だけのものとライ麦粉を加えたものがあり、食事系のパンとして人気を博しています。ノアとはフランス語でくるみを意味します。パン・オ・ノアをはじめ、フィグ・ノア、レザン・ノアなど、名前にノアが付くパンはすべてくるみが入っています。

◎パン生地にナッツを混ぜる時は下処理が必要
パン生地に生のナッツを加える場合は下処理、とくにロースト(乾煎り)が欠かせません。生のものは水分量が多く、そのままパン生地に加えてもカリっとした食感を出すことができないからです。一方、ローストして水分が抜けたナッツはカリっとした食感になり、パン生地に香ばしさや甘みがプラスされます。
 
ナッツは電子レンジやフライパンでもローストすることが可能ですが、ムラなく加熱したいのであればオーブンを使うのが1番おすすめです。オーブンを使う場合は180℃に余熱し、天板にナッツを重ならないように広げて160℃で8~10分ほど加熱します。その後、加熱したナッツを製パンに使う際は、冷めたことを必ず確認してからパン生地に混ぜ込んでください。
 
温度が高い状態でナッツを入れてしまうと、パン生地の温度が上がったり、ひどい場合は酵母菌が死んでパンが膨らまなくなったりすることがあるので注意しましょう。ひと手間かかりますが、ナッツ入りのパンをおいしく仕上げるためにはこの作業が重要です。
 
さらに手間かけるなら、ローストしたナッツを製パンに使う前に1度水通ししておくのもおすすめです。ナッツを水通ししておくことで、パン生地に混ぜた際にナッツが生地の水分を吸うのを防ぐことができます。

 
◎パン生地にナッツを混ぜるタイミング
パン生地にナッツを混ぜるタイミングは、ナッツの使い方によって異なります。
パン生地に練り込む、混ぜ込む場合は一次発酵の前にナッツを加えます。目安としてはパン生地を8~9割捏ね上げたタイミングです。
 
あまりにも早い段階でナッツをパン生地に加えてしまうと、ナッツが粉砕して細かくなりすぎてしまう恐れが出てくるため注意しましょう。パン生地にナッツを混ぜ込む場合は分量にも注意することが必要です。ナッツなどの細かい粒をパン生地に加えると、グルテンが分断されてパン生地がふくらみにくくなります。分量が多いほどパン生地がふくらみにくくなるため、製パンにナッツを使用する際はパン生地の2~3割の分量にとどめておくようにしましょう。
 
パン生地にトッピングする場合は成型時に加えます。ドライフルーツは糖分が多く、表面にトッピングすると焦げることがありますが、ナッツの場合は焦げる心配がほとんどありません。

◎まとめ
カリっとした食感や風味が楽しめるナッツですが、パン生地に加える場合は下処理やタイミングがとても重要です。ひと手間かけることで、おいしくリッチなパンに仕上がります。ナッツ入りのパン生地づくりに慣れてきたら、ドライフルーツやチーズなどを組み合わせて、自分好みのパンをつくってみてくださいね!