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グルテンの形成がポイント!ベタベタしないパン生地づくり

2022年9月26日
パン生地を作るとき、生地がベタベタしてまとまらず困ってしまったことはありませんか?まとまりのよいパン生地にするには、グルテンが欠かせません。この記事では、パン生地がベタベタする原因とその解決方法をご紹介します。
 
◎パン生地づくりに欠かせないグルテン
パン生地づくりの際にベタベタしてまとまらないのは、パン生地を支えるための構造のグルテンがしっかり形成されていないことが考えられます。粉に水を足し、圧力をかけて捏ねることで、小麦に含まれるタンパク質の「グリアジン」と「グルテニン」が網目状に結びついてグルテンが形成されます。
 
パン生地づくりの捏ねはじめは、グルテンがほとんど形成されていないためベタベタします。パン生地をしっかり捏ねたつもりでも、捏ね方が足りないと、グルテンの形成が上手くいかず、ベタベタしがちになります。
◎パン生地の捏ねあがりの状態
パン生地が上手く捏ねあがった状態とは、パン生地にボツボツ感がなくなり、表面がツルっとなめらかで艶があります。粉をつけた指で押すと弾力があって触っても生地がつかない状態が目安です。
 
グルテンが網目状につながってくると、張りと弾力が出てパン生地のベタベタがなくなります。上手く捏ねあがるとグルテンが形成されるため、パン生地を両手で引っ張ると、パン生地の向こうが透けて見えるほど薄く伸ばせます。グルテンの膜がしっかりと張って、ちぎれにくくなるのが特徴です。

◎パン生地がベタベタする原因
パン生地がベタベタする原因はさまざまですが、パン生地づくりの主材料や副材料、温度などが大きく関係しています。
 
○水分量
パン生地を作る際に加える仕込み水の量が多すぎると、パン生地がベタベタしてしまいます。余分な水分は小麦粉と混ざらないので注意してください。
○小麦粉の種類
小麦粉に含まれる、グルテンの元となるタンパク質量が少ないほどグルテンが形成されにくいため、パン生地はベタベタしやすくなります。小麦粉に含まれるタンパク質量は、銘柄によっても異なりますが、おおよその量は強力粉が12%~(国産の場合は11%程度)、中力粉(準強力粉)は10~11%程度、薄力粉は10%以下とされています。
○パン生地の温度
捏ねているパン生地の温度が高すぎても低すぎても、パン生地がベタベタしてまとまりにくくなります。パン生地の温度の調節は、材料や室温などさまざまな条件を考慮する必要があります。
○油脂の量
油脂は、グルテンをコーティングするため、グルテン同士のつながりが形成されるのを阻害します。そのため、パン生地に油脂が余分に入るとベタベタしやすくなるのです。一方で、油脂を入れるとパン生地が伸びやすくなり、手に付きにくくなるメリットもあります。
○塩の量
塩はグルテンを結びつける働きがあるので、入れ忘れるとパン生地が柔らかいままとなり、ベタベタしやすくなります。逆に塩を入れ過ぎるとグルテンが形成されるのに必要な水分を奪ってしまうので、グルテンが形成されずパン生地がベタベタします。
◎パン生地がベタベタするときの解決方法
ベタベタしない、まとまりのよいパン生地にするには、いくつかポイントがあります。1つずつ試してみながらつくってみるのもよいでしょう。
 
○タンパク質量が多い小麦粉を選ぶ
タンパク質量の多い小麦粉でパン生地をつくると、グルテンが形成されやすく、まとまりのよいパン生地になります。一般的に海外産の小麦粉は、国内産に比べてタンパク質量が多く含まれていますが、日光が多く当たる地域は、小麦粉のタンパク質量が少なくなると言われています。小麦粉を選ぶ際は、袋に記載されているタンパク質量を確認しましょう。
○仕込み水の計量はきちんと行う
小さじ1杯程度の水分量の違いでも、パン生地の柔らかさは大きく異なります。わずかな違いでもパン生地への影響が大きくベタベタする原因となるため、仕込み水はきちんと計量しましょう。
○少ない量の仕込み水で捏ねはじめる
適切な水分量は、パン生地に使用する粉や部屋の温度などによっても異なります。はじめは、レシピより少なめの仕込み水でパン生地を捏ね、固く感じる場合は仕込み水を少しずつ足して適度なパン生地に調節します。1度に水を多く入れてしまうと、パン生地がベタベタになり立て直しが難しいので、捏ねはじめの仕込み水は少なめにしましょう。 
 
○水分量の多いパン生地は優しく捏ねる
水分量の多いパン生地は、グルテンのつながりが弱いので優しく捏ねます。パン生地を触り過ぎないことも大事なので、パン生地がちぎれない程度に柔らかく叩きつけるようにして捏ねましょう。するとグルテンがつながり、まとまりのあるパン生地になっていきます。
○季節や部屋の温度に気を付ける
生地を捏ねあげる温度の目安は一般的に24~30℃と言われています。パン生地は温度が高過ぎても低すぎてもベタベタするので、季節に合わせて仕込み水の温度を変えてみましょう。仕込み水の温度の目安ですが、夏は10℃以下の水、冬は40℃以下の水です。夏はあらかじめ使用する粉やバターを冷やしておくと、パン生地を捏ねている間に温度が上がりすぎません。冬の仕込み水の温度は、ほかの季節より高めがおすすめですが、40℃を超えるとイーストの発酵が阻害されるため注意してください。部屋の温度やパン生地を作る人の手の温度によっても変わってくるので、パン生地の適温を探してみましょう。
○手についたパン生地を取る
柔らかいパン生地を捏ねる場合は、手や捏ね台についたパン生地をときどき取って、ひとまとめにしながらこねると捏ねやすくなります。手や捏ね台にパン生地が付いたまま捏ねると、さらにそこに別のパン生地が付きやすくなり、ベタベタしたままになるからです。その際は「カード」や「スケッパー」と呼ばれる柄のないヘラを使うと、パン生地を取りやすくなります。
◎水分量の少ないパンづくりからスタート
パンの種類によって水分量は異なります。加水率と言われる小麦粉に対しての水分量は、一般的なパンは65%前後ですが、バゲットやパン・ド・カンパーニュなどのハードパンの加水率は70〜80%です。一般的なパンに比べると、ベタベタしたパン生地になりやすいので、パン生地づくりが難しいとされています。
 
初心者さんはパン生地の水分量が少なめなパンづくりからはじめてみてはいかがでしょうか。慣れてきたら徐々に水分量の多いパンに挑戦するのもよいでしょう。
 
◎まとめ
ベタベタしたパン生地にしないためには、グルテンがしっかり形成されるように、水の計量や温度などに気を付けることが大切です。パンづくりは室内の温度や湿度でコンディションが変わるので、上手に調節しながら楽しいパンづくりにしましょう!