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生地を薄く伸ばすのに活用されるシーターの種類と選び方

2022年10月11日
パンの製造では、製造するパンの種類によって必要な工程も異なります。食パンなどパン生地を型に詰めて焼き上げる種類や、クロワッサンなどシート状のパン生地を使って成形する種類があります。シート生地を使用するパンは、ほかにもデニッシュや菓子パンなどさまざまです。
この記事では、シート生地を使ってパンを製造する際に、作業を効率化して作る人の負担を減らすのに役立つ製パン機械、シーターについてご紹介します。
◎折り込みの工程で活用されるシーター
シーターは、パンやパイなど、さまざまな生地を薄く伸ばしてシート状にするために使われる製パン機械です。パイローラーやリバースシート 、リバースシータとも呼ばれています。特にクロワッサンやデニッシュ、パイなどを作るときに必要な「折り込み」と呼ばれる工程で多く活用されています。
 
折り込みとは、パン生地にバターを折り込んで層を作る作業のことで、バターをパン生地に挟んだ状態で生地を薄く伸ばし、伸ばした生地をたたんでまた伸ばすという作業を繰り返し行います。クロワッサンの場合は、三つ折りを3回行うのが一般的です。
 
手作業ではめん棒を使って行いますが、パン生地を薄く伸ばす作業を何度も繰り返すため、たくさんのパンを製造する場合は大変な作業となります。伸ばす作業に時間がかかると、バターが溶け出してしまうこともあるため、ベーカリーなど、ある程度たくさんの生地を使って折り込みを行う場合は、シーターを使うことで作る人の負担を減らすことができます。


 
シーターは、小型のものから大型のものまで、実にさまざまなサイズがある製パン機械です。基本的には、テーブルのような長方形のボードの中央に、ローラーが取り付けられているという構造になっており、ボードにはベルトが巻かれています。ボードにパン生地を置いてハンドルやフットペダルなどでベルトを左右に動かすとパン生地がローラーの下を通り、ローラーも回転することで、生地を薄く伸ばせる仕組みになっています。ローラーの左右どちらからも生地を入れて伸ばすことができ、右に左にと逆方向に移動させながら生地を伸ばすため、リバースシータといった呼び方もされています。
 
◎大きさや機能でわけられるシーターの種類
シーターは、小規模店舗からパン工場まで、さまざまな製パンの現場で使用されている製パン機械で、大きさや機能などが異なるさまざまな種類のシーターが製造販売されています。
 
まず小型タイプのシーターは、小規模店舗などで活用できるサイズで、机に置いて使用する卓上タイプです。ボードからローラー部分を取り外して丸洗いしたり、ボードと別々にコンパクトにたためる小型のシーターは、使用しないときは収納できるので家庭でも活用することができます。ハンドルを使って手動で動かすので電源も不要です。卓上タイプの小型シーターのなかには、ボードとローラーが一体型になっているタイプもありますが、ボード部分をそのままたためるので、省スペースで設置することができます。


 
中型から大型のシーターは、ボードの下側に台座が付いており、台座の大きさやボード部分の長さはシーターによってさまざまです。台座にはキャスターがあるので簡単に移動させることができ、中型タイプであればボード部分を折りたたんでコンパクトに収納することも可能です。手動のハンドルやフットペダルを使って操作ができるだけでなく、ローラーとボードの幅やスピードなどを調整しておけば、自動で動作ができるシーターもあります。
 
中型から大型のシーターのなかには、フルオートで動作可能なシーターもあり、ローラーの間隔やベルトの速度、停止位置などすべて細かくプログラムで設定することができます。スタートスイッチを押せばプログラム通りに調整し、生地を伸ばす作業を自動で行うことが可能です。
 
◎パンの生産量や設置スペースで決まるシーターの選び方
シーターにはさまざまな種類があるため、製造場所のスペースや製造するパンの生産量などに合わせて選びますが、そのほかにもシーターを選ぶ際のポイントはいくつかあります。
 
まずはシーターの機能性です。シーターによってローラーの太さやローラーとボードとの間で開けられる最大間隔に違いがあります。ローラーの直径は120mmのシーターが多いですが、小型タイプでは直径90mm、大型タイプでは直径200mmなどのシーターもあります。ローラー間隔も、16mmほどから50mmほどまでと幅広いサイズがあり、ローラー間隔が広ければ、より大きな生地を扱うことができるため、生地量に合うシーターを選ぶ必要があります。
 
付属品やオプションなどもシーターによってさまざまです。薄く伸ばしたパン生地を、カットするためのカッティングローラーが取り付けられるものや、加圧板を取り付けてシートをロール状に丸めることができるシーターであれば、生地を伸ばした後の工程もシーターで行うことが可能です。
 
衛生性もシーターを選ぶ際のポイントになります。シーターは、食品を扱う製パン機械なので、異物混入などに注意が必要です。シーターの塗装やメッキなどがはがれることがないよう、オールステンレスになっているシーターもあります。すき間がなくパン生地のカスが溜まりにくい、ローラーについてしまったカスをかきとりやすい、ローラーなどの部品を着脱しやすいなど清掃性の高い構造になっているシーターであれば、衛生面においても安心です。
 
安全性についても考慮して選ぶ必要があります。安全カバーが付いていないと動作しない仕組みになっていたり、清掃運転モードでは、ロールの回転が遅くなり手の引き込み事故を防止できる仕様になっているなど、安全性の高いシーターを選ぶようにしましょう。


◎まとめ
シーターは、パンやパイなどの生地をシート状に薄く伸ばすために活用されている製パンの機械です。バターを折り込んで何度も伸ばす折り込みなどを行う際にシーターを使用するなら、作り手の負担を軽減することができます。KOKIでは、ラウンダーやデバイダーなど、効率的にパンの製造を行うための製パン機械の開発を行っています。製パン機械のご相談は、お気軽にKOKIまでお問い合わせください。