パン生地をこねるとき、ボソボソすることはありませんか。パン生地づくりの工程で、いくつかのポイントを押さえると、まとまりの良いパン生地になります。この記事では、パン生地づくりの際にボソボソする原因や口当たりを良くする方法をご紹介します。
◎ボソボソしないパン生地とは
理想の状態にこねあがったパン生地とは、どんな状態のものでしょうか。見た目は、パン生地の表面にボソボソ感がなく、つるつるとなめらかで光沢感があります。
パン生地を触るとほとんど手にくっつかず、指で押すと弾力があって指の形が残りません。さらに両手を使って徐々に両側にひっぱると、向こう側が透けて見えるほど薄く伸びるのが、理想のこねあがりの状態です。
◎パン生地がボソボソする原因と解決法
パン生地がボソボソするのは、材料やこね具合など、さまざまな原因が考えられます。1つだけでなく複数の要因が相まって、ボソボソしてしまうこともあります。
〇材料の計量誤り
パン作りには、材料の正確な計量が必要です。水分が少ない、粉が多いなど、小さじ1杯の水分量や1gのイーストの違いでも、パン生地に大きな影響が出るため、材料の計量は厳密に行いましょう。
自分では、きちんと計量をしたつもりでも、材料を秤に載せる際にボウルの重さが入っていたり、水分を計量カップで計るときにメモリを見間違えたりすることもあります。材料の計量の際には、十分に注意しましょう。
〇レシピの粉が違う
使用する粉は、それぞれの銘柄でタンパク質量や水分の吸収の仕方が異なります。そのため、レシピと違う粉を使うとパン生地がボソボソしたり、逆にベタベタしたりすることがあります。国内産と外国産や、強力粉と準強力粉の違いでもパン生地の状態は変わります。全粒粉やライ麦などを使用すると、よく水分を吸うのでパン生地がボソボソしやすいです。
パンづくりの日が浅い場合は、まずはレシピ通りの銘柄の粉を使うと失敗が少ないでしょう。数をこなしてパン生地の扱いになれてきたら、徐々に銘柄違いの粉やアレンジを加えてください。
〇水分不足
季節によって、温度や湿度が変わると粉に含まれる水分量も変わります。パン生地がボソボソするのは、水分量が少ないことも原因の1つです。冬場だけでなく、夏場でもエアコンが効いた室内などは、空気が乾燥しているため、粉に含まれる水分量も少なくなります。
パン生地づくりにおいて水分量は特に重要なので、生地の状態を確かめながら調節していきましょう。それでもパン生地が固くボソボソする場合は、水分をパン生地にいきなりかけるのではなく、まずは手に水分をつけてパン生地をこねてなじませるなど、少しずつ慎重に行いましょう。
〇こね不足
手ごねでパン生地づくりをする場合、こねすぎることはほとんどありません。特に初心者さんの場合、生地がボソボソとまとまらないのは、こね不足が原因のことが多いです。
はじめは、パン生地がボソボソしていてもさらにこね続ければまとまってくるので、理想のパン生地の状態になるまでこねましょう。ただし、こねればこねるほど水分が蒸発してパン生地が乾燥していくので、時間がかかりすぎないよう注意してください。
〇材料が均一に混ざっていない
パン生地をこねる理由は、材料をまんべんなく混ぜて、グルテンを網目状にしっかりと形成するためです。材料が均一に混ざっていないと、水分や糖分、塩分などパンの材料がパン生地全体に行き渡らず、ボソボソしてグルテンの形成が上手くいきません。
こねる前の段階でボウルのなかで粉類と水を合わせる作業を素早く行い、材料がある程度均一になってからこねはじめましょう。材料がまんべんなく混ざっていないと発酵が鈍くなったり、パンの膨らみにも影響します。
〇油脂を入れるタイミング
グルテンは、粉に水分を加えてこねることで形成されるので、先に油脂を入れると粉のタンパク質をコーティングして水分が入りづらくなります。そのことにより、グルテンが形成されづらくなるので、パン生地がボソボソします。
油脂を入れるタイミングはレシピにもよりますが、早く入れ過ぎていないか確認しましょう。パン生地を作り慣れていない間は、油脂の後入れがおすすめです。
◎パンの口当たりを良くするポイント
頑張って作ったパンの焼き上がりは、嬉しさもひとしおです。ですが実際にパンを食べてみると、ボソボソと口当たりが悪いことがあります。ふっくらと口どけの良いパンにするためのポイントも押さえておきましょう。
まず考えられるのは、パン生地の際のこね不足です。パン生地をこねてしっかりとしたグルテンが網目状に構成されると、その網目のなかにイーストの発酵したガスや空気がとじこめられてふっくらとボリュームのあるパンになります。反対にこねが不足すると口当たりの悪いパンになります。
次に、パン生地に対してのイーストの量を確認しましょう。イーストを入れ過ぎた場合、一見するとふっくらと大きく膨らんだ焼き上がりになりそうですが、実際はイーストと結びつく糖分が足りなくなるので、イースト菌の活性化が低くなり膨らみにくくなります。そのため、できあがったパンは口当たりがボソボソしてしまいます。
粉の粒子に水分が行き渡って浸透すると、パン生地から水分が逃げにくくなり、パンを焼いた後でも、ボソボソせずしっとり感が長持ちします。粉は一見すると均一の粒子に見えますが、実際はさまざまな大きさの粒子で構成されているので、大きな粒子にも水分を浸透させることが大切です。
1次発酵で時間をきちんと取ると粉に水分がなじんで、パンがしっとりと仕上がります。そういったことから、適度な発酵時間を取ることは口あたりの良いパンを作るのに欠かせません。パンは焼き上がり後、徐々に水分が蒸発し乾燥していきます。また、パン生地に含まれるデンプンが温度低下とともに劣化すると、ボソボソとした食感になってしまいます。パン生地をつくる段階で水分をしっかりと抱え込むようにしましょう。
発酵時間を取ることは大切ですが、逆に過発酵なパン生地はイースト菌のガスが発生しすぎて肌理が粗くなり、また弾力も弱くなっています。そのため焼くとボソボソ、パサパサした口あたりになるのです。気温が高い夏場や冬でも室内の温度が高い場合などは、パン生地の温度が上がり過ぎないように気を付けましょう。また、発酵具合は時間だけでなく、生地の状態で充分な発酵を見極められるようになると良いでしょう。
パンを焼く際にも気を付けることがあります。しっとりとしたパンを作ろうとして焼く前にパン生地に霧吹きで水をかけるのは逆効果です。吹きかけた水が蒸発する際にパン生地の中の水分が抜けてしまうのでボソボソとしたパンが焼き上がります。
◎まとめ
パン生地や焼き上がったパンがボソボソしないよう、気温や湿度などに合わせて、ポイントを確認しながら楽しくパン作りを行いましょう。