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パンづくりで失敗しないための基本的なポイント

2022年12月27日
「パンを作ってみたいけど、なんだか難しそう」と思っていませんか?パン作りの基本的な流れと、それぞれの工程でのポイントを知っていれば、美味しくパンを焼ける確立が上がります。この記事では、基本のパン作りの工程やポイントをお伝えします。
 

◎パンが出来上がるまでの工程

作るパンによっても異なりますが、パン作りの基本の工程は、おおよそ次の流れになっています。最初に行うのは材料の計量です。粉類なら数グラム、水分なら小さじ1杯程度の違いでもパン生地づくりに大きな影響が出ます。そのため、材料の正確な計量はパン生地づくりの基本です。
 
次は捏ねの工程に移ります。ミキシングとも呼ばれるパン生地作りの要になる大事な作業です。パン生地を過不足なく捏ね上がれば、グルテンの網目構造がしっかりと形成され、ふっくらとした美味しいパンになります。
 
パン生地が捏ねあがったら、次は一次発酵の工程です。ゆっくりと時間をかけて発酵させると、パン生地のなかに炭酸ガス以外にも、香気アルコールや有機アミノ酸などの旨味成分がたくさん出て、パンの美味しさの元となるのです。一次発酵で発生した炭酸ガスは、気泡の大きさが整ってないため、ガス抜きを行います。
 
作るパンに合わせて分割しベンチタイムを取ることで、パン生地の熟成が進んで美味しいパンになります。続いて、丸パンのような基本の形にパン生地の成形を行います。成形は焼き上がりパンの大体の形を決める役割と、次の発酵が上手くいくように整えます。次は二次発酵を行います。一次発酵で発生した大小さまざまな大きさの炭酸ガスの気泡を抜いてもう1度発生させることで、きめが細かくふっくらとしたパンになります。
 
最後は、パン生地の焼成の工程です。ご自宅のオーブンに合わせた時間や温度の設定ができれば、美味しいパンが焼き上がります。これらの工程を経て作るパンは種類によっても異なりますが、基本的なパンを作るには3~4時間程度かかります。
 

◎パンづくりで押さえておきたいポイント

パン作りに慣れていない間は、シンプルで型のいらないパンや基本的な小型の丸パン、ロールパンなどがおすすめです。今回は、インスタントドライイーストを使用した、ストレート法でのパンづくりの基本を説明します。
 
〇材料の計量
パン生地をつくる際は、数グラム程度の微量を計ることも多いため、0.1g単位の秤(デジタルスケール)を使うと、より正確に計量できます。インスタントドライイーストは捏ねる直前まで、塩や砂糖に触れないよう、小さめのボウルなどに入れて別に分けておきましょう。
 
これは、パン生地を捏ねる前の早い段階でイーストが塩や砂糖に触れてしまうと、発酵力が弱まるためです。また、仕込み水の温度は捏ねの工程に影響するので、基本夏は10℃以下、冬は40℃以下と季節によって変えましょう。
〇捏ね(ミキシング)
捏ねは材料を全体的に分散させて、パン生地の骨格であるグルテンを形成させるための工程です。大きめのボウルを使って、まずは粉類だけを混ぜておくと、材料が均一になり、発酵が安定しやすくなります。合わせた粉類に仕込み水を入れて混ぜ、ボウルについた粉もこそぎ取ります。パン生地の材料が、計量した量とできるだけ変わらないようにするための基本の作業です。全体に水気がなくなる程度に混ぜ合わせてから、合わせた材料を捏ね台に載せます。
 
ここから捏ねていきますが、パン生地にしっかりとしたグルテンが形成されるよう、圧力をかけて捏ねることが大切です。また、捏ねる際のパン生地の温度が低すぎても、高すぎてもまとまりにくくなるため、仕込み水の温度などで調節しましょう。特に夏場は材料を冷やしておくと、パン生地を捏ねている間に温度が上がり過ぎません。
 
油脂を入れるタイミングが早すぎると、グルテンの形成や発酵が阻害されてしまいます。そのため、パン生地が7~8割のある程度グルテンが形成された状態で加えます。初心者さんは捏ね不足が多い傾向にありますが、時間がかかりすぎるとパン生地の水分が蒸発して乾燥するので注意が必要です。
 
捏ねあがりのパン生地の温度は25〜28℃が目安となります。ちょうど良い具合に捏ねあがったパン生地は表面がツルっとして光沢があり、両手で優しく左右に引っ張ると、向こう側の指の色が透けるくらいに伸びます。
〇一次発酵(フロアタイム)
一次発酵は温度が30~40℃、湿度は75%くらいで1時間ほどかけて行うのが基本です。パン生地の大きさは発酵前の2〜2.5倍くらいになります。フィンガーチェックを行う場合は、粉をつけた指でパン生地を差し、指の形が残れば適切な発酵具合です。
 
ひとまとめにしたパン生地は、綴じ目を下にして容器に入れると、発酵中に発生する炭酸ガスを逃しません。また、パン生地が乾燥しないようにボウルに入れてラップをかけたり、蓋のついた入れ物に入れたりして発酵しましょう。温かい季節は室温でも大丈夫ですが、オーブンの発酵機能や湯煎で発酵させても良いでしょう。
〇ガス抜き・分割・ ベンチタイム
一次発酵が終わったパン生地は炭酸ガスで膨らんでいるため、ガス抜きをします。実はパン生地の内部と外側では温度に違いがあるため、ガス抜きをすることでパン生地全体の温度が均一になり、また新しい酸素が入ることでイーストが活発に働きます。
 
パン生地は優しく丁寧に扱い、グルテンの網目構造を傷めないように気を付けます。パン生地を分割する際は、カード(スケッパー)を使って、スパッと一気に切りましょう。カードを前後に動かして分割すると、パン生地がすれて傷む原因になるからです。慣れないうちは秤を使いながら、同じ重量で分割します。これはパンの焼き上がりを均一にするための基本のポイントです。
 
ベンチタイムの前にパン生地を基本の丸パンのように丸めますが、これを成形の準備段階として、生地の表面が軽く張るようにします。10〜20分のベンチタイムを取ることで、パン生地が緩んでひと回り大きくなる程度に柔らかくなり、成形しやすくなります。ベンチタイムの間もパン生地が乾燥しないように、ラップや濡れ布巾をかけておきましょう。
〇成形
成形の際は、パン生地をつぶさないよう、基本は手のひらで優しく包み込むように扱いましょう。グルテンの網目構造に溜まったガスが抜けないようにパン生地の表面を張り、綴じ目をしっかり閉じたら発酵中に発生する炭酸ガスが抜けないよう、綴じ目は生地の下にします。
〇二次発酵(最終発酵・ホイロ)
二次発酵は30℃から40℃の温度、湿度は75%ほどで、45分から60分くらい行います。発酵前のパン生地と比べて大きさが1.5倍から2倍になったら適度な発酵の目安です。一次発酵と同じく、パン生地が乾燥しないように気を付けましょう。二次発酵が終わったら基本的にはパン生地に触らず、あらかじめオーブンの予熱を開始しておき、発酵が終わったらすぐに焼成に入るよう準備が必要です。
 
〇焼成
パン生地を焼成する際は、オーブンの予熱を必ず行うのが基本のポイントです。パン生地をオーブンに入れる際の、扉を開ける時間は最小限にします。家庭用のオーブンだと、1度扉を開けると10〜30℃温度が下がるとも言われているからです。これを防ぐために、高めの温度で予熱をするのも良いでしょう。
 
焼成時間の最初の3割を占めるパン生地の「窯伸び」の間は、オーブンの扉は絶対に開けないよう注意してください。扉を開けて庫内の温度が下がると、パン生地がしぼんでしまいます。また美味しいパンを焼き上げるには、パン生地の水分量が大きく関わるので、焼成の温度よりも時間が重要です。オーブンごとにパン生地の焼き上が異なるので、レシピ通りに設定しても思ったようにならないこともあります。そのときは温度を調節するなどしてちょうど良い設定が見つかると、美味しいパンづくりへの近道になります。焼き上がりは、パンの裏側にも焼き色がついていたら、なかまで火が通った目安です。
 
焼き上がり後に天板ごと台などに軽く打ち付けて、パンにショックを与えることも美味しいパンの基本です。パンの内部の水蒸気を蒸発させ、パンの内部の温度を下げることで、パン全体が冷えた時に腰折れしにくくなります。

◎まとめ

パン作りは、ひとつひとつの基本的な工程を手探りしながら、最適な作り方を見つけていくことが大切です。基本のポイントを押さえてパン生地づくりを行うと、失敗しない美味しいパンが焼きあがるでしょう。