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パン生地の最適な保管方法とは?パン工場で使われるボックスエレベーターとドゥボックス

2023年1月10日
パン作りの工程では、パン生地を休ませるタイミングが何度かあります。はじめに休ませるタイミングは、材料を混ぜてこねたあとで生地を分ける前に行う一次発酵です。パン生地を休ませると言っても、ただパン生地を置いておけばよいというわけではありません。この記事では、一次発酵におけるパン生地の保管方法や、ベーカリーやパン工場でパン生地を休ませるために使用している道具や製パン機械もご紹介します。
◎一次発酵におけるパン生地の保管方法
一次発酵を行うのは、小麦粉や水、イーストなどの材料を混ぜ、こねてひとまとまりになったタイミングです。パン生地を休ませる時間を置くことで、イーストが小麦粉の糖分を分解してガスを出し、パン生地が膨らんでいきます。パン独特のやわらかさやボリューム、風味を出すために必要な工程です。
 
発酵のために休ませるときは、パン生地を乾燥させないことが大切です。パン生地が乾燥すると、出来上がりがきれいに膨らまずにいびつな形になってしまったり、ぱさぱさした食感になったりしてしまうことがあります。そのようなときは、ふたつきの容器があれば、ふたをして密閉することで乾燥を避けられます。
 
ボウルやトレイなどに入れて休ませる場合は、ラップで密封することもできますが、パン生地が膨らんでラップを押し上げ、すき間ができてしまうことがあるため、大きなビニールでボウルやトレイごと覆ってしまう方法がおすすめです。乾燥しやすい秋冬に作る際や加水が低いパンを作る場合は、固く絞った濡れフキンをかけるなどして乾燥を防ぐことができます。

◎ベーカリーでの保管方法
多くのパンを製造している店舗では、家で作るよりもパン生地の量が多くなります。そのためベーカリーなどの店舗では、「ばんじゅう」と呼ばれる道具を使ってパン生地を保管します。
 
ばんじゅうは、プラスチック製の箱で、パン以外の食品業界でも使用されており、和菓子や豆腐などを保管したり運んだりするために使われています。長方形で深さがある箱ですが、フタ付きやフタなし、深さが深いタイプや浅いタイプ、サイズが小さい半ばんじゅうなどの種類があります。深型のばんじゅうであれば、多くのパン生地を保管でき、パン生地が発酵してふくらんでも安心です。こねたパン生地を入れてフタで密封したり、いくつか重ねて置いておいたりもできます。
 
ばんじゅうで保管したパン生地は、発酵が終わるとばんじゅうから出して分割し、丸めを行ってからもう1度ばんじゅうに入れて、二次発酵を行います。ばんじゅうは、プラスチック製でパン生地がはがれやすいですが、薄く粉をひいてからパン生地を保管すると、よりくっつかないようにすることができます。

◎パン工場で使用するボックスエレベーターとドゥボックス
パン工場で、パン生地を保管したり移動したりするために使用されているのは、ドゥボックスという道具とボックスエレベーターという製パン機械です。ドゥボックスは、大きな長方形のボックスで、ばんじゅうの代わりとなるような道具です。素材にはステンレスなどが使用されており、タイヤが付いていて移動できるようになっています。大きさはいくつかあり選ぶことができますが、基本的に横幅は1m以上、縦幅と深さも50cmほどある大きなボックスで、フタはついていません。パン工場では、毎日大量のパンを生産しており、1度にこねるパン生地の量も多いため、大量のパン生地を保管できる大きなドゥボックスが必要になるのです。
 
ボックスエレベーターは、ベーカリーなどでは使用されていない大型の機械で、大きなドゥボックスを乗せて運ぶために必要な製パン機械です。多くのパン工場では、中種法と呼ばれる製法でパン生地が作られています。中種法とは、2回に分けて材料をこねてパン生地を作る製法で、まず小麦粉や水、酵母などをミキサーという大型機械でこねて中種を作ります。ミキサーでこねた大量の中種はドゥボックスに移され、発酵のための部屋に保管します。発酵のための部屋は、いくつものドゥボックスを保管できるようになっており、発酵にちょうどよい温度や湿度に管理されています。中種を必要な時間休ませたら、もう1度ミキサーに移し、残りの材料を混ぜ合わせてこね、パン生地を作ります。
 
完成したパン生地は再度ドゥボックスに移され、分割の工程に進むため、分割機と呼ばれる機械へ運ばれます。ドゥボックスで保管しているパン生地をミキサーや分割機の投入口まで運ぶのが、ボックスエレベーターです。ドゥボックスは、ボックス自体とパン生地の重さでかなりの重量になっています。ミキサーや分割機の投入口は機械の上部についているため、上部までドゥボックスを持ち上げるにはボックスエレベーターの力が必要です。ボックスエレベーターには、頑丈な2本の柱があり、ミキサーや分割機の横に設置して使用します。
 
ボックスエレベーターの柱部分にドゥボックスをセットし、操作盤で上下の移動を操作します。投入口がある機械の上部まで上昇すると、自動でドゥボックスを反転させてパン生地を投入することができます。ボックスエレベーターには、ミキサー用ボックスエレベーターと分割機用ボックスエレベーターのほかに、二連式分割機用ボックスエレベーターがあり、2つの製造ラインで製造している大きなパン工場で使用されています。

◎まとめ
一次発酵でパン生地を休ませる際、乾燥させないように保管することで、しっかりふくらんでボリュームのあるパンを焼き上げることができます。パン工場では、製造するパンの量に合わせて、パン生地の保管や移動のためにドゥボックスやボックスエレベーターが使用されています。KOKIでは、シンプルで頑丈なボックスエレベーターの開発・販売を行っています。ボックスエレベーターに関するご相談は、KOKIまでお気軽にお問い合わせください。