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ガス抜きはパンの見た目に影響する!パン工場で使われるモルダーの役割

2023年3月7日
モルダーとは、パン作りの工程において必要なガス抜きと成形を行う製パン機械のことをいいます。手作りとモルダーを使った場合では、パン生地作りの工程やできあがりに特徴があります。この記事では、モルダーを使用するメリットや当社が取り扱っている種類についてご紹介します。
◎パン生地を手作りした場合の工程と仕上がり
ガス抜きは、イーストの活動で炭酸ガスが発生する一次発酵とベンチタイムの後に行うのが一般的です。ガス抜き後はパン生地を最終的な形に整え、二次発酵をして焼成の工程へと移ります。パン生地を手作りする場合、ガス抜きには両手を使います。手のひらで優しくパン生地の中央を押さえたら、生地を傷めないように力加減に気をつけながら外側に向かって順にガスを抜いていきます。食パンなどの大きめの生地のガス抜きをする際には、手のひらではなく、めん棒を使う場合もあります。
 
ある程度ガスを抜いたら、生地の表面にハリを持たせながら手で丸めます。手作りのパン生地は成形時に強く締めていないので、二次発酵中に生地が緩み、発酵が進みやすい傾向にあります。そのため、生地の表面には大きなガスができることがあります。焼き上がったパンの断面には、大小の気泡が見られます。ガス抜きがうまくできたパンは、食感に弾力があり、素朴な味わいが感じられます。しかしガス抜きがあまいと、弾力はなくなり、パサつく食感になってしまうのです。

◎製パン機械のモルダーを使った場合の工程と仕上がり
パン生地を作るのにモルダーを使ってガス抜きをする場合は、2本の加圧ローラーが手のひらやめん棒の役割を担います。モルダーは、ガスの抜け具合や生地の厚みの調整が可能で、手のひらで行う場合に比べてしっかりとガスを抜くことができます。また、生地を2回モルダーに通すことで、よりきめ細やかなパンになります。
 
モルダーではガス抜き後、生地を薄く伸ばして広げればシート状に、ネットで転がして巻けばロール状の成形ができます。モルダーで成形したものは、生地の表面にガスができづらいので、なめらかな見た目になります。
 
モルダーを使って作ったパンは、焼き上がり後の見た目も美しいです。ガス抜きがしっかりされているため、パンの断面にはキメの細かい気泡が表れます。口どけがよく、しっとりふんわりとした味わいを楽しめます。

◎製パン工場にモルダーが欠かせない理由
パン生地づくりの工程において、ガス抜きはとても重要な工程です。しっかりとガス抜きをすることで、パンの焼き上がりは均一で美しい形になります。一方でガス抜きをきちんとしないと、生地の表面には気泡が目立ち歪んだ形になってしまいます。パンの見た目は、味にも影響します。使う材料やほかの工程がまったく同じでも、ガス抜きひとつで見た目や味が変わってしまうのです。
 
手作りのパンと比べて、製パン機械は一定の品質のものが持続して作れるというメリットがあります。一定の生産量と品質が求められるベーカリーや工場では、製パン機械を使用することで作業が効率化され、常に安定しておいしいパンが作れるようになります。
 
たとえば、3斤型の食パンを12本成形するだけで36個のパン生地の成形をしなければならないので手作業で行うと手間と時間がかかります。そこで工場では、モルダーを活用してパン生地作りの工程を機械化することで、生地を投入してから数秒でガス抜きから成形まで行います。
 
モルダーは、生地を伸ばす工程だけに使用することもできます。たとえばあんぱんを作る際には、餡を包む前に生地を伸ばす必要があるので、めん棒がけの代わりにモルダーが使えます。このように、食パンを作る際にはガス抜きと成形まで、別のパンを作る際にはガス抜きだけなど、作りたいパンによって使い分けることができます。
 
製パン機械のモルダーを使用することで、均一なパンを大量に、しかも早く作れるようになります。小規模のベーカリーや家庭で作る場合は別ですが、製パン工場においてモルダーは欠かせない機械であるといえるでしょう。
◎製パン工場で使用されているモルダーの種類
モルダーとひと口にいっても、大きさや使用用途によってさまざまな種類があります。大きさとしては、家庭用電源で使える卓上から大型のモルダーまであり、工場の規模によって選ぶことができます。三角形の生地を投入したら巻き型成形ができるクロワッサン用のモルダーや、バターロールを成形するクレセントモルダー、フランスパンを成形するためのバケットモルダーなど、決まったパンを作るためのモルダーも存在します。
 
製パンの工場で使用される大型のモルダーは、多くの場合、製造ラインに組み込まれています。分割された生地がモルダーに投入されると、ローラーによってガス抜きがされます。その後、パン生地は展圧板を通り、成形が終わったものが製品受けに出てきます。大型ローラーが2段になっているモルダーなら、パン生地を傷めずにガス抜きができます。速度や間隔が調整できる機種であれば、1台のモルダーでも食パンや棒状ロール、包みものの菓子パンなど、さまざまな種類のパンへの対応が可能になります。
 
当社で開発、販売しているモルダーは、それぞれのローラーが単体ドライブ方式で速度調整が自在にできる「モルダーSinple Drive Moulder SDM3」と、多種多様型の「モルダーVraiety KOKI Moulder VKM220」があります。どちらも微妙な速度調整が可能なローラーとなっています。モーターとローラーは簡単に取り外しができるので、メンテナンスが容易にできるのもKOKIが手掛けるモルダーの特徴です。

◎まとめ
製パン機械のひとつであるモルダーを使用することによって、ガス抜きと成形を効率よく行えます。品質の向上と均一化されたパンを製造するなら、モルダーの存在は欠かせません。KOKIではパン生地にやさしいモルダーの開発から販売、購入後のメンテナンスも行っています。モルダーに関することは、お気軽にお問合せください。