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パン生地にスキムミルクを入れる効果を解説!焼き色や味への影響は?

2023年3月14日
スキムミルクは、バターや砂糖といった副原料のひとつです。膨らみや色づきに作用し、口当たりや味といったパン生地の仕上がりに影響を与えます。この記事では、スキムミルクをパン生地に加える効果、牛乳などではなくスキムミルクを使うメリットや取り扱いの注意点を解説します。
◎スキムミルクの活用方法
スキムミルクとは脱脂粉乳のことで、牛乳を乾燥させて作る「粉乳」の一種です。
もとになった英語の「skim milk」は脱脂乳のことを指し、牛乳から脂肪分を取り除いた液体のことを指します。しかし日本では一般的に、脱脂乳を乾燥させたものをスキムミルクと呼んでいます。メーカー、あるいは業務用と家庭用で粉末だったり顆粒であったり形状が若干異なります。
 
戦後に牛乳の代わりとして利用されたものは独特の臭いがあったため、「スキムミルクはくさい」という人もいます。しかし現在の製法で作られたものは香りがよく、飲料や食品にミルク風味をつけるために使われることが多いです。パン生地に加える場合は風味づけ以外にも、膨らみや焼き色をきれいに出す目的で使われています。

 
◎パン生地にスキムミルクを加える効果
スキムミルクをパン生地に加えると、成形がしやすくなる、色づきや口当たりが良くなるといった効果が得られます。また豊富なタンパク質とカルシウムを含むため、パン生地の栄養価が高くなるメリットもあります。
 
パン生地をしっかりと膨らませるためには糖分が必要なため、砂糖を使ったパン生地のレシピが多くあります。スキムミルクに含まれる乳糖にも同様の効果がありますが、砂糖よりも乳糖が優れている点は、イーストによって分解されないことです。
 
イーストは糖分をエサにしてガスを発生させ、パン生地を膨らませます。しかし糖分にはメイラード反応によって、パン生地にきれいな焼き色をつける役割や、保水性によってしっとりした食感にする働きをします。イーストによって糖分が分解されてしまうと、パン生地が思ったような色や食感に仕上がらないことがあります。それを補うのが乳糖なのです。
 
乳糖はイーストに分解されない糖であるため、焼きあがったパン生地の色づきや口当たりを調整する役割があります。また、乳糖の保水性は焼きあがったパン生地の老化防止にも役立ちます。水分に溶けやすい性質でありながら、水の蒸発を防ぐ効果があります。そのため、焼きあがったあともパン生地から水分が飛んで固くなるのを防いでくれるのです。
 
スキムミルクが持つ牛乳の風味は、パン生地の味に奥深さを与えたり、イースト臭さを消してくれます。入れなくてもパンは焼けますが、その場合は焼き色が薄くパサついていて、味はたんぱくになる傾向があります。パン生地の焼き上がりの色を良くするためなら小麦粉に対して3%程度、ミルク風味を足したいなら5~7%程度を目安に加えましょう。

◎スキムミルクが選ばれる理由
ほかにも粉乳は、牛乳をそのまま乾燥させた「全粉乳(全脂粉乳)」と、バターを製造した後の液体を乾燥させた「バターミルクパウダー」があります。それらの粉乳や、粉乳の元となる牛乳ではなく、スキムミルクをパン生地に加えることが多いのには理由があります。
 
まず大きな特徴として、脂肪分の少なさがあげられます。牛乳・全粉乳・バターミルクと比較するともっとも脂質量が少ないのがスキムミルクなのです。脂肪分が少ないと発酵がスムーズに進み、パン生地の仕上がりがふんわりとした焼き上がりとなります。捏ねの際にも伸びが良く、包んだり編んだりとパン生地の成形がしやすいというメリットもあります。
 
風味は全粉乳やバターミルクパウダーを使ったパン生地の方がミルク感は強く出ます。一方でスキムミルクを加えたパン生地はあっさりとした味わいになり、惣菜パンや菓子パンなど、さまざまな種類に使えるオールラウンダーなパン生地に仕上がります。
 
そして、パン生地の水分量の調整の面でもスキムミルクは優れています。ベーカリーや製造メーカーといった業務用のパン生地を作る場合、品質管理のために水分量を厳密に管理する必要があります。そこで牛乳ではなくスキムミルクを使えば、パン生地に水分は足さずにミルクが持つ甘さや風味のみを加えられるため、便利なアイテムです。さらにロス管理においても、水分がなく期限が長いという点から、在庫調整がしやすいというメリットがあります。
◎スキムミルクを扱う際に気をつけること
色づきや風味を良くし、期限が長く管理しやすいメリットはあるものの、扱い方には注意が必要です。ベーカリーでは、翌日の準備として事前に粉類を計量しておくことがありますが、小麦粉や砂糖などの粉類は別々の袋に入れ、スキムミルクが吸湿してダマにならないように保管しましょう。
 
ストックを保管する際も湿気には注意してください。冷蔵庫は乾燥しているイメージがありますが、温度変化によって結露する可能性があるため保管場所には向きません。冷蔵庫以外に適当な場所がない場合は、パッケージの封をしっかりしたうえで、さらに保存容器に入れ、湿気に触れないよう密封して管理しましょう。
 
次に牛乳と置き換えて使う場合の注意点です。パン生地のレシピで牛乳とスキムミルクを置き換える場合は、しっかりと計算して水分量を調整する必要があります。牛乳をスキムミルクに置き換えてパン生地を作る場合は、牛乳の10%の分量のスキムミルクを加え、残りの90%を水に置き換えます。レシピに牛乳50gと書かれている場合は、スキムミルクが5g、水はレシピに書いてある分量にさらに45gプラスします。
 
スキムミルクを牛乳で代用する場合、牛乳には水分があるため、水の量を減らして対応します。牛乳はレシピに書いてあるスキムミルクの分量を10倍にした量をパン生地に加え、水の量は0.9をかけた数字を引き算して使います。スキムミルク5gと書いてある場合は牛乳を50g加え、水の量が100gなら100-(50×0.9)なので水の量は55gとなります。

◎まとめ
スキムミルクは焼き色、香り、膨らみといったパン生地の仕上がりを大きく左右します。目指すパンの仕上がりになるよう、分量を調整して使うことが重要です。理想の口当たりや焼き色をパン生地につけるために、配合量を調整して活用しましょう。