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高加水・多加水の特徴とパン生地を取り扱える製パン機械のご紹介

2023年5月2日
通常のパンより水分を多く含んだパンは、高加水パンや多加水パンと呼ばれています。近年、メディアで取り上げられることも多くなり、知名度や人気は高まっています。この記事では、高加水・多加水パンの特徴や生地を取り扱うポイント、難しいパン生地にも対応している当社の製パン機械をご紹介します。
◎高加水・多加水パンの特徴
高加水・多加水パンは、一般的なパンよりもパン生地に多くの水分を使用するのが特徴です。パン生地に使う粉の総重量を100%とした場合の粉の量に対する水分の割合は、加水率で表すことができ、【材料の水分量÷粉量×100】という計算式で求められます。パン生地に卵や生クリームなどを使用する場合は、水分量に含めて計算します。パン生地の加水率が70〜80%になると、高加水や多加水パンに分類されます。一般的な食パンや菓子パンの加水率は65%前後です。加水率65%前後でパンを作ると、ふんわりとした焼き上がりになります。これよりも少ない加水率65%未満でパンを作ると、ベーグルのような目詰まりした噛みごたえのあるパンに仕上がります。
 
加水率の高い状態のパン生地を高温で一気に焼き上げると、表面はパリッと、なかはしっとりもちもちとした食感になります。焼き上がり後のパン生地の断面には大きな気泡がみられ、噛めば噛むほど味わいが深くなるのが高加水・多加水パンの魅力です。高加水・多加水パンといえば、カンパーニュやバゲット、フォカッチャなどのハードなパンが代表的です。近年は、高加水・多加水が売りのベーカリーが全国にあり、さまざまな高加水や多加水のパンを楽しむことができます。

高加水・多加水パンの特徴
◎高加水・多加水パンのメリット・デメリット
高加水や多加水パンのメリットは、香りやうま味が引き出された風味の豊かなパンが作れることです。通常のパンよりも酵母を少なく調整するので、イースト特有の香りは残りません。さらに低温で長時間発酵させるので、パン生地は熟成され芳醇な香りと深い味わいが生み出せるのです。高加水や多加水パンは、賞味期限が長くなる傾向にあります。パン生地内の水分量が多いので、焼成の段階ででんぷんが糊化し、内側に水分を保持する働きが生まれます。できあがったパンの外側は固いので水分が抜けにくいため老化が遅くなります。翌日以降もパサつくことなくしっとり感が持続するので、おいしく食べられます。
 
一方で、水分量が多いゆえにカビには気をつけなくてはなりません。とくにカットしたパンの断面は水分を多く含むので、空気中に漂うカビと反応しやすくなります。保存する際は、必ず高温多湿を避けるようにしましょう。梅雨や夏場はより一層の注意が必要になります。高加水や多加水のパンは、パン生地の取り扱いが難しいというデメリットがあります。多くの水分を含むパン生地は、ゆるくてベタベタするため手にくっつきやすく、作業に時間がかかります。また、パン生地に流動性があるので高さを維持するのは難しく、扁平的な同じ形状のパンになってしまいがちです。これらの理由から、パン生地の取り扱いは手間がかかるため、大量生産は大変とされています。

高加水・多加水パンのメリット・デメリット
◎高加水・多加水のパン生地を取り扱うポイント
高加水や多加水のパン作りは高度な技術や工夫が必要であり、熟練の職人でも取り扱うのは大変といわれています。パン生地作りにあまり慣れていない人であれば、比較的水分量の少ないレシピから挑戦するのが良いでしょう。高加水・多加水のパン生地作りをしやすくするには、使用する水を変えてみる方法があります。日本の水道水はほとんどが軟水です。基本的に軟水はやわらかいパンを作るのに向いているため、高加水や多加水のパンを作る際は、硬水を使用すると良いでしょう。硬水に多く含まれるマグネシウムが、グルタミンと結合することでグルテンがしっかり形成されパン生地を引き締めてくれるので、作業がしやすくなります。パン生地を混ぜる際は、ヘラやスケッパーを使えばゆるくてベタベタするパン生地が手につくのを気にすることなく作業に集中できます。成形などでパン生地を触る際は、適切な量の手粉を使ってパン生地を傷めないように優しく取り扱うようにしましょう。
 
高加水や多加水のパン作りが難しいと感じる場合は、オーバーナイト法を試してみましょう。オーバーナイト法とは、パン生地を冷蔵庫などの低温で長時間発酵させて、翌日に成形して焼き上げる製法です。オーバーナイト法を使えば、パン生地をしっかりこねる必要はなく、2日に分けてパン作りをするので時間的な余裕が生まれます。

高加水・多加水のパン生地を取り扱うポイント
◎高加水・多加水のパン生地の分割と丸目ができる製パン機械
水分量が多いため取り扱いが難しく、作業効率が悪いといわれる高加水や多加水のパンですが、当社では水分量が多いパン生地にも対応できる製パン機械があります。高加水・多加水のパン生地でも大量生産が可能になるのです。
 
分割機SSD21/丸目機VLR01Cは、小型のサーボ分割機とV型リニアラウンダーを組み合わせた製パン機械です。サーボ式分割機は、高加水や多加水のやわらかいパン生地に特化しています。パン生地を切って分けるのではなく吸引して押し出す方式なので、パン生地にダメージを与えません。また、手で取り扱うのが困難な高加水や多加水のパン生地でも、タッチパネルの簡単な操作で分割ができます。
 
また、分割機と丸目機が一体化しているため、省スペースでも設置が可能です。ほかにも、部品数が少ないシンプルな構造でメンテナンスが簡単なこと、軽い樹脂製パーツを多く使用しているので清掃がしやすいことがあげられます。シンプルな構造や軽い部品というのは、ほかの製パン機械にも共通した特徴となっています。常に「生地にやさしい」製品を追求しながら、お客さまのニーズに応えるため、開発から設計、製造やメンテナンスまで、一連の業務を行っております。

高加水・多加水のパン生地の分割と丸目ができる製パン機械 分割機SSD21/丸目機VLR01C
◎まとめ
高加水や多加水のパンは、風味が良い、保存が効くなどのメリットがある反面、作る際の難易度は高いといえます。当社には、高加水・多加水のような取り扱いが難しいパン生地でも対応できる製パン機械があります。製パン機械に関するご相談は、KOKIまでお気軽にお問合せください。