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もう失敗しない!パン作りに欠かせない温度管理とは

2023年6月13日
パン作りにおける温度管理は、レシピ通りに材料を測ったり、工程を進めたりするのと同じくらい重要です。おいしいパンを作る秘訣は、温度管理にあるといっても過言ではありません。この記事では、温度管理の重要性や必要なタイミング、ポイントについてご紹介します。
◎パン生地作りにおける温度管理の重要性
温度管理は、パン生地作りに欠かせない要素のひとつです。常に一定量のパンを製造しているベーカリーや工場では、日々温度管理に気をつけて作業しています。温度管理が重要な理由は発酵が関係しています。発酵は、イーストがパン生地内の糖分を分解してアルコールや炭酸ガスを発生させる働きのことで、パンの味や食感を左右します。イーストは生き物なので、温度が低ければ活動は鈍くなり、あまりに高ければ死滅してしまいます。
 
したがってパンを作る際には、イーストがうまく発酵するようにパン生地自体の温度や部屋の温度を適切にコントロールする必要があるのです。「レシピ通りに作ったのにうまくいかない」「焼き上がったパンの仕上がりに毎回ばらつきがある」といったパン作りの悩みを抱えている方は、1度温度管理について見直してみると良いでしょう。
 
適切な温度管理のために用意しておきたいのが温度計です。温度計は、室温を測るためのものとパン生地の温度を測るためのものと、2種類用意しましょう。パン生地作りでは乾燥にも気をつける必要があるので、室温を測る温度計は湿度も測れるタイプだとより好ましいです。さらに家庭で本格的にパン作りを楽しみたいのであれば、発酵中にパン生地の温度を保っておける保温庫の導入も検討しましょう。

パン生地作りにおける温度管理の重要性
◎温度のコントロールが必要になるタイミング
温度のコントロールが必要なのは、こね上げ、一次発酵、二次発酵のタイミングです。手前の工程でつまずいてしまうと、その後での修正が難しくなるので、こね上げ時の温度管理はとくに慎重にしなければいけません。
 
◯こね上げ
こね上げ温度とは、材料を混ぜてこね終えた直後のパン生地の温度のことです。パン生地の表面ではなく、中心に温度計を差し込むことで正確な温度を測ります。こね上げ時のパン生地の温度が低すぎると、イーストの活動が鈍ってしまい発酵がなかなか進みません。一方で、パン生地の温度が高すぎれば過発酵となり、味や香りが劣る原因になります。
 
パンの種類ごとに、適切なこね上げ温度は異なります。一般的なパン生地は、イーストが発酵しやすい温度である26〜28℃が適温です。パン生地にバターを多く含むパン生地は、あまり温度が高いとバターが溶けてしまうため、24℃程度にとどめておきます。シンプルな材料で作られるリーンなパン生地は24〜26℃くらいにしておき、その後低温で長時間発酵させます。
 
◯一次発酵
一次発酵では、パン生地を置いておく場所の温度管理が大切です。基本的に、パン生地は28〜30℃の環境のなかで一次発酵させます。冬場でなければ室温でも発酵しますが、機械を使わずに部屋の温度をキープするのは大変です。そこで、ベーカリーや工場ではホイロという製パン機械を使います。家庭で作る場合は、オーブンの発酵機能を活用しましょう。オーブンを使う場合は、はじめは庫内の温度が低いため、あらかじめ温めておくか、レシピで指定されている発酵時間よりも長めに時間をとって対応します。オーブンに発酵機能がなければ、お湯とビニール袋を使って簡易的に適切な環境を作ることもできます。
 
◯二次発酵
二次発酵でも、一次発酵と同様にパン生地を置いておく環境の温度のコントロールが大切です。作るパンによって、二次発酵に適した温度は違います。たとえば、食パンやコッペパンなどの一般的なパン生地の適温は、イーストが最も活発になる35〜40℃です。フランスパンなどの硬くてしっかりしたハードなパン生地なら27〜28℃、クロワッサンなどのリッチなパン生地は25〜28℃が適温です。基本的に、二次発酵に適した温度はイーストの力を最大限に引き出すため、一次発酵の時と比べて高くなります。

温度のコントロールが必要になるタイミング
◎パン生地における温度管理のポイント
温度管理をする上で大切なのは、パンは生き物であるという意識を持つことです。夏場に汗をかきながら、あるいは冬場に凍えながらパンを作るのはよくありません。自分が心地よい環境を作るようにすれば、自ずとパン生地のイーストにとっても良い温度に近くなります。ただし、室温を調整するのにクーラーを使う場合は、乾燥を防ぐためにもパン生地に直接風が当たらないようにしてください。
 
パン生地をこねるときは、仕込み水の温度がポイントです。仕込み水の温度は【3×(こね上げ温度−摩擦係数)−(粉温+室温)=仕込み水の温度】で求められるので、パン生地をこねる前に室温と粉の温度を測ってから水温を調整します。摩擦係数は、ミキサーなどの機械を使う場合は6〜10℃、てごねなら-5〜3℃が目安となります。パンを作るたびに、粉温、室温、水の温度、こね上げ温度の記録をつけておくと、回数を重ねるごとに感覚が身について、パン作りの精度が高められます。仕込み水以外の要素でこね上げ温度を上げるには、室温を温かくする、材料を室温に戻す、手や機械を温めるといった方法をとります。反対に温度を下げたいときは、室温を涼しくしたり、材料を冷蔵庫に入れて冷やしたり、手や機械を冷やして調整します。
 
こね上げ温度が1℃ずれただけでも、パンの仕上がりは変わってしまいます。こね上げ後にレシピで指定された温度と差が出てしまった場合には、その後の発酵時間で調整しなければいけません。温度が低ければ、30℃くらいの暖かい場所でパン生地を長めに発酵させます。温度が高くなってしまった場合は、多少ならパン生地を叩いてこねれば空気抵抗で温度が下がります。あるいは、パン生地を平らにしてラップやビニール袋で包んでから冷蔵庫に1〜2分程度入れて丸め直すか、28℃くらいの低めの室温で発酵させて早めに切り上げるようにします。いずれの場合も、レシピ通りの発酵時間にとらわれず、最終的には自分の目やフィンガーテストによって見極めるようにしましょう。
パン生地における温度管理のポイント
◎まとめ
わずかな温度差でも焼き上がりに影響するため、おいしいパンを作るには温度管理が必要不可欠です。温度をうまくコントロールできるようになれば、パン作りの腕は格段に上がるでしょう。温度管理のポイントを押さえて、パン作りを楽しんでくださいね。
 
もう失敗しない!パン作りに欠かせない温度管理とは