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ホームベーカリーで簡単!パン生地を上手に作るポイントと注意点

2023年6月27日
自動でこねや発酵を行うホームベーカリーは、家庭で手軽にパン生地を作れるアイテムです。しかし、場合によっては「膨らみが足りない」「凹みがある」などの失敗に見舞われます。この記事では、ホームベーカリーでパン生地を上手に作るポイントや注意点を解説します。
◎パン生地づくりを助けるホームベーカリー
パン生地づくりは、「こね」「一次発酵」「ガス抜き」「分割」「ベンチタイム」「成形」「二次発酵」「焼成」と、多くの工程があります。ホームベーカリーでは、こねや発酵から焼き上がりまでの作業を任せられるため、パン生地作りを効率的に行えます。炊飯器のような内釜のパンケースに材料を入れ、本体にセットしスタートすると、パンケース底面にある羽根と呼ばれる部品が回転し、自動で材料を混ぜる仕組みです。
 
基本の食パンで使う材料は、水、強力粉、砂糖、スキムミルク、塩、バター、イーストの7つです。イースト自動投入機能がついた製品では、あらかじめ本体の専用箇所にセットしたイーストが、スタート後に自動で投入されます。一般的な山形の食パンコースの焼き上がり時間は、材料をパンケースに入れてからおよそ3~4時間程度です。
 
ホームベーカリーによっては、こねや発酵の機能を独立して選べるモードがあります。こねが終了したタイミングで取り出して成形すれば、手軽に菓子パンや惣菜パンのパン生地を作れます。パスタやうどん、餅つき、ヨーグルトやジャム作りといった機能がついたホームベーカリーの多くは、ピザ生地や麺類のコースがパン生地のこねに併用可能です。

◎パン生地をホームベーカリーで作る際のポイント
ネットや本のレシピ通りにパン生地を作っても、いざ焼いてみると「膨らんでいない」「凹んでいる」といった失敗をする場合があります。パン生地作りの失敗を防ぐポイントは、発酵の見極めと正確な計量の2点です。
 
発酵とは、糖を取り込んだイースト菌がアルコールと炭酸ガスを出し、パン生地を膨らます働きです。発酵不足だとパン生地は膨らまず、過発酵が起きると凹みやすいパン生地になります。手ごねで作るパン生地と異なり、ホームベーカリーでは調理場の環境やパンの状態にあわせた細かな調整が困難です。上手なパン生地を作るには、自分で生地の状態をチェックし、発酵をコントロールする必要があります。
 
まずは適切な発酵を阻む原因のひとつである、こね不足を防ぎましょう。ホームベーカリーでこねまで終わったら、生地に対してグルテンチェックをしてください。グルテンチェックとは、生地を薄く引き伸ばして薄い膜を張れる状態かをみることです。膜が張れなければ、パン生地を取り出して手でこねるか、ホームベーカリーで再び10分ほどこねて再チェックしてください。
 
パン生地の発酵を成功させるには温度管理も大切です。こねが終了した直後の生地温度の理想は約28℃のため、パン生地が28℃程度を維持できるよう、室温にあわせて仕込み水の温度を調節しましょう。夏は15~20℃ほど、冬は25~30℃ほどがパン生地に触れさせるのに適切な水温です。なお、ホームベーカリーがスタートするまでの待ち時間に生地の温度が変わってしまうため、28℃以上になる真夏や10℃以下のような真冬は、タイマー予約の機能を使わないようにしましょう。パン生地が冷えすぎると発酵がうまく進まずボリュームの足りないパンになり、反対に温かすぎると発酵バランスが崩れ、形を保てず凹んだパンになる恐れがあります。
 
発酵まで終わった際は、フィンガーチェックでパン生地の状態をチェックすると安心です。フィンガーチェックとは、粉をつけた指を第二関節までさす方法で、適切な発酵度合いであれば穴がしばらく残ります。穴がすぐに塞がれば発酵不足、穴周辺の空気が抜けてしまう場合は発酵し過ぎのサインです。
 
材料の性質を理解し適切に取り扱うことも、ホームベーカリーで上手にパン生地を作るポイントです。塩は菌の繁殖を抑える働きがあるため、イーストに触れると反応し活性を邪魔します。イースト自動投入機能がないホームベーカリーの場合は手動でイーストをセットしますが、その際に塩と離して入れるのがポイントです。手動でイーストを入れる場合は、山のように中心を高く盛った強力粉の中央をくぼませ、そこにイーストを入れる方法が一般的です。
 
パン生地作りを成功させるには、発酵に大きく影響するイーストや塩をはじめ、材料を過不足なく入れることもポイントです。ホームベーカリーの作れる容量をオーバーすると、熱が通らずパン生地の生焼けの原因にもなるため注意が必要です。粉をはかる場合、液体の計量に向いた軽量カップは避け、デジタルのはかりを使いましょう。デジタルのはかりは0.1g単位ではかれる製品もあり便利ですが、慣れるまでは必要な分量がセットになったパンミックスを使ってもよいでしょう。機種ごとにレシピにある材料の最適量は異なるため、まずはホームベーカリーに付属したレシピなどで練習してみてください。
 
焼き上がりのパンの量を変えたい際には、ベーカーズパーセントを使うと便利です。ベーカーズパーセントとは、小麦粉を100とした際、その他の材料が粉に対して何%の割合かを指す値です。各材料のベーカーズパーセント(%)は、各材料(g)÷粉総量(g)×100 で算出できます。350gの小麦粉を使う食パンのレシピで小麦粉を250gに減らしたい場合、まずはレシピにある全材料のベーカーズパーセントを出します。250に計算した各ベーカーズパーセントをかけると、イーストや砂糖などの必要分量を正確にはかれます。

◎パン生地をホームベーカリーで作る際の注意点
ホームベーカリーでパン生地を作る際は、材料の保管の仕方に注意が必要です。イーストの期限が古かったり、湿気を吸ってしまったりすると、パン生地が膨らみにくくなります。イーストは冷蔵庫に保管し、開封後はパッケージに記載された期限内になるべく早く使い切ってください。
 
小麦粉も湿気を吸収するため、密閉が不十分だと粉が吸った水分により、パン生地内の水分がレシピより多くなってしまう可能性があります。また一般的に外国産の小麦粉は、国産の小麦粉よりもタンパク質が多いため、吸水率が10%程度高くなっています。外国産小麦で作るパン生地を国産で代用する際は、3~5%ほど水を減らして調整するようにしましょう。

◎まとめ
ホームベーカリーでパン生地を作る際、こねや発酵の状態をセルフチェックすることで、「膨らまない」「凹む」といった失敗を防ぎます。材料の取り扱いや温度、計量によっても状態が変わるため、ポイントを意識してホームベーカリーを賢く使いましょう。