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自然発酵させた酵母で作るサワードウパンの魅力

2023年11月7日
昨今、パン好きから注目を集めている「サワードウパン」をご存じでしょうか。天然酵母が使われているサワードウパンは、相性の良い食材やメニューがあります。この記事では、サワードウパンの味や食感、パン生地を作るための材料についてご紹介します。
◎天然酵母を使ったサワードウパン
一般的に販売されているパンの多くはイースト菌を使用して作られていますが、サワードウパンは、自然発酵させた酵母を使って作られるパンです。材料は非常にシンプルで、粉と水、そして必要に応じて塩を使用します。粉と水を混ぜて発酵する手法は、紀元前10,000年ほど前から続くパンの歴史のなかで、最も古い手法ともいわれています。サワードウのパン生地は大変香ばしくカリっとしていますが、食べるともっちりとした食感を楽しめるのが魅力的です。噛めば噛むほど、おいしさが口のなかに広がります。
 
「サワードウパン」の「サワードウ」とは天然酵母の一種で、小麦粉やライ麦粉などの粉と水だけで自然発酵させるシンプルな酵母のことを指します。日本で親しまれている食パンのパン生地には乳製品や卵など、さまざまな材料が使われているので、サワードウパンのシンプルな材料に驚く方も少なくありません。サワードウパンは、前述した乳製品や卵のほか、オイルも不使用であるため、ヴィーガンやベジタリアンの方にも好まれており、素材の味をより深く味わうことができます。サワードウを1度作っておけば長期間の保存が可能なため、パン生地を作る材料のひとつとして注目されています。
 
パン生地や見た目はフランスパンに似ているといわれており、真ん中にクープという切れ目が入っています。パン生地の外側部分がかたく、中身はふんわりとやわらかいです。しかし、やわらかいながらもパン生地内には水分がしっかりと吸収されているため、もっちりとした食感も楽しめます。プチプチとした歯ごたえを感じられ、焼きたての香ばしい香りに食欲をそそられる方も多いです。
天然酵母を使ったサワードウパン
◎サワードウパンの特徴
サワードウのパン生地からは、かすかな酸味が感じられます。パン生地から酸味を感じる理由は、自然酵母によるバクテリアが乳酸菌を作り出すからです。酢のようなすっぱさではなく、発酵した優しい酸味、パン生地に使用する小麦の甘味とほどよく混じるため、大変食べやすい味に仕上がります。さらに乳酸菌があるおかげで、パン生地の新鮮さを長く保つことができるのです。
 
サワードウのパン生地は、イースト菌を使用しているパンよりも膨らみにくく、非常に密度が高いことが特徴です。密度が高いために、腹持ちが良いパンとしても有名です。また、砂糖や乳製品、卵、オイルといった材料は使用しないので、からだに優しいパンとしても浸透しつつあります。パン生地を発酵する段階で、ビタミンやミネラルの吸収を防ぐ酸「フィチン酸」を中和してくれるため、栄養素を身体に取り込みやすいのも特徴です。発酵していく過程でぶどう糖が使われるので、血糖値の上昇もおさえてくれるとされています。そのほかサワードウのパン生地には、カルシウムやマグネシウム、チアミン、ナイアシン、葉酸など、多くの栄養素が含まれています。グルテンを分解する働きも持っているため、グルテンを気にしている方にサワードウパンは適しています。
 
サワードウは1日でも作ることができますが、一般的にはサワードウを育てるためには5~10日の間、毎日同じ時間に小麦粉に水を混ぜる作業を行うのがベストといわれています。25~30度ほどの暖かい場所で、雑菌が入らないような工夫も必要となります。作る季節や温度、場所など、空気中に浮遊している菌のちがいがパン生地の風味にあらわれるため、まったく同じサワードウのパン生地を作ることは難しいとされています。しかし反対に、オリジナリティを出せるパン生地のひとつでもあり、発酵過程を楽しめることが魅力ともなるでしょう。サワードウのパン生地を作る材料は非常にシンプルなため、材料選びにこだわりを持つ方が多くいることも特徴的です。全粒粉に近い粉や、水道水ではなく天然水を使用することでより深い風味のあるパン生地ができあがります。
 
サワードウパンの特徴のひとつに、パン生地をこねないことがあげられます。こねる代わりにゴムベラやスケッパーという道具を使用して成形していきます。時間をかけてパン生地を発酵させることにより、粉の持つおいしさを最大限に引き出すことが可能となるのです。パン生地をこねる作業が億劫でなかなか手を出せずにいる方にサワードウパンは向いています。

サワードウパンの特徴
◎サワードウパンに合うメニュー
サワードウパンはもともとサンフランシスコで生まれたとされています。有名なのは、サワードウパンのパン生地をお皿に見立て、シチューをいれた「クラムチャウダーボウル」です。パン生地のきめが細かいため、汁がもれにくく、シチューとの相性が良いメニューでサンフランシスコ名物にもなっています。
 
日本の食パンと同じくらい一般的なパンとして定着しているヨーロッパやオーストラリアでは、ポーチドエッグやスクランブルエッグなど、卵料理の付け合わせとしての朝食が主流です。また、シーフード料理やスープとの相性も抜群です。サワードウの酸味は、こってりと濃い料理の味を落ち着かせてくれるので、頻繁に食卓に登場します。そのまま食べることで酸味を楽しむ人々も多いですが、バターやチーズをふんだんにのせて食べるのも良いでしょう。アボカドやサーモン、クリームチーズなどさまざまなトッピングでアレンジも自由自在です。

サワードウパンに合うメニュー
◎まとめ
パンの歴史を語る上でも外せない発酵手法であるサワードウ。発酵させる場所や気温、季節などで、パン生地の仕上がりが変わったり、育てる楽しみが味わえたり、サワードウパンには奥深い魅力が多く詰まっています。自宅で作ることも可能なので、ぜひ自家製サワードウに挑戦してみてくださいね。

自然発酵させた酵母で作るサワードウパンの魅力