分割はパンの仕上がりに大きく影響するため、パン作りが上手くなりたいのであれば、きちんとポイントを押さえて取り組むことが大切です。この記事では、パン作り初心者が知っておきたい分割の基本から、パン生地を分割するときのポイント、パン工場で使われている分割機をご紹介します。
◎パン作り初心者が知っておきたい分割の基本
分割とは、一次発酵後のパン生地を成形に向けてひとつずつに分ける工程をいいます。分割したパン生地の重さがバラバラでは、二次発酵の進み方や焼成時の火の通り方に差が出てしまいます。そのため、分割ではパン生地を均等に分けることが求められます。パン生地は常に発酵を続けるため、均等に分けるために分割で重要視するべきなのは大きさではなく重さです。分割されたパン生地の重さがすべて均一になるからこそ、均一な仕上がりにできるのです。
パン作り初心者が分割のために揃えておくべき道具は、はかりとスケッパー(カード、ドレッジ)です。はかりは、少しの誤差がパンの仕上がりを左右するため、0.1g単位で測れるものを用意しましょう。スケッパーは、パン生地を分割するのに使います。パン生地は、手でちぎってしまうとグルテン構造が壊れたり、発酵で発生した炭酸ガスが抜けたりして、パン生地の膨らみが悪くなります。パン生地を傷めないために、分割には必ずスケッパーを使いましょう。スケッパーはパン生地を分割する以外に、パン生地を混ぜたりボウルや作業台にくっついたパン生地を集めるのにも使えます。
一次発酵を終えたパン生地のガス抜きをしたら、分割の手順に入っていきます。はじめにパン生地の総重量を計ったら、作る予定のパンの個数で割り、1個当たりの重さを決めます。重さを決めたら、スケッパーを使ってまずは目分量でパン生地を分割していきます。この際、スケッパーは前後に動かしたりせず、上から一気に押し切るようにして使います。分割したパン生地は、ひとつずつ重さを計り、不足している分や過剰な分があれば調整します。パン生地を切るときは切り口からカットし、足すときは切り口かパン生地の下につけるようにします。分割が終わったら、丸め、成形の順に工程に進みます。
◎パン生地を分割するときのポイント
分割でパン作り上級者と初心者の違いが出るのは、パン生地の扱い方です。パン作りで何よりも重要なのは、パン生地を傷めないことです。パン作り上級者ほど、パン生地にはあまり触りません。一方で、パンづくり初心者のうちは、分割したパン生地を何度も計り直したり調整したりしてしまいがちです。何度もパン生地に触ってしまうと、パン生地が受けるダメージは大きくなります。また、作業している間にもパン生地のイーストは発酵を続けるため、分割に時間がかかり過ぎると、パンの仕上がりにムラが出てしまいます。
したがって、分割や調整の回数は最小限に留め、手際よく作業を進める意識をもって取り組みましょう。作るパンの種類や量にもよりますが、分割から成形までの所要時間は、15分くらいが目安です。ペースが遅い初心者のうちは、あまりに時間がかかってしまうようであれば、パン生地の仕込み量が合っているか見直したほうが良いでしょう。初心者が取り組みやすいのは、丸パンなどの小さくて型が不要のパンです。発酵や焼き時間が短く済むため、パン作りの経験を積むのに適しています。
分割では重さを均一にすること以外に、その後の丸めや成形を意識してパン生地を分けることもポイントです。成形しやすい形にパン生地を分割しておけば、焼成の工程までスムーズに進められます。分割のやり方は、ケーキのように分ける方法や、パン生地の端からカットしていく方法などさまざまなので、作るパンの種類に合った方法を選びましょう。たとえば作るパンの数が多い場合は、パン生地を1本の細長い形にすると分割しやすくなります。
また、分割の間は、常にパン生地の裏と表、切り口を意識するようにしましょう。発酵の際に見えている部分が表、底の部分が裏です。この状態を保ちながら、パン生地の表面には極力触らないようにして分割していきます。底や切り口が表に来てしまうと、パンの表面がでこぼこになったり焼きムラができたりしまうので、切り口は内側に折り込むようにすると、パンの仕上がりがきれいになります。
◎製パン工場で活躍するパン生地の分割機
製パン工場では、各生産ラインに製パン機械が組み込まれている場合が多いですが、パン生地の分割には分割機が使われます。分割機はデバイダーともいい、スピーディーかつ均等に分割を進め、製品の品質を安定させる役割を担っています。分割機でパン生地を体積によって分割し、必要に応じてウエイトチェッカーで重量の計量をするのが製パン工場での分割の基本的な流れです。
KOKIでは「生地にやさしい分割」を追求したいくつかの分割機を取り扱っています。たとえば、当社の分割機Energy Saving Divider ESD42は、パン生地に過度なストレスを与えないように、弱い圧力で均等に分割を行うのが特徴です。その圧力の強さは、従来機の約半分相当です。過去には、他社では分割できないやわらかいパン生地でも分割できることが決め手となり導入していただいた事例もあります。
また、Energy Saving Divider ESD42はアナログ方式ではなくタッチパネルを採用しているため、直感的に操作ができます。分割グラム数を入力するだけで自動的に重量調整を行うため、取り扱うパンの種類が多くても対応できますし、誰が操作することになっても同じ品質を保つことが可能です。さらには、ひとつの駆動からリンク構造で3つの動きが構成されたシンプルな作りになっているので、清掃空間が広く確保できます。また、取り外せるパーツは樹脂製で軽いため、メンテナンスがしやすいのも当社の分割機のメリットのです。
◎まとめ
パン作り初心者のうちは、何度も取り組むことが大切です。慣れてくると、パン生地の重さが感覚でわかるようになり、分割がしやすくなるでしょう。KOKIでは、分割機の他にも各種製パン機械を取り扱っております。ご相談などはお気軽に当社までお問合せください。