型や天板を使うパン作りでは、事前に油脂を塗る工程が重要です。製パン工場では、グリーサーという機械を使って型や天板に油脂を塗布しています。この記事では、型に油脂を塗る重要性やグリーサーについてご紹介します。
◎型に油脂を塗る重要性
パン作りで使う型や天板は、おろしたての際に行う空焼きや、何度も焼成を重ねて使い込むことにより、油脂が馴染んでパン生地が付着しにくくなります。とはいえ、たとえば食パンのように型を使うパン作りでは、パン生地を入れる前の下準備として、型の内側に油脂を塗っておく必要があります。
油脂を塗る工程を怠ると、パン生地が型に付着して、焼き上がったパンがうまく取り出せなくなります。手間をかけて作ったパンが、きれいに取り出せないとなれば、パン作りに対するモチベーションは下がってしまうでしょう。また、型にこびりついたパン生地を落とすのには労力がかかる上に、きれいに洗い落とそうとするあまり、力を入れすぎると型が痛んでしまいます。
型や天板に油脂を塗れば、パン生地が型や天板にくっつくことなくきれいに外れやすくなります。その結果、精神的なストレスがかかることなくパン作りが楽しめますし、その後のパン作りの工程がスムーズに進められるようになるのです。
◎油に使用する種類
パン生地が型や天板に付着しないようにし、型離れをよくするために塗布する油脂のことを離型油といいます。離型油は、パン作りの他に菓子作りの場でもよく使われます。離型油として使える油脂はいくつかの種類があるため、使いやすさや目的によって適切なものを選ぶことが大切。
パンの材料として使う場合も多く、家庭で用意しやすいものとしてまずあげられるのがバターです。バターは離型油としての役割だけでなく、パンの外側につくことでパンの風味がよくなる効果が期待できます。一方で、パンの種類などによりバターの風味をつけたくないという場合には、サラダ油を使うのがいいかもしれません。サラダ油なら、香りや味にクセがないため、パンの風味を邪魔することなく使えます。ベーカリーなどでは、ショートニングを使う場合もあります。ショートニングは無味無臭の油のため、サラダ油と同じくパンの風味に影響しないのが特徴です。
離型油として使うのに特化したものとしては、スプレーオイルがあります。スプレーで油を吹きかけるだけなので、バターなどの油を塗るよりも手軽に型や天板の全体に均一に油脂を塗布することが可能です。スプレー缶のなかのオイルは光に当たらず空気にも触れにくいため、酸化しにくいメリットもあります。
◎製パン工場で使われるグリーサーとは
グリーサーとは、パン生地が型や天板に付着しないために離型油を塗布したり、パンにツヤを与えるために焼き上がったパンの表面にオイルを塗布したりするときに使われる製パン機械です。ベーカリーで見かけることはあまりないかもしれませんが、大量のパンを生産する製パン工場ではグリーサーが活躍します。パン生地の型離れをよくすることは、パンを美しく仕上げて消費者に届けるために欠かせない要素です。パン生地の型離れをよくして失敗を減らすことは、食品ロスを防ぐことにもつながり企業にとっても利益をもたらします。
型や天板に油脂を塗るのは、成形の後の工程です。そのため、グリーサーはパンニングでパン生地を型に入れる前や、天板にパン生地を乗せる前に間に合うようにラインに組み込まれます。その後のパン作りは最終発酵を経て焼成となり、デパンニング、冷却、スライス、包装、出荷の流れで進んでいきます。パンの生産性を上げるためには、適切なグリーサーを選ぶことが大切です。型や天板に離型油を塗布することは重要ですが、油脂がパン生地に必要以上についてしまうと、パンの風味を損なう恐れがあります。また、型や天板についた余分な離型油は、汚れとなり作業性を低下させてしまう問題を引き起こします。たとえば、周囲に油脂が飛び散ると、清掃の手間が増えてしまいます。
モップやブラシなどによる離型油の手塗りは、パン生地に直接油脂を塗りつけることになります。そのため、周辺が汚れないメリットがありますが、塗布量が多くなってしまう問題や、モップやブラシの毛が異物混入の原因になる懸念がありました。グリーサーには、噴霧式や静電式といった種類があり、いずれもパン生地に適切な量の油脂が塗布でき、直接パン生地に触れないため、手塗りの場合に比べて異物混入の可能性が低くなります。噴霧式のグリーサーは、離型油を霧状に噴射して型や天板、パン生地に塗布します。静電式のグリーサーは、静電気の力を利用して油脂を塗布する仕組みです。均一に塗布しやすく、静電気による吸着作用により油脂のロスが少なくなるのが静電式の特徴です。
◎油の量を節約できるKOKI製のグリーサー
油は比重が軽いため、通常のグリーサーは霧状にすると舞いやすく周辺が汚れてしまいますが、デバイダーやラウンダーなどの成形ライン専門メーカーである当社のグリーサーは、噴霧にエアーは使わずに型の部分だけ塗布されるようになっております。そのため、床に油が飛びづらく、工場の衛生管理に悪い影響を及ぼしません。また、油の量も節約できるのがKOKIのグリーサーの特徴です。
当社では、パン生地にやさしい製パン機械を追求し、現場のお客さまの声を反映しながら販売から開発、設計、製造、保守まで一連の業務を行っています。当社の製パン機械は、構造をシンプルにしたり樹脂製の部品を取り入れたりすることで、従来品や他メーカー品と比べてメンテナンスがしやすく、長期的にみてコストが抑えられる工夫がされています。また、モーターを含む電装品には国内メーカーの汎用品を使用しているため、トラブルがあった際も手配が容易です。
◎まとめ
油脂を型や天板に塗布すると、パン生地の型離れがよくなることによる作業の効率化や、洗い物の手間が減る効果が期待できます。このたびKOKIから登場するグリーサーを含めた製パン機械に関するご相談等は、当社までお気軽にお問合せください。