ブログ

パン生地の食品ロスを防ぐフリーザーの冷凍技術

2024年2月6日
食品ロスの削減や労働環境の向上、オンライン販売への販路拡大など多くのメリットにつながる冷凍技術は、製パンの現場で広く活用されています。フリーザーは、パン生地や焼成したパンの冷凍に欠かせない製パン機械です。この記事では、フリーザーの特徴や種類などをご紹介します。 
◎パン作りにおけるフリーザーの役割 
製パンの工程では、さまざまな冷凍技術が用いられています。生地玉での冷凍やパン生地の成型後、発酵後の状態で冷凍する方法だけでなく、成形したパン生地を8割ほど焼成してから冷凍し、解凍後リベイクするパーベイクといわれている方法や、パンを焼き上げてから冷凍する方法なども行われています。このような、パン生地や焼成したパンを冷凍するために使用する製パン機械が、フリーザーです。 
 
フリーザーによってパン生地を冷凍しておくと、製造するパンの量を細かく調整できます。冷凍したパン生地を使用して、売れ行きに合わせてパンを製造できるため、売れ残りが少なくなり、廃棄する量を減らして食品ロスの削減や無駄な支出の削減につながります。また冷凍によってパン生地を長期保存ができるようになるため、パン生地に加える添加物や保存料を減らすことも可能です。 
 
フリーザーを使用しないでパンを製造しようとすると、パン生地作りからはじまり、発酵や焼成する時間などを含めて、すべての工程を行うために数時間かかります。ベーカリーなどで開店時間に合わせて商品を並べようとすると、早朝から出勤したり、夜中に仕込みをしたりする必要が生じます。パン生地や焼成したパンの冷凍によって作り置きが可能になれば、従業員の負担軽減や作業時間短縮にもつながります。 
 
さらに、パン生地や焼成したパンを冷凍することにより、冷凍した状態で発送するオンライン販売が可能になります。これまで届けられなかったユーザーにも製品を届ける販路を拡大でき、ユーザーは自宅で焼きたての味を楽しむことができるようになります。冷凍パンの市場は拡大しており、ホテルやレストラン、ベーカリーチェーン店などでも利用されています。

◎パン作りで使うフリーザーに求められること 
高品質の冷凍パンを製造できるよう、フリーザーには急速冷凍の技術が求められています。パンは焼き上げた瞬間から乾燥がはじまるため、品質を落とさないためには素早く冷凍することが大切になるのです。もともと焼成したパンは、常温保存や冷蔵保存では品質が落ちてしまうため、長期保存ができません。焼いてから時間が経つにつれて、パンが硬くなってしまうのは、乾燥によってパンの水分が蒸発してしまうからです。パンの焼成時に小麦と水分が過熱されると、でんぷんが水分を吸収し糊化と呼ばれる現象が生じます。焼成が完了した時点から、でんぷんは元の状態に戻ろうとし、その際にでんぷんから水分が失われていくため、パンが固くなってしまいます。この現象はでんぷんの老化と呼ばれており、0度〜5度の環境でとくにでんぷんが老化しやすいといわれているため、冷蔵庫は焼成したパンの保管に適していません。0度以下の環境は、でんぷんの老化が進みにくいため、冷凍保存はパンの品質を保つために最適な方法です。 
食品を冷凍する際に凍るスピードを表す、緩慢冷凍と急速冷凍という言葉があります。急速冷凍は、マイナス5度からマイナス1度の間を30分以内に通過できるよう素早く凍らせる方法です。家庭用冷凍庫などで冷凍する場合は、30分以上かけてゆっくり凍るため、緩慢冷凍となります。パン生地を冷凍する際、パン生地内の水分が氷の結晶に変わるのですが、この結晶の大きさがパン生地の品質を左右します。マイナス5度からマイナス1度の間で水分の8割が氷の結晶に変わるため、その間の時間が長いほど氷の結晶は大きくなります。氷の結晶が大きくなってしまうと細胞膜を損傷してパン生地の構造を破壊してしまうため、パン生地や焼成したパンを凍らせる際に時間がかかると、味や食感などの品質が下がってしまう可能性があるのです。急速冷凍できるフリーザーでれば、作ったそのままの状態で冷凍ができ、パン生地や焼成したパンの品質を下げることなく商品を提供することが可能になります。 

◎製パン機械フリーザーの種類 
フリーザーやショックフリーザーと呼ばれる製パン機械は、常温のパン生地や予熱が取れたパンを高速で冷凍できる機械です。ベーカリーで使われるフリーザーは家庭用冷凍庫とは異なり、専用のバットをセットできるようになっています。外気の影響を受けずに温度と湿度を最適に保った気流が庫内を循環し、庫内の温度と湿度を均一に保っているので、発酵ムラのない状態でパン生地を保存することが可能です。オーブン連携機能があるフリーザーは、パン生地の焼成をはじめる時間に合わせてオーブンに信号を送ってスイッチを入れることができ、解凍や発酵が終わったらすぐに焼成の工程に移れるので、作業の無駄がありません。パン生地の霜取りもスピーディに行うため、温度の上昇を防いでパン生地への影響を最低限に抑えることが可能です。 
 
ドゥコンディショナーは、パン生地の冷凍から解凍、パン生地のプレ発酵や発酵までの各工程を自動で行える製パン機械です。前日にパン生地の成形まで行って、翌日の希望焼成時間に合わせてセットしておけば、パン生地を理想の発酵状態にしておくことができるため、すぐに焼成作業を行うことができ、朝早くから作業する必要がなくなります。数種類のパン生地を準備しておけば、開店からバリエーション豊かな商品を揃えられるので、労働時間の短縮や人手不足の解消に役立ちます。各機能は単独でも使用できるため、パン生地の冷蔵や冷凍、ホイロのみ行うことも可能です。 

 
◎まとめ
急速冷凍できるフリーザーを活用すると、パン生地の品質を下げることなく、いつも焼きたての商品を提供することができます。KOKIはパンの成形ラインで使用する製造機器の専門メーカーです。製パン機器に関するお問い合わせは、当社までお問い合わせください。