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最終発酵の温度と湿度を管理する製パン機械ホイロ

2024年2月20日
パンを焼成する前の最終発酵は、パン生地がしっかり膨らんで風味豊かなパンに焼き上げるために大切な工程です。ホイロは、最終発酵の工程で温度や湿度の管理をするための製パン機械です。この記事では、最終発酵に欠かせないホイロの役割や種類についてご紹介します。 
◎パン生地の焼成前に大切な最終発酵 
製パンの工程では、パン生地を分割したり成形したりと、さまざまな作業を行います。パン生地を休ませて発酵させる時間を取ることも、パンを焼成するまでに必要な工程のひとつです。成形したパン生地を焼成する前に発酵させる工程は、二次発酵や最終発酵といわれています。分割や丸めの工程でパン生地を傷めないことや大きさを均一にすることも、パン生地をしっかりと発酵させるために大切です。ですが、分割や丸めなどを行う際に一次発酵で発生したガスの多くが抜けてしまうため、成形後にもう1度パン生地を最終発酵させて、ガスを発生させる必要があります。 
 
焼成前にしっかりと発酵させると、パン生地が膨らんでやわらかくふんわりとしたパンが焼きあがります。また発酵の際にイーストが糖分を分解してアルコールなどが生成され、パン特有の風味や香りを生み出します。最終発酵では、パン生地が発酵のピーク直前となる8割から9割まで膨らんだ状態まで発酵させ、焼き上げるときさらに膨らむようにします。 
 
最終発酵では、パン生地が発酵するのに適した温度や湿度で発酵させることが大切です。作るパンの種類によって適している温度や湿度が異なります。食パンや菓子パンなどのパン生地は、温度が30~40℃で湿度が80%程度、フランスパンのようなハード系のパン生地は、温度が27~28℃で湿度75%程度が適しているといわれています。イーストが活発になる温度があるため、適切な温度を保つことでイーストを活性化させて、しっかりとパン生地を発酵させられます。また発酵させている間にパン生地が乾燥してしまうと、パンの膨らみを妨いでしまい、焼き上げると表面がひび割れた状態になってしまう場合もあります。そのためパン生地を乾燥させないよう、湿度を管理することも大切です。 
◎パン生地の温度と湿度の管理を行うホイロ 
ホイロは、焼成前の最終発酵を行うための製パン機械で、発酵機やプルファーとも呼ばれることがあります。また、最終発酵の工程自体をホイロということもあります。パン生地の最終発酵に適した温度や湿度は、少し高温で多湿な環境のため、室温に任せて安定した環境を整えることはできません。そのため、多くのベーカリーやパン工場など製パンの現場では、最終発酵に適した環境をつくり出し管理できる製パン機械である、ホイロを使用して最終発酵を行っています。 
 
ホイロは、大型の冷蔵庫のような形をしていることが多く、ホイロ内にパン生地を乗せた鉄板を収納して、1度に多くのパン生地を効率よく発酵させる製パン機械です。温度は常温から50℃前後くらいまで、湿度は99%くらいまで設定できるため、作るパンの種類に合わせて適した環境をつくり出すことが可能です。電気ヒーターや高温の蒸気などによって温度を上げ、蒸気の噴射や水スプレーなどによって湿度を高めます。攪拌装置によって温かく湿度の高い空気をホイロ内に充満させ、庫内のどこでも同じ温度と湿度を保つことが可能です。温度や湿度を設定したりタイマーを設定したりするスイッチは、デジタル式のものやタッチパネル式のものなどもあり、細かく設定することができます。ホイロの扉には、ガラス窓が付いているものも多く、ホイロ内の環境を保ったまま、パン生地の発酵具合を確認し、ちょうどよいタイミングでオーブンへ移動させることができます。 

◎製パン工場で使用されるホイロの種類 
ホイロには、さまざまなサイズや構造の製品があります。冷蔵庫のような縦型のホイロが一般的ですが、両開きの扉が付いているキャビネットタイプや鉄板を載せたラックをそのまま収納できるラックインタイプ、何台ものラックを収納できる大型のプレハブタイプのホイロなどもあります。ラックを収納できるホイロは、鉄板を載せたまま最終発酵後にラックオーブンに移動させられるタイプもあり、作業工程の効率化を図れます。さらに上段にオーブン、下段にホイロを置くような小型タイプのホイロや作業台の下がホイロになっているテーブル型のホイロなどもあり、作業場のスペースに合わせて導入が可能です。 
 
ホイロと同じようにパン生地の最終発酵を行うための製パン機械に、ドゥコンディショナー呼ばれる製パン機械があります。ドゥコンディショナーは、発酵だけでなく冷凍や解凍をする機能もある製パン機械です。庫内の温度を冷凍の温度まで下げられるため、成形したパン生地を前日にセットして一晩冷凍保存させておきます。設定した時間に冷凍から解凍の温度への切り替え、さらにホイロの設定への切り替えまで自動で行うことができます。前日に仕込みをしておけば、翌日の焼成する時間に合わせて最終発酵が完了した状態にしておけるので、早朝の作業時間が減り、労働環境の改善や作業効率化に役立つ製パン機械です。 
 
ドゥコンディショナーは、冷凍から発酵までの温度帯を管理できますが、冷蔵からホイロの温度帯が管理できるリターダーホイロと呼ばれる製パン機械もあります。リターダーホイロは、冷凍してあるパン生地をセットして、解凍と冷蔵保存、最終発酵まで行う製パン機械です。またフランスパンなどのハード系のパンは、ほかのパン生地よりも低い温度や湿度で発酵させるため、乾ホイロと呼ばれる製パン機械を使用する場合があります。乾ホイロは、通常のホイロよりも湿度を低めに設定でき、パン生地がさらっとした乾燥する手前の状態を保つことが可能です。 

◎まとめ 
ホイロは、パン生地を最終発酵させるための製パン機械です。パン生地を十分に発酵させるためには、分割や丸めで生地を傷つけず均等にすることも大切です。KOKIでは、分割機や丸目機などの製パン機械を取り扱っています。製パン機械に関するご相談は、当社までお気軽にお問い合わせください。