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時短でできる!低温発酵で風味豊かなパン作り

2024年2月27日
パン作りは工程が多く、完成までに2〜4時間ほどかかるため、なかなかチャレンジできないという方も多いのではないでしょうか。そういったときにおすすめなのが、低温発酵という製法です。この記事では、パン生地の低温発酵とはどのような製法なのか、メリットやデメリットについてご紹介します。
◎パン生地における低温発酵とは
低温発酵とは、冷蔵庫などの温度が低い環境でパン生地を長時間発酵させる製法のことをいいます。発酵時間を長くとることで酵母の働きがより活発となり、パン生地がしっかりと熟成されます。そのため、ストレート法で作るよりも小麦の風味が濃く、香り豊かなパンを焼くことができるのです。また、低温下でゆっくりと時間をかけてパン生地を発酵させるため、発酵中に仕事や家事など別の作業をすることが可能です。朝の外出前にパン生地を発酵させておけば、帰宅後の夕食には焼きたてのパンを楽しめます。
 
低温発酵の手順としては、パン生地を一次発酵させたあとにパンチを入れ、5~17℃の環境で10~24時間ほど発酵させます。発酵時間が長いほどより旨味を引き出すことができますが、24時間以上発酵させるとパン生地が傷んでしまうので注意しましょう。温度が低すぎると酵母の働きが鈍くなるため、発酵させる際は冷蔵庫のなかでも比較的温度の高い野菜室にパン生地を保存するのがおすすめです。発酵中にパン生地が乾燥しないよう、しっかりと密閉した状態で保存してください。
 
発酵が完了したら、1時間ほどかけてパン生地を常温に戻しておきます。季節や天候により室温が低くなっている場合は、発酵器を使用すると良いでしょう。低温のまま次の工程に移ってしまうと、パン生地の表面と内部の温度差によって発酵速度に偏りが見られたり、焼きムラが生じたりすることがあります。パン生地を復温させたあとは、15〜20分ほどベンチタイムをとり、成形して二次発酵させます。二次発酵についてはほかの製法と同様、成形したパン生地が2倍ほどに膨らめば完了です。作りたいパンの種類によって、発酵させる際の温度や時間を調整しましょう。

パン生地における低温発酵とは
◎低温発酵を行うメリット・デメリット
パン生地を低温発酵させるメリットは、発酵を促す酵母の動きが活発になり、小麦の風味や旨味が増すことにあります。また、乳酸菌の働きによってパンの酸化が抑制され、アミノ酸や糖類が豊富に生成されるため、ストレート法と比べて保存性の高いパンを作ることができます。時間をかけて発酵させることで少量の酵母でもパン生地が膨らむので、気になるイースト臭を抑える効果もあります。低温発酵で使用する酵母の量は、通常の1/3〜1/2程度です。ドライイーストではなく天然酵母を使用すれば、小麦の甘味や香りをさらに感じることができるでしょう。
 
低温発酵させている間に小麦粉がゆっくりと水和し、少しずつグルテンが作られていくため、パン生地をこねる時間と労力をカットすることができます。時間をかけてしっかりと水和することで、焼き上げたあとも水分が蒸発しにくくなり、パサつかずしっとりとした食感を長く楽しめます。
低温発酵を取り入れると、前日の夜からパン生地を発酵させて翌日に焼き上げるなど作業時間を分割できるため、まとまった時間の取れない方もパン作りに挑戦しやすいでしょう。
 
一方で、パン生地を低温発酵させるデメリットもあります。低温発酵は一定の温度を保てる場所で長時間かけて行うため、その間パン生地を保存しておくスペースの確保が必要です。とくに冷蔵庫を使用する場合は、あらかじめ発酵スペースを準備しておきましょう。また、5℃以下になると酵母の活動が休止するため、発酵中の温度管理には注意を払わなければいけません。10℃以上になると酵母の動きが活発になるので、発酵させる場所の温度によって発酵時間を調整してください。
 
低温発酵は通常よりもゆっくりと発酵が進むため、完了のタイミングを見極めるのが難しいと感じるかもしれません。発酵完了の目安としては、パン生地が発酵前よりも2~2.5倍ほど膨らんでいるのが目安です。低温だからと油断してパン生地を発酵させすぎてしまうと、カビが生えたり腐敗したりしてしまう可能性があります。そのような失敗を避けるためにも、必ず24時間以内に焼き上げるようにしましょう。

低温発酵を行うメリット・デメリット
◎低温発酵におすすめのパン
低温発酵させたパン生地で作るのにおすすめのパンは、小麦粉・酵母・塩・水の基本材料で作るシンプルなリーン系のパンです。フランスパン、カンパーニュ、バゲットなどがこれにあたります。リーン系のパンには酵母の餌となる糖類が少ないため、時間をかけてパン生地を発酵させる低温発酵が適しているのです。とくにハードパンは、パン生地をこねる時間が短縮されることによって気泡が入りやすくなり、香ばしく食感の良い焼き上がりになります。ベンチタイムの間に、パテやアヒージョなどを用意して楽しむのも良いでしょう。
 
基本材料に砂糖・卵・バター・牛乳などの副材料を加えて作る、リッチ系のパンもおすすめです。副材料が多く含まれたパン生地は温度が高くなるほどやわらかくなり、ベタついてしまいます。そこで、低温発酵させることによってパン生地の温度が下がり、扱いやすくなるというメリットがあるのです。パン生地に折り込むバターが溶けにくくなるため、クロワッサンやブリオッシュ、デニッシュとも相性が良いです。他にも、食パンやあんぱんなどの身近なパンにも応用が効くので、幅広いレシピに挑戦することができます。一方、ライ麦パンを作る際にはあまりおすすめできません。長時間発酵してライ麦に含まれる乳酸菌が増殖すると、ライ麦パン特有の酸味が強くなりすぎてしまうのです。低温発酵でライ麦パンを作りたい場合は、パン生地を温度が高めの場所で保存し、発酵時間を短くすると良いでしょう。

低温発酵におすすめのパン
◎まとめ
パン生地を低温発酵させることで、まとまった時間が取れなくても風味豊かでおいしいパンを作ることができます。長い作業時間が分割できれば、パン作りがさらに身近なものになります。自分のライフスタイルに合った製法を取り入れ、気軽にパン作りを楽しみましょう。
 
KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などの一連の業務を行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問合せください。

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