ブログ

パン生地の発酵時間と時短で作るポイント

2024年3月12日
パン生地を作る工程はいくつかに分かれており、各工程で所要時間が異なります。各工程の役割を理解した上で、工程ごとに適切な時間で作業を行う必要があります。この記事では、パン生地を作る際の各工程の所要時間と役割、パン生地を時短で作るポイントをご紹介します。
◎パン生地を作るのに必要な工程
パン生地を作るのにかかる時間は全行程を合わせて3〜4時間、主な工程は5つです。まず、材料を均一に混ぜてパン生地をこねます。ある程度パン生地がまとまるまで材料を混ぜたあと、生地に粘りと弾力が出るまで繰り返しこねます。次に、こね上がったパン生地をボウルに入れ、乾燥防止のためラップをかけて、パン生地を一次発酵させます。
 
一次発酵が終わったら、パン生地のガスを抜き、分割して丸めます。その後、パン生地を休ませるためのベンチタイムを設けます。ベンチタイム中も一次発酵時と同様に、パン生地が乾燥しないようにラップや濡れぶきんをかけておきます。ベンチタイムが終わったら、パン生地を成形し二次発酵させます。

◎パン生地を作る際の所要時間と役割
パン生地の材料を混ぜ、パン生地をこねるのにかかる時間の目安はおおよそ15〜30分です。この工程の役割は、パン生地をこねることで、グルテンをしっかり引き出すことです。パン生地を伸ばし広げてみて、薄い膜のような状態になればこね上がりです。ぶちぶちと切れるようであれば、もう少しこねましょう。
 
パン生地の一次発酵にかかる時間の目安は約1時間です。この工程の役割は、パン酵母の発酵を促し、パン生地をふくらませることです。パン酵母の発酵を促すためには、温度を適正に管理することがポイントです。温度が高すぎると過発酵になり、パン生地のふくらみや食感が悪くなります。反対に温度が低すぎると、パン酵母の活性が低下し、一次発酵の時間が長くなります。パン酵母の活動が活発になる温度は30〜40度といわれています。
 
パン生地のガス抜き・分割・丸めにかかる時間の目安は約10分です。この工程の役割は、まずガス抜きにより、パン生地中の気泡を細かくすることで、パン生地をきめ細かにし発酵を促進すること、そして分割・丸めの作業により、パン生地の表面に張りをもたせることで、弾力とボリュームを出すことです。パン生地のベンチタイムにかかる時間の目安は15〜30分です。この工程の役割は、パン生地を休めてゆるませ、伸びやすくすることで、成形の作業を行いやすくすることです。
 
パン生地の成形から二次発酵にかかる時間の目安は60〜70分です。ベンチタイム後のパン生地はデリケートなため、素早く丁寧に作業を行うことがポイントです。この工程の役割は、パン生地を再度発酵させることで、ふっくらとした焼き上がりに仕上げることです。一次発酵と同様、パン酵母の活動が活発になる温度に設定すること、そして適切な時間を見極めることがポイントです。パン酵母の活動に最適な温度は32〜38度といわれています。二次発酵終了の目安は、パン生地が成形後の1.5〜2倍程度の大きさに膨らんだ状態です。
◎パン生地を時短でつくるポイント
パン作りは発酵時間があるので、ある程度時間に余裕を持って作らなければなりません。ですが、パン生地をつくる際に作業時間を短縮させる方法もあります。
 
ひとつめは、ホームベーカリーもしくは生地作り専用のこね機であるパンニーダーを使用する方法です。ホームベーカリーもしくはパンニーダーを使用することで、パン生地をこねる時間を短縮することができます。パン生地をこねる作業は全行程のなかで最も労力が大きいため、軽労化にもつながります。ただし、発酵の見極めは必要なため、こねる作業が終了した時点でグルテンチェックを行いましょう。また、ホームベーカリーを使用する場合、機種の性能にもよりますが、こねる工程のみの代替や、パン生地作りから焼成まで全行程を代替することが可能です。どうしても時間を確保することが難しい場合はホームベーカリーの使用がおすすめです。なお、全行程をホームベーカリーで行う場合も4時間程度はかかるため、焼き上がり時間から逆算して作業を開始してください。
 
ふたつめは、パン生地のふくらみが少なくてよい種類のパンを選ぶ方法です。ふくらみが少なくてよい種類のパンを選ぶことで、生地の発酵にかかる時間を短縮することができます。たとえば、ピザ、フォカッチャ、ナンなどは生地の発酵にかかる時間が短くおすすめです。ピザとナンは一次発酵にかかる時間が30分程度、二次発酵は不要なため、1時間半程度の時短になります。フォカッチャは一次発酵、二次発酵ともに30〜40分程度のため、1時間程度の時短になります。
 
最後は、発酵器を使用する方法です。発酵器を使用することで、パン酵母が活動しやすい温度環境を維持することができるため、パン生地の発酵時間を最短で終わらせることができます。パン生地作りに慣れないうちは、季節ごとの温度や湿度に応じて適正な発酵時間を見極めることは難しく、不適切な温度設定はパン生地作りに失敗する原因にもなるため、パン生地作りを成功させるためにも発酵器の使用はおすすめです。また、発酵器がない場合は、オーブンレンジでも代用することができます。オーブンレンジの機種によって温度設定は異なりますが、設定温度の目安は40度前後です。

◎パン生地における低温長時間発酵
パン生地を作る際の作業時間を短縮させる方法のほかに、あえて発酵時間を長くすることで作業を分散させる「低温長時間発酵」があります。
 
パン生地の低温長時間発酵とは、就寝前にパン生地を一次発酵手前まで仕込み、一晩冷蔵庫で寝かせる方法です。オーバーナイト製法ともいいます。通常の発酵時間よりも時間をかけることで、微生物がより多くの糖分を分解します。低温環境で長時間発酵させることで、独特の風味や旨味を引き出せるという特徴があります。また、少量のイーストでも発酵させることができるため、パン生地のイースト臭を抑えられるメリットもあります。最も労力を必要とするパン生地をこねる作業とほかの作業を分散できるため、まとまった時間がとれない人にもおすすめの方法です。

◎まとめ
パン生地を作るには、各工程の役割によって適切な時間を見極めることが大切であることをお伝えしました。忙しい人でも、作業時間を短縮する方法を取り入れたり、作業を分散して隙間時間を有効活用することで、時短でパン生地を作ることができます。自身のライフスタイルに合わせて、パン作りに挑戦してみてください。

KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などの一連の業務を行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問合せください。