ブログ

世界から愛されるフランス発祥のパンの特徴や種類を解説

2024年3月26日
世界中から愛されるフランスパンは、伝統の味として2022年にユネスコの世界無形文化遺産になりました。「パン大国フランス」といわれるように種類が豊富で、個性的なパンが多いのが特徴です。この記事では、フランスのパンの特徴や種類、美味しく作るポイントをご紹介します。
◎かたい食感が特徴のフランスのパン
パリッとしたかたい外皮のクラストと内側のふっくらしたクラムは、小麦の風味が楽しめるものが多いことが特徴です。かたい食感が多いのは、気候などの関係から他国のようにふっくらとしたものを作ることが難しかったからといわれることもあります。ですが、ヨーロッパの中世期末の時代にはやわらかいパンがあり、上流階級の人たちの間で食べられていました。一方農民は、少ない材料・機械・回数でしか作る資格を与えられず、長期間の飢えをしのぐために工夫した結果、かたいパンができあがったとされています。そうした背景もあり、伝統を守りたいといった声もあるなか、かたい食感のパンが主流で愛され続けています。
 
フランスのパンの材料は、小麦、塩、酵母、水の4つが基本です。バターや砂糖、卵を使わないことによってかたく、素材そのものの風味や味わいを楽しめます。一般的な材料といえば、卵・砂糖・油脂などが使われています。卵は、やわらかくして、生地の老化を遅らせます。砂糖は、発酵を促す作用があり、油脂は、生地のグルテンの進展性を良くして、老化を遅らせるといった役割があります。フランスのパンはシンプルな材料のため、気温や湿度の影響を受けやすいです。その日によって発酵に必要な小麦粉や室温・水の温度、発酵の具合や焼き加減などを調節する必要があります。
 
フランスの小麦粉には、中力粉に近い小麦粉が使われます。強力粉よりタンパク質(グルテン)が少ないため、クラストが香ばしく、クラムがふんわりとした食感になります。使われる粉は、日本でフランスパン専用粉と呼ばれています。塩が入ることで酵母の働きを助けて、生地のコシを強くし、雑菌の繁殖を防いでこんがりとした焼き色をつけます。水分量が多い生地になるので、べたべたとした状態で成形が難しく、発酵にも時間がかかるものになります。シンプルな材料であるがゆえに美味しく作るには、コツが必要です。
◎フランスで食べられているパンの種類
フランスのパンは、大きく分けて3つの種類があります。パン・トラディショネルと呼ばれるフランスパンなどの食事系のパンや、菓子系の副材料の多いリッチなパンはヴィエノワズリーと呼ばれます。パン・スぺシオは、田舎パンなどがあげられます。ハードタイプのパンとして代表するのは、バケットです。日本ではフランスパンと呼ばれ、種類が豊富です。バケット・フランセーズは、約60年前にバケットの消費量が減ったことがきっかけで、それまでの大型のフランスパンに代わって生まれました。サンドイッチ用としても家庭で活用されています。
 
フランスパンの種類は、ドゥリーヴル、パリジャン、バケット、バタール、フィセルがあります。とくにパン・ド・カンパーニュ(田舎パン)は、フランスパンのなかで最も古いとされており、すべて手ごねだった時代からフランスの田舎で作られていました。材料は、小麦粉に少量のライ麦が入っているのが特徴です。ルヴァン種という天然酵母でじっくり発酵させていくので、独特な香りや少し酸味がある素朴な味わいに仕上がります。バヌトンと呼ばれる藤カゴに生地を入れて発酵を行います。表面に渦巻の模様ができて、形も均一に焼きあがります。
 
クロワッサンは、バターやマーガリンを生地に折り込んで焼き上げるウィーン生まれのものです。他国から侵入を図られた際にいち早く、パン職人が気づきました。トルコ軍撃退の記念にトルコ軍の国旗の印でもある三日月型のパンを作る名誉が与えられたことがはじまりです。クロワッサンには2種類あり、バターが入ったひし形のクロワッサンもあります。パン・オ・ショコラは、クロワッサン生地で棒状のチョコレートを包んだ菓子パンです。クロワッサンと一緒に販売される人気ぶりで、フランスでは朝食としても定番です。
 
ブリオッシュは、フランスの甘いパンのなかでは、最も古いとされています。卵やバターをたっぷり入れることでやわらかい食感になります。マリーアントワネットが結婚する際にウィーンの菓子職人から伝えられたものです。グクロフは、砂糖・バター・卵・牛乳を使って、干しブドウやレモンの皮などフルーツを練りこんだものです。発祥は、オーストリアですが、アルザス地方では名物になっています。ブリオッシュ風な生地なこともあって、マリーアントワネットが好んでいましたとされています。
◎フランスのパンを美味しく作るポイント
主な材料は、小麦粉、塩、酵母、水といった最低限のもので作られます。限られた材料で、美味しく作るためには、発酵時間や気温・水温・湿度などの条件を状況の変化に合わせて作っていくテクニックが必要です。ルヴァン・ルビュールは、発酵種として加えます。加えることで、グルテンの強化やうま味・保存性が増して、イーストの量を減らすことができます。多すぎるとボリュームが出ず、酸味が出てしまいます。発酵生地の材料は、フランスパン専用粉、水、生イースト、塩です。なければ、前日に作ったバケットの生地を残しておいたものでも代用できます。
 
高温で一気に焼き上げることで、乾燥を防ぎながら必要な水分を蒸発させ、パリッとした食感になります。焼き上げた時は、焼き色や音を確認します。裏側をたたいて、乾いた音がするか確かめます。乾いた音がするのは、水分が程よく飛んで、焼きあがっている証拠です。焼きあがった後は、すぐ網に乗せることで蒸発した水分が表面にたまらず、クラストが湿らなくなります。フランスのパンが美味しい理由は、かたくて香ばしい皮(クラスト)です。かたさを保つことで3つの食感を味わえます。クープの切れ目で立ち上がったバリバリという食感やクラストのパリパリとした食感、クラストに守られたクラムのもっちりとしてふわふわな食感です。
 
クープとは、パンの表面に斜めに入っている模様です。生地内の水分を外に逃がすことで、ふっくらした食感になります。美味しいバケットは、クープが反り返るほど大きく開き、クラムに大小の気泡があります。気泡が、大小あるのは、発酵が上手くいった証拠なのです。

◎まとめ
フランスのパンの材料は、世界各国と比べて、シンプルです。表面はかたく、なかはふっくらとした食感が特徴です。厳選された材料だけで作るので、素材そのものの風味を味わえます。同じ材料でも量やこね方などを替えることで種類も豊富です。昔も今も、愛され続けられています。
 
KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などの一連の業務を行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問合せください。