世界各国の食卓を彩っているパン。主にパスタやピッツァが食べられている印象のイタリアでも、パンは毎日の食卓に欠かせない存在です。イタリアのパンは、前菜からスイーツに至るまで、さまざまな種類があります。この記事では、イタリアのパンの特徴や種類、作る際のポイントについてご紹介します。
◎イタリアのパンの特徴
イタリアでは、古代ローマ時代からパンが人々の生活を支えていました。歴史あるパン文化をもつイタリアは、南北に国土が長いため、地域によって食文化が異なります。北部ではかためのパン、南部ではやわらかめのパンが好まれており、中部では塩の入っていないパンも食べられています。また、イタリア国境付近では隣国の影響を受けた独自のパンを作っている地域もあるそうです。このように地域によって材料や製法に違いがあることから、イタリアのパンは約250種類あり、さらに細かく分類すると1,000種類以上にも及ぶパンが存在するといいます。
イタリアのパンは小麦粉・水・塩・酵母の主材料のみで作られることが多く、砂糖や乳製品などの副材料が含まれないため、ほかのパンと比べて薄味になっています。イタリアでは、パンをそのまま食べるよりも味の濃い料理と一緒に楽しむのが主流のため、パン自体の塩気や味わいを控えめにしてバランスをとっているのです。主材料だけのシンプルな味わいなので、ハムやチーズ、野菜を挟んでサンドイッチ(パニーノ)にしたり、ビネガーやオリーブオイル、パスタソースなどに浸したりして食べるのに適しています。さらに、スティック型やブール型、バゲット型やねじれた形のものまでさまざまな形状があることも、地域ごとに製法が異なるイタリアのパンならではの特徴です。
そのほかにも、ワインと一緒に前菜として楽しんだり、フルーツやはちみつをトッピングしてデザートにしたりと、イタリアのパンはアレンジの幅も豊富です。また、パンといえば焼きたてが1番おいしいというイメージがありますが、イタリアのパンは時間の経過によりさらにおいしさが引き立つという独自の特性をもっています。本場イタリアの伝統的な食べ方はもちろん、多様なアレンジを楽しめることから、イタリアのパンは世界中で愛されているのです。
◎代表的なイタリアのパン
イタリアの代表的なパンのひとつがフォカッチャです。生地にオリーブオイルやハーブが練りこまれており、独特の風味があるフォカッチャ。表面はカリッとして香ばしく、なかはもっちりとした食感です。スープと一緒に食べたりパニーノにアレンジしたりするのがおすすめですが、イタリアではビールのおつまみとしても楽しまれています。
イタリアで主にパニーノ用のパンとして親しまれているのがチャバタです。水分が多くしっとりとした食感をもつチャバタは、パン職人が水の量を誤って作ったことにより生まれたといわれています。平たく細長い形状かつ塩気の少ないシンプルな味わいのため、パニーノとして食べるのに適しています。サーモンやチキン、野菜など好きな具材を挟んで、自由にパニーノを楽しめるのがチャバタの魅力です。
2つのパンとは異なり、ポリポリとした食感が楽しいのがグリッシーニです。フランスの皇帝・ナポレオンが好んで食べていたとされる、イタリア発祥のパンです。細長いスティック状なのでお菓子をつまむようにそのまま食べたくなりますが、ひと口サイズにちぎって食べるのが正式なマナーとされています。生ハムを巻いたりソースをディップするなど幅広い楽しみ方があるグリッシーニは、イタリアでは前菜やおつまみとしても人気があります。
◎イタリアのパン作りのポイント
イタリアのパンは材料がシンプルなため、パン作り初心者でもチャレンジしやすいとされています。材料を混ぜる際は、スプーンやゴムベラを使ってダマにならないようしっかりと混ぜ合わせてください。粉っぽさがなくなるまで混ぜることで、こねやすいパン生地になります。チャバタなど水分量の多いパン生地はべたつきやすいため、材料を混ぜたボウルのなかでこねるのがおすすめです。こね台に出す場合は、腕の力だけでなくしっかりと体重をかけてこねましょう。パン生地がべたついてこねにくい場合は、室温で20~30分ほど寝かせておくと、混ぜ合わせた粉と水分がよくなじむためまとまりやすくなります。
イタリアのパン特有のもっちりとした食感や小麦の風味を出すために、パン生地の発酵は低温で時間をかけて行うのがおすすめです。本場イタリアでも、小麦の風味をより引き出すためにパン生地を長時間発酵させる手法が取り入れられています。家庭で長時間発酵を行う場合は、一次発酵の際にパン生地を冷蔵庫に入れて8~10時間ほど寝かせます。時間をかけて発酵させることで酵母の働きが活発になり、パン生地が十分に熟成されるため、より小麦の味わいが豊かになります。
ふっくらと焼き上げるために、パン生地は2倍ほど膨らむまで発酵させましょう。なお、材料のひとつである塩には酵母の働きを抑制する効果があるので、パン生地が膨らまないという失敗を招く可能性があります。そのため、ほかの材料をすべて混ぜ合わせてから最後に塩を加えるとよいでしょう。そして成形後は、30分ほど生地を寝かせてから焼き上げることで、小麦の風味をさらに引き立てることができます。
フォカッチャのようにオリーブオイルの風味が特徴のパンは、オイルを生地に練りこんだり、成形した生地に塗ったり、焼き上がったパンにもたっぷりと塗り広げます。焼き上がったあとは、熱いうちにオイルを塗るのがポイントです。オリーブオイルを贅沢に使用することで、生地の表面がカリカリとした食感になりパンの香ばしさがさらに増します。また、フォカッチャなどと比べて軽い食感のグリッシーニは、二次発酵や細かい温度管理が不要のため、イタリアのパンのなかでも比較的簡単に作れます。
◎まとめ
主材料のみで作られるシンプルなイタリアのパンは、アレンジ次第で前菜からスイーツまでさまざまなシーンにマッチするため、世界中で親しまれています。毎日の食事だけでなく、特別な日のごちそうやワインのお供として、イタリアのパンを楽しんでくださいね。
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