パン生地作りにおいて1枚持っていると便利なパンマット。パンマットというアイテムがあることは知っているけれど、役割や使い方がよくわからないという方もいるかもしれません。パン生地の分割から発酵まで、さまざまな作業に使える便利なパンマットは、パン作りの初心者さんにおすすめしたいアイテムです。この記事では、パンマットの特徴や使い方についてご紹介します。
◎パン生地作りに役立つパンマットの特徴
パンマットは、キャンバス生地とも呼ばれるコットン製の厚手の布地です。おもにパン生地を休ませるときや、分割・成形するときに使用します。パン作りにおいて必要不可欠なものではありませんが、フランスパンなどハード系のやわらかい生地を扱う際に、非常に重宝するアイテムです。
パンマットの表面はでこぼこしているため、ハード系のやわらかいパン生地でもくっつきにくいという特徴があります。
パン生地作りの際に、打ち粉が少量で済む点もパンマットを使用するメリットです。パンマットは、パン生地に含まれる余分な水分を適度に吸収してくれるため、生地のべたつきが抑えられて扱いやすくなります。パンマットにうねと呼ばれる小さな山をいくつか作り、そのくぼみに生地を寝かせて発酵させることで、やわらかい生地の型崩れを防ぐことができるのです。
◎パン生地作りにおけるパンマットの便利な使い方
パンマットは、パン生地がくっつきにくいという特徴をもっているため、一次発酵させた生地をパンマットにのせて分割するとべたつきにくく、作業をスムーズに行うことができます。やわらかいパン生地を成形する際にも、パンマットを使用することでよりストレスなく作業を進められるでしょう。たとえば、やわらかいパン生地を扱う場合、べたつくせいで生地にさわる時間が長くなってしまいがちです。分割や成形の工程に時間をかけすぎると、生地が傷んでしまい、焼き上がりの形や食感に影響が出てしまいます。できるだけ手で生地をさわる時間を減らすために、やわらかい生地を扱う際には、パンマットに打ち粉をするのがおすすめです。パンマットに打ち粉をすることで、より生地がくっつきにくく扱いやすくなるため、焼き上がったパンへの影響を抑えることができます。打ち粉をしておけば、生地を焼き上げる際の天板への移し替えもスムーズです。
ベンチタイム中のパン生地の乾燥防止に使用する濡れ布巾やラップなどの代わりにも、パンマットが活躍します。ただし、乾燥が気になる季節や生地を寝かせる環境によっては、パンマットだけでは完全に乾燥を防げない可能性もあります。その場合は、パンマットの上からさらに濡れ布巾をかぶせてあげるとよいでしょう。準強力粉を使用するフランスパンなどのハード系のパン生地は、強力粉を使用した生地に比べてたんぱく質の量がやや少ないため、発酵の際にだれてしまい、型崩れを起こしやすくなります。そのようなやわらかいパン生地の布取りにも最適なのが、パンマットです。二次発酵の際、パンマットに作ったうねのくぼみに成形したパン生地を寝かせることで、やわらかい生地でも崩れにくくきれいな形のまま発酵させることができます。
とくにバゲットを作る際は、パンマットを使用した布取りが重要です。布取りをすることで、きれいな形のバゲットが焼けるだけでなく、バゲットの特徴でもあるクープを入れやすいという効果があります。また、きれいにクープを入れることができるため、焼き上がりのクラストがパリっと香ばしく仕上がるメリットがあります。バゲット作りに挑戦したい方や、うまく焼けない場合は、パンマットを取り入れてみることをおすすめします。このように、パンマットを持っていれば、パン作りのさまざまな工程に活用できるのです。
◎パンマットをお手入れする際のポイント
常に清潔を保つため、パンマットを使ったあとはお手入れを欠かさないようにしましょう。パンマットは、布地の風合いを保つため、基本的に水洗いは推奨されていません。使用するごとに水洗いをすると、パンマットの特徴である生地のでこぼこが薄くなってしまいます。使用後のパンマットには打ち粉が多く残っているので、パンマットを叩いて大まかに粉を払い、仕上げにカードを使ってしっかりと残った粉を取り除きましょう。パン生地がこびりついてしまった場合は、パンマットを乾燥させたあとにスケッパーを使ってこするときれいになります。また、使用後のパンマットはパン生地の水分を吸っているため、粉を払ったあとは陰干しして完全に乾かしてから保管してください。
長期間使用しないときや汚れが目立つときは、重曹やクエン酸を溶かしたぬるま湯に漬け置きし、汚れを浮かせてから手洗いしてもよいでしょう。パン生地に含まれるグルテンは酸に弱いため、クエン酸を使うのがおすすめです。手洗いのあと洗濯機で仕上げ洗いをする方法もありますが、生地の風合いを長持ちさせたい場合は、洗濯機で洗うことはできるだけ避けたほうがよいでしょう。汚れがひどい場合には、洗剤を使用して水洗いしたくなるかもしれませんが、洗剤の香りがパンマットに移ってしまうのを防ぐため、無香料の中性洗剤を使用するのがおすすめです。香りの強い柔軟剤は使用せず、どうしても汚れが気になる場合のみ、洗剤を使用して洗うようにしてください。
日常的にパンマットを使用するのであれば、十分に粉を払って干しておくだけでも問題ありませんが、食品を扱うアイテムのため、常に清潔にしておくことを心がけましょう。パンマットに粉やパン生地がついたまま保管するとカビが発生しやすいので、しっかりと汚れを落としてから保管してください。あまりにも劣化がひどくなってきたら、買い替えを検討しましょう。
◎まとめ
パンマットは、1枚あれば成形から発酵までマルチに活躍する便利なアイテムです。パン生地の扱いに慣れていない初心者こそ、パンマットを使ってパン作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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