世界有数の多民族国家であるアメリカは、パンの種類も豊富です。とくに都市部では、アメリカ発祥のパンだけでなく、世界中のパンを楽しむことができます。この記事では、アメリカのパンの特徴や種類、作り方のポイントについてご紹介します。
◎アメリカのパンの特徴
アメリカのパンといえば、ハンバーガーやホットドッグなどのファストフードに使用されているイメージが強いのではないでしょうか。ですが、アメリカのパンには、食事パンから甘いスイーツのようなパンまで、さまざまな種類があります。アメリカでは、ブレッドと呼ばれる大型パンと、ロールと呼ばれる小型パンが主流となっています。なかでもアメリカ発祥のパンは、バターや砂糖をたっぷりと使ったリッチなものが多く、手軽に食べられることから、おもに朝食として食卓に並ぶことが多いとされています。
そんな多民族国家のアメリカならではのパンといえば、ベーグルです。ベーグルはもともとユダヤ人が食べていたパンで、ユダヤ人の移住とともに広まったといわれています。アメリカに伝わった当初は、労働組合に所属する人々が手作業で作っていましたが、1960年代ごろにベーグルを生産する機械が導入されたことをきっかけに、アメリカ全土に広まったといいます。ベーグルは、いまやアメリカを代表するポピュラーなパンとなり、日本はもちろん、世界中で親しまれるパンとなりました。このように、世界各国の文化が持ち込まれて広まったアメリカのパンは種類が豊富で、毎日さまざまなパンが食卓を彩っているのです。
◎代表的なアメリカのパンの種類
うずまき模様とシナモンの香りが特徴的なシナモンロールは、スウェーデン発祥ながらアメリカで広く親しまれているリッチなパンです。長方形に伸ばした生地にバターを塗り、砂糖とシナモンをふりかけて巻き込んだ生地を輪切りにして焼き上げることにより、切り株のようなうずまき模様に仕上がります。表面にたっぷりとかけたアイシングがふわふわの生地と好相性で、とにかく甘いものが食べたいときにぴったりのパンです。
ドーナツのような形状ともちもちとした食感が楽しいベーグルは、ユダヤ系移民によりアメリカに広められたパンです。リング状にした生地を焼き上げる前に湯にくぐらせる製法により、ベーグルの特徴であるもちもちとした食感が生まれます。スライスしたベーグルに好きな具材を挟んでサンドイッチにしたり、生地にブルーベリーやナッツを混ぜ込んだりとさまざまなアレンジを楽しむことができます。
コーンブレッドは、その名のとおりトウモロコシをおもな材料とした、アメリカ発祥のパンです。トウモロコシの実を荒く挽いたコーンミールという粉を使用するため、トウモロコシの優しい甘みやざくざくとした食感を楽しめます。アメリカの家庭では、朝食やおやつとして親しまれています。
◎アメリカのパン作りのポイント
日本でも親しみのあるベーグルは、焼く前に生地を茹でる「ケトリング」という製法が使われています。発酵時間が短く比較的簡単に作れるため、パン作りの初心者にもおすすめです。生地に卵やバターを使用しないため、ほかのパンと比べてヘルシーなのもうれしいポイントです。
ベーグルの主な材料は、強力粉、砂糖、塩、ドライイースト、水です。強力粉、砂糖、塩をボウルのなかでよく混ぜ合わせ、中央にくぼみを作ります。そして、くぼみのなかにドライイーストと水を入れて、スケッパーで切るように混ぜましょう。粉っぽさがなくなったらひとまとめにし、こね台に生地を移してください。ベーグルの生地は水分が少なく固いため、しっかりと体重をかけてこねるのがポイントです。生地の表面がなめらかになるまで、5~10分ほどこねましょう。こね終わったら、生地を均等に4分割して丸めます。丸めた閉じ目を下にし、乾燥を防ぐため濡れ布巾などをかけて、15分ほどベンチタイムをとりましょう。
ベンチタイムが終わったら、生地の閉じ目を上にして手のひらで平らに伸ばします。伸ばした生地を、空気が入らないよう奥から丁寧に巻いて棒状にしてください。20センチほどの長さに整えると、成形したときに真ん中の穴がきれいに仕上がります。棒状にした生地の先を、片側だけつぶした状態で輪を作り、反対側の先を包み込むようにしてリング状に成形しましょう。成形した生地を天板に移し、あたたかい場所で寝かせてふたまわりほど膨らむまで発酵させます。その際も、生地が乾燥しないよう、濡れ布巾などをかけておきましょう。発酵が終わる頃合いを見て湯を沸かしておき、同時にオーブンを200℃に予熱しておきます。
大きめの鍋に湯を沸かし、ハチミツまたはシロップを適量溶かして、発酵させた生地を投入します。湯にハチミツやシロップを溶かすことで、焼き上がりのツヤや風味が増すのです。湯は沸騰させすぎず、小さな泡がふつふつと上がってくる程度の温度を保ちましょう。沸騰させすぎると、仕上がりが固くなってしまいます。また、オーブンの予熱が終わる前に生地を茹ではじめると、茹で上がってから焼くまでに生地が冷めてしまいます。茹でた生地は冷めるとしぼんでしまい、その状態で焼き上げるとしわが入る原因になるため、必ずオーブンの予熱が終わってから生地を茹でてください。湯に入れた生地を片面ずつ1分ほど茹で、水気を切ってすぐにオーブンで20~25分ほど焼き上げます。焼き上がったらすぐに、天板から網に移して粗熱をとりましょう。焼き上がったベーグルは、そのままはもちろん、スライスしてBLTサンドにしたり、クリームチーズやブルーベリージャムを挟むなど、さまざまな食べ方を楽しめます。
◎まとめ
多民族国家のアメリカでは、世界各国から伝わったパンが親しまれています。手軽に食べられるパンの種類が豊富なため、家庭でも比較的短時間で作ることができます。気軽に作れるアメリカのパンに、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に、製パン機械の開発・販売を行っております。製品についてのご相談やご質問は、お気軽にお問い合わせください。