スウェーデンは、国土の半分以上を森林が占め、海岸線や川に囲まれた北欧最大の国です。世界でも貴重な手つかずの自然やきれいな水が豊富で、ライ麦や全粒粉、スパイスを使用したパンが作られています。そのため、素材の味わいを楽しめるようになっています。この記事では、スウェーデンのパンの特徴や種類はもちろん、作り方のポイントについてご紹介します。
◎スウェーデンのパンの特徴
スウェーデンのパンの特徴は、ライ麦やスパイスなどを使用した素朴な味わいにあります。これは、スウェーデンの厳しい気候が影響しているのです。南部が温帯で北部が亜寒帯のため、地域による気温差は激しくなっています。そのため、保存可能な肉や魚の燻製・魚の酢漬けなどの料理が多く出されます。このような塩味が強めの料理に合わせるため、パンは素朴な味わいとなるように作られているのが特徴です。
どっしりとした食感で噛み応えのある硬いパンが多く、小麦粉だけでなくライ麦や全粒粉なども原材料として使用されています。ほかにも、スパイスやシードも使われており、日本のふわふわとした食感のパンとは大きく異なります。嚙みしめるごとに、口のなかにライ麦などのうまみが広がり、自然のおいしさが感じられます。料理には、よくジャガイモが添えられていますが、レストランでは自家製のパンが数多く提供されています。スウェーデン料理にパンが不可欠である象徴といえるでしょう。
パン作りではライ麦をたっぷりと使用するため、食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富です。素朴な味わいを重視しているうえに、食事としての栄養価も考えられています。パンを膨らませるときは、イーストではなくサワー種を使用することがあります。サワー種は、ライ麦粉や全粒粉と水で作られた伝統的な発酵種で、ほどよい酸味とうまみが詰まっています。シナモンやカルダモンなどのスパイスも使用しているため、爽やかな香りの異国情緒あふれる味わいが楽しめるでしょう。
◎スウェーデンで食べられている代表的なパンの種類
スウェーデンの代表的なパンは、世界でも有名なシナモンロールです。スウェーデンでは、シナモンだけでなくカルダモンも生地に練り込んでおり、スパイスが強調された甘さ控えめのパンとなっています。ほかには、甘いパンのカルダモンロールが有名ですが、日本ではあまり親しみがないかもしれません。スウェーデンでは、フィーカ文化という、仕事の合間に休憩する習慣を大切にしています。コーヒーとシナモンロールの組み合わせでブレイクタイムを過ごせば、会話もはずみ休憩後の仕事もはかどるでしょう。
世界各地でオープンサンドは広く食べられていますが、スウェーデンでは、大きなパンをスライスしてオープンサンドにすることが一般的です。バゲットは成型せずに生地を長く伸ばしただけのものが多く、その形状はオープンサンドに適しています。具材は、生ハム以外にサーモンやえびが多く使われます。海岸線や湖、川に囲まれた地形であるため、魚料理も数多く親しまれているからです。ライ麦や全粒粉を使用したパンで、具とパンそれぞれの味わいが楽しめるようになっています。
ほかにも、ライ麦ベースの平らで硬いクネッケブロートやプレーンな食事パンのティエカーコル、ルッセカットやトゥンブロードというパンもあります。クネッケブロートはザクザクした食感で、チーズやサーモンなどをのせてアレンジして楽しみます。水分が少ないため、日持ちする保存食としても用いられています。ティエカーコルは、日本人が食パンを食べるような日常的なもので、オープンサンドにもよく使用されています。ルッカセットは、サフランを生地に練り込んだやさしい甘さのパンで、猫のしっぽがねじれたようなS字の形が特徴的です。クリスマスの時期によく食卓に並びます。トゥンブロードは、数ミリの厚さまで伸ばして焼くパンで、寒さの厳しい北部地方で食べられています。表面に凹凸がある綿棒で伸ばしてへこみを作るため、膨らみません。このように、食感も形もさまざまな種類のパンが作られています。
◎スウェーデンのパンをおいしく作るポイント
スウェーデンのパンは、ライ麦やスパイスを使うため素材の味わいを楽しめます。パン作りには強力粉や薄力粉、ライ麦粉、塩、ドライイーストやサワー種、水とシンプルな材料が使われます。そこにフェンネルやアニスシード、カルダモンなどのスパイスを混ぜていきます。スパイスはホールで購入し粗めに刻むことで、粉状のスパイスよりも香りと食感がより楽しめるようになるでしょう。パンの種類によっては、バターや油、はちみつを使用することもありますが、分量は多くありません。スウェーデンでは、全体的に食感が硬めのパンが多い傾向にあります。どのパンも比較的高温で焼きますが、とくに薄焼きの生地は200度以上の温度で焼き、パリッとした食感を楽しめます。
シナモンロールを作る場合には、卵と牛乳、たっぷりのバターを使用します。生地にバターを折り込むときは、前日に仕込み、冷蔵庫で冷やしておくと作業がスムーズに進むでしょう。世界的にも有名なシナモンロールは、シナモンの香りが特徴的です。スウェーデンではシナモンだけでなくカルダモンも生地に混ぜ込んで作ります。生地を伸ばしたら、細長くなるようにカットしてねじってください。日本では、渦巻状のシナモンロールのイメージがありますが、ハの字にカットして真ん中を押し断面が見えるようにしたり、切れ目を入れて結んだりとさまざまな形があります。
◎まとめ
スウェーデンで愛されているパンは、素朴で自然の味わいを大切にしています。パンの種類は豊富で、食事だけでなくフィーカと呼ばれるブレイクタイムにぴったりのパンもあります。料理を選ばず、さまざまな楽しみ方ができるスウェーデンのパンを、ぜひ1度味わってみてはいかがでしょうか。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売を行っております。製パン機械についてのご相談やご質問は、お気軽にお問い合わせください。