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パンのおいしさに楽しさをプラス!食感の違いがうまれる秘密

2024年10月22日
パンとひとくちにいっても、食パンやクロワッサンなど、見た目や味だけでなく食感もそれぞれ異なります。ふんわりとやわらかいパン、硬めで噛み応えがあるパンなど、食感の違いを楽しめることもパンの魅力といえるでしょう。この記事では、パンの食感に違いがうまれる仕組みや種類についてご紹介します。

◎パンの食感に違いがうまれる仕組み

パンの食感に違いがうまれる仕組みは、材料の配合量や工程の影響を受けて、気泡構造に相違ができることに起因します。パンの気泡数が多く気泡膜は薄ければ軽くソフトな口当たりとなり、数は少なく膜が厚ければ、口に含んだときに歯ごたえがうまれるのです。たとえば、同じ重さでも体積が大きいボリュームのあるパンは、気泡の膨張度が高くなり気泡膜は薄くなるため軽い食感になるでしょう。
 
食感の管理には、グルテンの粘弾性形成を進めることも重要です。グルテンの弾性化が低すぎると、気泡の一部が焼き上がりまでにつぶれてしまい、高すぎると気泡膜は損傷し数が減少してしまうためです。グルテンは、使用する粉に含まれるたんぱく質の影響を受けて粘弾性が変化します。超強力粉や強力粉は、たんぱく質を多く含み強いグルテンができるため、ふわっとした食感となります。準強力粉はたんぱく質の含有量が少ないため、フランスパンやデニッシュなどパリッとした感覚を楽しみたい場合に選択するとよいでしょう。どのような食感を楽しんでほしいかにより材料や製造法が選択され、気泡数をコントロールしながらパン作りが進められています。食感の違いを生むためには、気泡数の管理が重要となるのです。

パンの食感に違いがうまれる仕組み

◎食感の違いによるパンの種類

パンの種類は食感の違いにより、ハード系とソフト系、セミハード系の3つに分けられます。ハード系で代表的となるのは、フランスパンやライ麦パンなどです。フランスパンは、小麦粉と水、塩とイーストというシンプルな材料で作られています。形や大きさの違いでそれぞれ名前が異なり、バゲットやカンパーニュといわれています。細長い見た目のバゲットは、長さが60~80cmほどで切れ目のクープは6~8本です。表面がパリッと香ばしく、内側はもっちりとした噛み心地を楽しめるパンです。カンパーニュは、小麦粉だけでなくライ麦や全粒粉、自家製の発酵種を使用していて素朴な味わいとなっています。ドーム型や楕円形でどっしりと重く食べ応えがあり、カリッとした表面との変化が楽しめます。ライ麦パンはドイツの代表的なパンで、黒い見た目と濃い密度が特徴です。ライ麦と酵母種で作られ独特の風味と酸味があり、噛むごとに素材の味を感じられます。
 
ソフト系ではロールパンやクロワッサンが代表的です。ロールパンはバターや卵を練り込んで焼いているため、香り豊かで甘みが感じられます。 バターを練り込む前にしっかり捏ねることで、きめが細かくふわふわになります。クロワッサンは、バターを何層にも練り込んで三日月形に焼き上げており、サクッとした歯ごたえが楽しめます。生地の折り目を変えて層のきめを調整することで、よりザクザクした食感にすることも可能です。

セミハード系には、フォカッチャやベーグルなどがあります。フォカッチャは、オリーブオイルを練り込んだ平たい形で、もちもちとした噛み応えが特徴です。シンプルな味わいでイタリア料理に合わせたりピザ風にしたり、具を挟むなどのアレンジも豊富です。ベーグルはバターや牛乳、卵を使用せず作り、もっちりとして引きが強い独特の噛み応えとなっています。一次発酵が終わった生地を、お湯でゆでてから焼くという工程が最大の特徴で、焼いても生地内に水分がとどまっているのです。このように多種多様な食感を知ることで、味覚の世界を広げられるでしょう。
 
食感の違いによるパンの種類

◎食感の違いにはパン作りの工程も重要

パン作りで必要なミキシングやベンチ、丸めと成型の工程は、食感の違いに大きく影響します。それぞれの工程が、気泡数の増減を左右するためです。ミキシングによってパン生地中の空気が分散し、気泡が形成されます。どの程度の空気を合わせるかによって気泡数が増減するため、ミキシングは気泡の原点といえるでしょう。ベーカリーでは、ストレート法を用いてミキシングの程度を低くして、生地を2~3時間の発酵で膨張させます。グルテンの粘弾性を形成し、気泡数が少なく膜の厚い強い噛み応えのパンを作るのです。

製パン工場では、中種法で材料の一部をミキシングして4時間発酵させます。その後残りの原材料を加えて最大限のミキシングを行うため、気泡数が多く膜の薄いソフトな口当たりとなります。同じ食パンでも、製品が消費者へ届くのに時間を要する工場では、軽くソフトなタイプが多い傾向にあるでしょう。パンが硬くならず老化を遅らせることができ、賞味期限が長くなるためです。分割機などの機械によるダメージが少ないという点も、気泡数が多い生地が工場で選択される理由のひとつです。

パン生地は、時間の経過で膨化が進みます。膨張した生地に外力を加えるベンチや丸め、成形の工程では、グルテンの弾性化が高まり気泡数を増加させます。手で作業する場合は作り手によって力加減が変わり、グルテンの粘弾性が一定化せず気泡数にばらつきがでるため注意してください。工場では、大量の商品を製造するために製パン機械の分割機や丸目機、モルダーを使用します。一定の力で製造できるため、気泡数の安定化による品質管理が可能です。ベーカリーとパン工場では、消費者に製品を届けるまでを考慮して、工程が決められています。

 
食感の違いにはパン作りの工程も重要

◎まとめ

パンの種類はさまざまで、食感の違いには気泡構造が大きく影響しています。作る工程で気泡に変化がうまれ、おいしさへとつながっていくのです。製パン工場では、製パン機械を使用することで繊細な気泡構造の安定が図れます。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などの一連の業務を行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問い合わせください。
 
パンのおいしさに楽しさをプラス!食感の違いがうまれる秘密