パン作りに最適なオーブンを選ぶ際に重視するポイント

パン作りに挑戦したいとき、オーブンは欠かせない機械のひとつです。オーブンはさまざまな機能があるため、選び方で悩む人は多いでしょう。この記事では、家庭でのパン作りにおけるオーブンの選び方や種類、工場で使われる製パン機械についてご紹介します。
◎家庭でのパン作りに必要なオーブンの選び方
家庭でのパン作りに必要なオーブンの選び方は、作りたいものに合っているかどうかで異なります。「性能や機能・広さ・温度・オーブンの加熱方式」など、選び方で重視するポイントは多様です。パンは高温で焼くことが多く、温度や加熱方式は最重要項目となります。温度による選び方では、250℃以上の高温になるかを確認します。オーブン内が適切な温度まで上がらなければ、パンが十分に膨らまず食感や味に影響するためです。焼き色がつきにくくなり、香ばしい見た目にはなりません。
加熱方式による選び方では、上下ヒータータイプかコンベンションタイプを検討します。上下ヒーターのオーブンは、ゆっくりと火を入れる分蓄熱性が高くなります。しっとりとした口溶けになりますが、焼きムラのできやすさが注意点です。コンベンションタイプは、熱風を循環させて焼くオーブンです。温度上昇が早く短時間で焼き上げられる分、ムラができにくくなります。家庭でのパン作りを継続するならば、オーブン内のスペースは広い方がよいでしょう。30L以上の広さがあれば、1度に多くの成形パンを焼成できます。バターロールは20Lで4個、25~30Lで6~8個ほど焼成可能です。スペースによる選び方では、高さも確認してください。食パンを焼くときは、庫内の高さがないと膨らんだときに上面が焦げてしまいます。
選び方では、天板の素材や便利な機能についても検討しましょう。ハード系のパンでは、天板の素材が膨らみを左右します。また、クープを美しく仕上げられるようにスチーム機能があると便利です。クープとは、ハード系のパンに作る切れ目のことで、きれいに開いた状態が美味しさを表します。美しくするには、焼き途中に表面を保湿する必要があります。スチーム機能があれば、途中で扉を開けなくても保湿できる分、オーブン内の温度を下げてしまうことはありません。このように選び方はさまざまですが、機能が多ければ価格も上がる点には注意が必要です。どのようなパンを作りたいかで、求める機能の備わったオーブンを選びましょう。

◎オーブンの選び方に影響するパンの焼成温度
パンは種類によって焼成温度が異なるため、オーブンを選ぶ際は、作りたいパンの焼成方法も考慮します。ハード系のパンは230~250℃、ソフト系では190~220℃が適温です。クロワッサンなどのサックリ系は220℃、バターを多く含むリッチなパンは200~220℃が適切な焼成温度といわれています。焼成時の温度が低いと、オーブンのなかでパン生地が膨らみません。生地が十分膨らむ現象を窯伸びといい、望ましい状態であれば口溶けのよいパンになります。食パンをきれいに窯伸びさせるためには、焼成時の温度調整が重要です。食パンは型に入れて焼く分、底面と側面は覆われており熱が入りにくい状態です。上火が強すぎたり下火不足だったりすると、きれいに窯伸びしません。
ハード系のパンは下面からの熱が高く伝わり膨張するため、オーブンの炉床に直接生地を置いて焼き上げます。炉床の熱がパン生地底面に直接伝わり、表面全体が焼きかたまる前に窯伸びするのです。バゲットの窯伸びは、クープの開き具合に比例します。生地内部が膨らみたいのに、クープが先に焼きかたまってしまえば膨張がおさえられてしまいます。そのような事態を避けられるよう、オーブンを予熱する際は天板も一緒に温めて熱を加えておくことが大切です。天板は熱くなるまでに時間がかかる点を覚えておきましょう。オーブンの選び方は、焼きたいパンの種類によって決まります。ベーカリーや製パン工場では、扱う製品の焼き方を考慮して、オーブンなどの製パン機械が取り入れられています。

◎ベーカリーや製パン工場で使われるオーブンの種類
オーブンの種類は、デッキオーブンやリールオーブン、コンベクションオーブンに石窯などがあります。ベーカリーや製パン工場で多く使われているタイプは、電気ヒーターや加熱方式のオーブンです。一部ベーカリーでは、石窯タイプを使用しているケースもあります。デッキオーブンは、上下のヒーターで熱を蓄えて焼くタイプです。オーブン内の炉床には、耐火ボードや鉄板、石質などの素材が使われています。炉床のパンに伝導熱を送り、炉内の空気を加熱するシステムです。炉床に石質材が使われている場合には、蓄熱性が高いという特性をもちます。上火と下火の調節で生地底面の温度を一気に上昇させ、ボリュームのあるパンを作ります。
リールオーブンはガス加熱式のタイプで、広い炉内をトレーが回転し焼成するため量産化の実現が可能です。炉下部のバーナーが燃料を燃やして高温のガスを発生させ、炉内に熱を伝えます。炉室内を、パンが移動して熱供給を受ける仕組みです。パンに均等な熱エネルギーが作用する分、大きさなどによる焼きムラが小さくなり、工場など大型ラインで活用されています。
コンベクションオーブンは、熱風を利用して炉内を高温に保ち、パンを均一に焼き上げることが可能です。内部にあるファンが、熱風を強制的に循環させて炉内の温度を急激に高めます。熱風の循環能力は高く隙間にも熱が届き、均熱性に優れ多くの製品を焼成できます。ヒーターが、媒体となる炉内の空気を加熱するため、送風できれば縦に数段並べて焼くことが可能です。天板の材質を変更すれば、上下の熱バランスを調整できます。
岩石窯は、炉外で薪を焚き窯内部の温度を上げる間接型の加熱方式です。窯の温度が上昇すると、炉壁表面から熱が放射され炉内に蓄積されます。温度制御が難しく熱効率も小さい点がデメリットといえますが、石の蓄熱性で金属よりも多くの熱を蓄えられます。このように種類によって特徴が異なるため、オーブンの選び方は重要です。オーブンは、パンを焼くうえで欠かせない製パン機械となっているのです。

◎まとめ
オーブンはパンの味や見た目を構成する焼成に重要となり、選び方は慎重な判断が求められます。KOKIでは、パン生地作りに重要な丸めや、分割の際に使用する製パン機械を開発・販売しております。パン生地を作る工程で必要な製パン機械の導入を検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
