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製パン工場におけるパン作りの工程を詳しく解説!

2023年7月11日
製パン工場の規模にもよりますが、毎日何万個ものパンを製造しています。大量のパン作りを可能にしているのが製パン機械であり、工程ごとに、さまざまな種類の機械が使われています。この記事では、製パン工場でのパン作りの流れを、使用する製パン機械と一緒にご紹介します。
◎中種法でのパン生地作り
パン作りは、材料のミキシングからはじまります。たとえば、大手の製パン工場では「中種法」といって、材料である小麦粉の一部と水やイーストをいったん混ぜて4時間ほど発酵させます。次に、残りの小麦粉、液糖、食塩、油脂、乳製品などの原材料を混ぜ合わせて再度発酵させてパン生地を作っていきます。なお、材料を1度に全て混ぜる製法は「ストレート法」といい、家庭でパンを作るときによく用いられます。
 
中種法は発酵時間が長い分、小麦粉が水をよく吸収します。その結果、保水性が増して傷みにくく、日持ちのするパンに仕上がります。中種法は製パン機械との相性が良い製法です。2回のミキシングによってグルテン組織が発達するので、パンの柔軟性が高くなり、機械にかけてもダメージを受けにくくなるのです。
 
製パン工場でのミキシングでは、何百キロものパン生地を1度に混ぜることのできる大型のミキサーを使います。本ごねを終えてできあがったパン生地は、大きなボックスに移して20〜30分間のフロアタイムを取ります。

中種法でのパン生地作り
◎パン生地の分割から成形まで
フロアタイムが終わったら、パン生地を1個ずつの量に分けていきます。パン生地を正確に分割できなければ、大きさや焼き加減に差が出てしまいます。常に同じ品質のパンを消費者に届け続けるためにも、製パン工場での分割は非常に重要な工程です。分割には、分割機(デバイダー)が使われます。
 
その後、切り分けられたパン生地は、丸目機(ラウンダー)によって丸められます。パン生地を丸める目的は、形を均一に整えるためだけではありません。分割によって壊れたり傷んだりしたグルテンの構造を整え、発酵によってできる炭酸ガスが外に逃げないようにする効果もあります。
 
丸められたパン生地は、10〜20分ほど移動させながら休ませます。この工程を中間発酵といい、製パン工場では中間プルファーという製パン機械で行われます。パン生地を休めることで、分割などで傷ついたパン生地は回復します。その後、モルダーと呼ばれる製パン機械でパン生地を薄く伸ばしながらガス抜きを行います。ガスを抜いてパン生地内のガスの気泡を増やすことで、きめが細かくおいしいパンに仕上がります。ガス抜きまで行ったら、成形でパン生地を最終的な形に整えます。たとえば、食パンならパン生地を棒のように巻いてからM字型に折り曲げ、四角いケースに詰めていきます。

パン生地の分割から成形まで
◎パンを出荷するまでの最終工程
成形の後は、いよいよ最終発酵です。焼く前にもう1度パン生地を40〜50分間発酵させることで、風味や香りがより一層良くなって、口当たりの良いふっくらとしたパンに仕上がります。発酵にはホイロと呼ばれる製パン機械が使用されます。ホイロのおかげで、周りの環境に影響されることなく発酵に最適な温度と湿度を保つことができるので、パンの品質を保つためには欠かせません。
 
そして、30〜40分かけて200度程度のオーブンで焼き上げると、香ばしい香りときれいな焼き色のパンができあがります。発酵時に発生した炭酸ガスが加熱によって膨張するため、パンのボリュームは焼き上げ前と比べて大きくなります。できあがったパンは急に冷ますと縮んでしまうため、1時間半ほどかけてゆっくり冷まします。とくに食パンなどのやわらかいパンは、すぐにスライスすると形が崩れてしまうので冷やすことが重要なのです。
 
パンが冷めたらひとつずつ袋詰めにより密閉します。市販のパンが手作りやベーカリーのものと比べてカビにくいのは、パン工場における衛生管理の徹底と、包装技術の高さによるものです。最後は金属検出機で商品をくまなくチェックします。この工程のおかげで、消費者は安全安心なパンを食べられるのです。問題がなければ、販売店ごとに仕分けトラックに乗せられ、製パン工場から出荷となります。

パンを出荷するまでの最終工程
◎分割からガス抜きで選ばれるKOKIの製パン機械
当社で取り扱っている製パン機械は、主に分割機丸目機プルファーモルダーになります。サーボ分割機USDシリーズや、シンプル分割機ESDシリーズは「生地にやさしい」をテーマに開発しました。カット方式はもみこみ式で、主ラムの押し込む力は従来機の約半分となっています。パン生地へのダメージやストレスが少なくなり、プルファーでの発酵時や焼成時の膨らみが良いので、ボリュームのあるパンが作れるのです。分割機には、ウェイトチェッカーと一体になったKC9000というタイプがあります。KC9000ならパン生地を均等に分けることはもちろん、設定重量からのずれを2%以内に収めることが可能となり、パン生地のロスを少なくできます。
 
丸目機は、パン生地へのダメージが少ない円筒型、逆円錐型、リニア型を採用しました。とくに、逆円錐型の丸目機CCRシリーズは、シリンダーがパン生地を上から覆うような形状のため、パン生地を締め付けすぎることなく短い距離での丸めが可能です。結果として短時間での丸めとなるので、ラウンディングによるパン生地へのストレスが少なくなります。逆円錐台形の搬送ドラムの周りに、螺旋状に延びる生地丸め溝を設けた機械構造は特許を取得しています。
 
いずれの製パン機械も、パン生地に負担のかからない優しい工夫がされています。シンプルな構造や部品の軽量化によりメンテナンスがしやすく、製パン工場で働く人々にとって配慮された構造になっているのも特徴です。当社では、お客さまの声を第一に考えているので、ご要望を設計に取り入れるオーダーメイドが可能です。

分割からガス抜きで選ばれるKOKIの製パン機械
◎まとめ
製パン工場ではさまざまな種類の製パン機械が活躍し、効率化された大量生産を支えています。KOKIでは、分割機と丸目機を中心にパン生地にやさしい製パン機械を取り扱っています。製品についてのご相談は、当社までお気軽にお問合せください。

製パン工場におけるパン作りの工程を詳しく解説!