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パン生地はなぜこねる?パン作りの目的別こね方を紹介

2023年9月26日
「パンをこねる」と一口に言っても、その方法はひとつではありません。手でこねる場合もあれば、機械を使う場合もあります。こね方も伸ばしたり叩いたりとさまざまです。この記事では、パン生地をこねる理由から基本のこね方、こねた後の流れについてご紹介します。
◎パン生地をこねる理由
パン生地をこねるのには、いくつかの理由があり、まず材料を均等に混ぜ合わせるために行います。パン生地内で材料や水分が均一に分散していなければ、ムラができてしまい、最終的に仕上がるパンの膨らみや味に影響が出てしまいます。次に、グルテンの網目構造を強化することです。グルテンの網目構造は、小麦に含まれるグリアジンとグルテニンが水と混ざり、そこに力が加わることで作られます。パン生地をよくこねるほど、より粘弾性を帯びた網目構造が形成されます。このグルテンの網目構造は、発酵によって生成された炭酸ガスを包み込む働きをします。ふんわりとしたやわらかい食感のパンを作りたいのであれば、パン生地をよく膨らませる必要がありますが、そのためにはパン生地をよくこねてグルテンの網目構造をしっかり作ることが大切です。
 
仮にパン生地をこねなくてもグルテンを作ることは可能ですが、しっかりとした網目構造を作ることは難しいでしょう。グルテンができても貧弱な網目構造では、炭酸ガスが抜けやすく、パンの膨らみは不十分になってしまいます。パン生地はこねることでグルテンの網目構造が強化されることに加え、空気を多く取り入れられるのでイーストの活動が促されます。つまり、パン生地をこねるというのは、結果としてパンを早く作ることにつながります。ただし、ずっしり感が特徴のリーンなパンを作る場合には、あえてあまりこねないパン作りのスタイルをとることがあります。

パン生地をこねる理由
◎パン生地の基本のこね方
パン生地をこねる際の手順ですが、まずはボウルのなかに入れた材料を粉気がなくなるまでヘラで混ぜます。その後、ある程度まとまった段階で作業台に移したら、こねの作業に入ります。パン生地の基本のこね方は「伸ばす」と「叩く」です。伸ばす場合は、手のひらの付け根の部分を使ってパン生地を作業台にこすりつけます。パン生地を手前から奥に向かって、体重をかけながら伸ばしたら、必要に応じてスケッパーなどを使いながらパン生地を手前に集めます。この手順を何度も繰り返すことで、はじめはベタベタしていたパン生地が段々とまとまっていきます。伸ばしながらこねたパン生地がまとまって塊になってきたら、次は叩きごねをしていきます。パン生地の端を持って作業台に叩きつけたら、持っていた部分を奥に折り込みます。その後、再びパン生地の端を持ち直し、叩きつけるということを繰り返します。叩いてこねることによって、パン生地にツヤとハリがでてきます。
 
いずれのこね方にしても、適切な回数や時間は作るパンの種類やその場の環境によって異なるため、パン生地の状態を見ながら判断しなければいけません。パン生地をこねるときは、ベタベタ触らずに、手とパン生地の接触をできるだけ少なくするのがコツです。そうすることで、パン生地へのストレスが最小限に抑えられます。どうしてもパン生地がゆるいときには粉を足したり、反対にパン生地が固い場合は水を足したりしてください。最終的にこねが十分にできているかどうかは、グルテン膜のチェックとこね上げ温度の確認によって判断します。こね上げ温度は、基本的に24〜30℃が目安です。この温度から大幅にずれてしまった場合には、その後の発酵時間や室温などで調整を行います。

パン生地の基本のこね方
◎パン作りの目的で変わるこね方
同じ「こねる」という工程でも、パン作りの目的によってアプローチの仕方が異なります。パンをこねるのには、手ごねの他に機械を使う場合もあります。手でパン生地をこねると、パン生地の状態をダイレクトに手で感じ取ることができます。そのため、微調整がしやすくパン作りの技術が身につきやすくなります。また、人によってはパン生地の心地よい感触が、癒しになったりストレス発散に役立つ場合もあります。個人でパン作りをするときは、パン作りの過程自体を楽しむことが目的のひとつになっているケースが往々にしてあるのです。
 
一方で「パン作りはしたいけれど、面倒だったり力を使ったりする作業は極力避けたい」という方は、パン生地をこねるのにミキサーやニーダーを使うと良いでしょう。実際に、多くのベーカリーや工場では、効率的にパン生地をこねるために機械を使っています。ベーカリーや工場がパンを作る目的は、多くの人に安定した品質のパンを届けて利益を得ることです。機械ごねなら、手ごねにかかる時間と労力を別の作業に充てられるため、効率よく大量のパン生地を仕込むことが可能になります。また、パン生地は小麦粉の種類や材料の違いによってこねやすさが異なりますが、ミキサーやニーダーを使えば、その点をあまり気にせずパン作りに取り組めます。作業者が必ずしもパン作りに精通している必要がないというのも、機械ごねの良いところといえるでしょう。

パン作りの目的で変わるこね方
◎パン生地をこねた後の流れ
パン生地をこね終えたら、パン生地を膨らませる一次発酵の工程へと移ります。一次発酵後は、ガス抜きをして分割と丸めとなります。分割や丸めは、家庭や小規模のベーカリーなら手作業で行う場合が多いですが、製パン工場ではデバイダーやラウンダーといった製パン機械を使用します。
 
当社では、パン生地にやさしく、ロスが少なく、メンテナンスがしやすいデバイダーやラウンダーを扱っています。たとえば、Energy Saving Divider ESD63は、上記の特徴に加えて、タッチパネル式による簡単な操作が可能なデバイダーです。実際にEnergy Saving Divider ESD63を導入した工場では、以前は感覚的に重量を操作していたため特定の人しか操作できなかったのが、タッチパネルでの重量調整と製品呼び出しが可能になり、特定の人でなくても操作ができるようになったとご報告いただきました。

パン生地をこねた後の流れ
◎まとめ
パン生地をこねる理由やこね方についての理解が深まることで、パン作りはより楽しいものになるでしょう。KOKIでは、デバイダーやラウンダーを中心とした製パン機械を取り扱っております。製品に関するご相談は、当社までお気軽にお問い合わせください。

パン生地はなぜこねる?パン作りの目的別こね方を紹介