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製パン工場で使われるデバイダーオイルの役割

2024年1月23日
製パン工場におけるパン作りの現場では、バターなどのパン生地の材料としての用途以外に使う油脂が存在します。そのような油脂のひとつが、製パン機械のデバイダーオイルです。この記事では、デバイダーオイルの役割と種類、選び方についてご紹介します。
◎製パン工場におけるデバイダーオイルの役割
製パン工場でのパン作りは、効率的に大量のパンを製造するため、多くの工程を製パン機械によって行います。そのなかで、パン生地を分割する工程では、デバイダーという製パン機械が使われます。分割は、家庭やベーカリーではスケッパーやカードといった道具を使ってパン生地を切り分けますが、デバイダーは製造するパンの大きさにあったポケットにパン生地を入れることで分割していきます。
 
家庭でパン作りをする場合は、分割の際にスケッパーやカードに油脂を塗ることはありませんが、デバイダーはカッター部分にデバイダーオイルを塗布します。デバイダーオイルは、「分割機用離型油」と呼ばれることもあります。離型油とは、パン生地の材料に使う油脂とは違って、パン生地が鉄板や型から離れやすくするために塗布する油のことです。製パン作りにおける離型油は、成形を終えたパン生地を鉄板にのせたり、パン生地を型に入れる前にも使います。
 
デバイダーオイルは、高度な油脂加工技術により酸化安定性が高く、分割機への馴染みが良好で作業性に優れた製パン機械専用のオイルです。パン生地が機械に付着するのを防ぎ、パン生地と機械の摩擦を生じにくくすることでパン生地へのダメージを軽くするのが、デバイダーオイルの役割です。製パン機械へのパン生地の付着が少なくなれば、機械を衛生的に保てるので清掃の負担が減ったり、機械の故障を防ぐことにつながります。機械に付いたパン生地はロスになってしまうので、パン生地の付着を減らすことは、製パン企業の損失を減らすことにもなるのです。
製パン工場におけるデバイダーオイルの役割
◎製パン工場で使われるデバイダーオイルの種類
デバイダーオイルの種類としては、流動パラフィンを使っているものと植物油タイプのオイルがあります。流動パラフィンとは、石油原油を蒸留などの高度な精製過程によって不純物を徹底的に除去した炭化水素類の混合物のことです。リキッドパラフィン、ミネラルオイル、ホワイトミネラルオイルなどと呼ぶこともあります。流動パラフィンは耐熱性があり、酸化しにくいのが特徴で、ベビーオイルなどの化粧品や医薬品の基剤や溶剤としても使われます。流動パラフィンのデバイダーオイルは無色透明で、においも味もありません。流動パラフィンは厚生労働省の食品添加物成分規格により、製パン作りでのデバイダーによる分割及び焼成する際の離型の目的に限って使用が認められています。
 
流動パラフィンのほかによく使われるデバイダーオイルには、植物油タイプのものがあります。植物油のメリットは、食品としても使えるため製パンに使っても安全性に問題がないことと、潤滑性が高くなることです。その一方で、植物油は一般的に酸化しやすいデメリットがあります。しかし、現在流通している植物油タイプのデバイダーオイルのなかには、酸化安定性のある植物油脂を使用し、酸化や粘着性物質やゴム状物質の形成を遅らせる天然抽出物を添加するなどの工夫により、酸化安定性を改善している製品もあります。

製パン工場で使われるデバイダーオイルの種類
◎製パン機械に適したデバイダーオイルの選び方
製パン工場などでは、機械に適したデバイダーオイルを選択することが大切です。そのため、コストだけを重視して、安いデバイダーオイルを選ぶようなことは機械にとってよくない場合があります。機械に合わないオイルは、故障や機械の寿命を縮めてしまう原因になり得ます。基本的に、製パン機械を扱うメーカーでは製パン機械によって推奨している専用のオイルがあるので、きちんと守って機械と相性のよいデバイダーオイルを選ぶようにしましょう。
 
デバイダーオイルを選ぶポイントとして、まず重要なのが酸化安定性が高いかどうかという点です。酸化安定性とは、油の酸化作用の受けにくさを示す尺度です。油は、空気中の酸素に触れたり、日光や蛍光灯などの光に当たると酸化してしまいます。酸化により劣化した油は、変色や不快なにおいの原因になることがあります。もしも劣化したデバイダーオイルを使い続ければ、製パンの品質に影響を及ぼす危険性が出てきます。最悪の場合は、食中毒などの健康被害を引き起こすことも考えられます。
 
酸化安定性が高いデバイダーオイルを選ぶことは、安全な製パンを消費者に届けるために必要なのはもちろんのこと、機械にとっても重要です。酸化した油は、粘着性物質やゴム状物質を形成することがあるので、機械に付着した油がこのような状態になると清掃するのが大変になります。デバイダーオイルの酸化安定性が高ければ、デバイダー自体が汚れにくくなり、清掃の手間を減らせます。機械への負担が軽くなれば、故障などのトラブルが起こりにくくなります。
 
KOKIでは、高精度小型分割機のEnergy Saving Divider ESD42や、パン生地に適したやさしい分割を追求した、Universal Servo Divider USD 63/84/105 Seriesなどのデバイダーを取り扱っています。そしてそれらのデバイダーには、本来の性能で使用していただくために当社が指定しているデバイダーオイルがあります。当社で指定しているデバイダーオイルは、MTCや乳化剤を一切使わず、食用菜種油やクエン酸、ローズマリー抽出物を原材料として作られたオイルです。特徴としては、優れた酸化安定性を持つほか、デバイダーにとって適した粘度であること、極性基の数が多いため機械稼働部への摩耗が少ないことがあげられます。

製パン機械に適したデバイダーオイルの選び方
◎まとめ
デバイダーオイルは、製パン工場などで稼働するデバイダーへのパン生地の付着を防ぐために使われます。デバイダーの性能や耐久年数は、どのようなデバイダーオイルを選択するかで大きく変わります。製パン機械に関するご相談等は、当社までお気軽にお問合せください。

製パン工場で使われるデバイダーオイルの役割