パン生地の粉付けは、生地が作業台に付くのを防ぎ、乾燥からパンを守るため重要な工程です。しかし、粉付けは手作業でも調整が難しく、製パン機械では高度な技術が必要です。この記事では、粉付けのよくある失敗と、工場で粉付けの役割を担う製パン機械についてご紹介します。
◎パン生地の粉付けによくある失敗
パン生地の粉付けによくある失敗は、使用する粉が多かったり偏ったりすることです。パン生地が作業台や手にくっつくのを防ぐため、多めに打ち粉を振ってしまいます。全体が粉で覆われるほど振ってしまうと、パン生地に練り込まれ食感が硬くなるのです。最初に準備した粉と水分のバランスが変わり、発酵や焼き上がりに大きく影響します。成形時、生地のとじ目に粉が付いてしまうことにも注意が必要です。とじ目が開いてしまうため、発酵が進まずに膨らまなかったり焼成時に生地同士がくっつかず穴の空く原因となったりします。
粉付けが偏っていないかどうかも、十分に確認しましょう。粉の付いていない部分があると、焼き上がりにムラが出てしまいます。ただし、ハード系のパンは多めに粉付けしてから作業を進めましょう。水分量が多くやわらかい生地の場合は、台や手にしっかりと粉を振れば作業しやすくなります。パンの種類によって粉の量は異なるため、適正量を習得するには工夫と経験の積み重ねが必要となります。
粉付けの目的は、パン生地の粘着性に対応して作業効率を高める点です。粘度が高くまとまらない場合は、生地が捏ね不足や水分過多となっていないか原因を確認してください。粉付けを最小限にすることは重要ですが、作業性を向上させるためには、適切な量を判断して実施する必要があります。作業が効率的に進めば、パン生地の触りすぎによるダメージを小さくすることが可能です。粉付けは、丸めや成形によるストレスから生地を保護し、寝かすときの乾燥や湿気による影響も小さくしてくれます。慣れるまでは調整が難しいですが、パン作りを楽しむうちに、感覚としてつかめるようになるでしょう。
◎パン生地づくりに必要な粉付けのポイント
家庭でのパン作りに必要な粉付けのポイントは、生地の状態に合わせて粉の量を見極めることです。パン作りは気温や湿度の影響を受けるため、条件は日々異なります。パン生地の状態を判断し、手に付かない程度の粉を振るようにします。粉付けしなくてもスムーズに作業が進められる場合には、使用しなくてもかまいません。粉付けの際は、パン生地と同じ粉を作業台にひとつまみ振り薄く均等に広げます。このとき、台が薄くおおわれる程度の量にしてください。パン生地を伸ばすときは、綿棒や生地にも粉を振ります。一部に粉がたまってしまう場合は、刷毛で落とすようにします。粉付けは、強力粉か準強力粉の使用がおすすめです。強力粉は硬質小麦からできており、挽いたときに砕けにくくなっています。小麦を形作る外殻と胚乳部分が硬いため、粒子が粗く大きくなるのです。小麦粉は、粒子の大きい方がダマはできにくく、強力粉を使用すれば均一に広げやすくなります。薄力粉は細かい粒子で吸湿性が高いため、パン生地に吸い付きやすくなっており、粉付けには不向きといえるでしょう。
手作業では目視しながら作業できる分、パン生地全体に粉をまぶすことが可能です。工場では多種多様な生地を扱うため、製パン機械を活用します。しかし、余すところなく粉付けするには、製パン機械に高度な性能が求められます。KOKIの場合、製パン機械の丸目機出口に装置が取り付けられ、生地玉は散布される粉を浴びながら転がっていきます。その結果、生地玉全体にまんべんなく粉が付くのです。粉付けは、パン生地を寝かすときに環境の影響を受けにくくするという重要な役割も担っています。粉付けが不十分な場合は、製パンラインで生地玉同士や搬送ベルトへの付着というトラブルにつながりかねません。製パン工場では、粉付け用としての粉を確保しているケースもあります。
◎KOKIで製造されている製パン機械・回転シュートの特徴
KOKIでは、ドラム型粉付け機の回転シュートを開発・販売しています。回転シュートは周囲への飛散を防ぎながら粉付けできる製パン機械となり、丸目機 Cup Cone Rounder CCR12などにオプションで装着できます。製パン機械のラウンダーで丸められたパン生地が、ドラム内のグリップバーによって回転しながら粉が付いていく仕組みです。小玉から中玉に対応できるシングルタイプは、ドラムとガイドを組み合わせることで均一な粉付けが可能です。ダブルドラムは2本つなげた構造で、入口と出口側の回転を変えています。逆回転しているドラムを通るため生地玉も反転し、均一に粉が付くのです。工場では多数のパンを扱うため、粉付けの消費量も多くなります。製パン機械によって粉の必要量が調整でき、食材のロス削減にもつながります。
ドラム型粉付け機の使用事例として、学校給食の製パン工場が丸目機に回転シュート付きを導入しました。回転シュートはオプションとして装着できるため、スペースの確保に悩む必要がありません。従来の製パン機械では粉付けが悪く、プルファー内でパン生地が開いてしまい、出口でつまりが発生していました。粉付け機の形状によっては、パン生地が通るときに生じるわずかな風で、粉が飛散してしまうケースも少なくありません。回転シュートを付けた丸目機に変更後は、少ない粉の量で効率的に粉付けが可能となり、トラブルは改善しています。KOKIの製パン機械は、さまざまな大きさの生地玉に対応でき、粉が飛散することによる清掃の負担も緩和できます。作業効率が向上し、衛生面や従業員の負担軽減にも配慮されています。
◎まとめ
粉付けはパン生地づくりの作業効率だけでなく、パン生地の質にも影響します。そのため工場では、製パン機械に高い技術が求められています。KOKIでは、ドラム型粉付けの製パン機械・回転シュートを開発しています。粉付けに必要な製パン機械については、当社までお気軽にお問い合わせください。