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パン生地の最終発酵に欠かせないファイナルプルファー

2022年5月10日
パンは、ケーキやパスタなど他の小麦製品と違い、酵母を加えて発酵させるという特徴があり、発酵の作用によって、ふんわりと生地がふくらみ、やわらかい食感の美味しいパンが焼きあがります。パン生地を上手に発酵させられるかどうかは、味や見た目など出来上がりの良し悪しを左右するため、パンの製造において欠かせない工程です。
パン生地の発酵は、適した温度と湿度といった環境や時間に気を配る必要があるため、製パンの現場で使用されているのがファイナルプルファーと呼ばれる製造機械です。今回はファイナルプルファーについて、その特徴や種類などをご紹介します。
◎ファイナルプルファーとは
ファイナルプルファーは、発酵の工程で使用する製パンの製造機械で、日本ではホイロと呼ばれることもあります。ひとことで発酵の工程といっても、パン作りの工程で発酵は1度だけ行われる工程ではありません。
 
家庭でパンを作る場合とベーカリーやパン工場で製パンを行う場合、作るパンの種類などによっても発酵の回数は異なりますが、ベーカリーやパン工場でパンを製造する際は、こねたり分割したりといった生地へ力を加える作業と休ませて発酵させる工程を3回繰り返すのが基本です。
 
まず材料をまぜて生地をこねたあとに1回目の発酵を行います。続いて一次発酵した生地を成形する生地の量ごとに分割し、丸めてから2回目の発酵を行います。二次発酵が終わったら、発酵で発生したガスを均一にするためにパン生地をのばしてガス抜きをし、作るパンの種類に合わせて成形します。成形したパン生地は、型に詰めたり鉄板に置いたりしてから、焼き上げ前に3回目の発酵を行います。
 
ファイナルプルファーは、ファイナルという言葉のとおり、発酵の工程のなかでも3回目の最終発酵で使用される機械です。焼き上げ前の最終発酵で上手に発酵できるかどうかは、パンの出来上がりに大きく関わるため、製品として安定した品質のパンを焼き上げるには、温度や湿度を厳密に管理して最終発酵させることが大切になります。最終発酵で発酵させすぎると、酵母が発酵するピークを過ぎてしまい、パンのふくらみが悪くなったりしぼんでしまったりすることがあり、反対に発酵が足りないと、生地の伸展性が足りず、焼き上げるときに生地がさけたりふくらまないパンになったりすることがあります。ベーカリーやパン工場では、ファイナルプルファーを使用することで最終発酵に適した環境を整え、安定した品質のパンを製造できるようにしています。自宅でパンを作る場合は、オーブンの発酵機能を使用したりお湯の蒸気を鍋にためて活用したりすることで、上手に最終発酵させることができます。

◎ファイナルプルファーの種類
ファイナルプルファーには、ベーカリーなどで使用する中型サイズとパン工場などで使用する大型サイズのものがあります。中型サイズのファイナルプルファーは、大型冷蔵庫のような縦長の長方形をしており、なかにいくつもの段がついていてパン生地をのせた鉄板をさしこむことができる仕様になっています。
 
ドア部分にはガラス窓がついていて、パン生地が発酵している様子を確認できるものもあります。パン工場で使用する大型サイズのファイナルプルファーは、製造ラインのなかに組み込まれている機械が多く、パン生地をのせた鉄板や食パンの生地を詰めた型ごと、庫内に搬入して最終発酵できる仕様になっています。設定した一定の時間ゆっくりと移動して均一の環境で発酵を行い、発酵が終わると焼き上げの機械までラインに流れて移動します。

◎最適なファイナルプルファーとは
ファイナルプルファーを選ぶ際に大切なポイントは、最終発酵に適した環境を作り出せるという点です。食パンや菓子パンなどのパン生地は、温度が38℃で湿度85%の環境が最終発酵に適しており、フランスパンのようなハード系のパン生地は温度が32℃で湿度が75%の環境が適しているなど、パン生地の種類によって最適な温度や湿度が異なります。
 
最終発酵の際は、このような環境に一定の時間パン生地を置いておくことで上手に発酵させられるため、厳密な温度管理や湿度管理ができるファイナルプルファーを選びましょう。ファイナルプルファーの庫内でも、どの箇所に置いても同じ環境で発酵させる必要があるため、庫内が均一な環境を保てるよう設計されている機器を選ぶことも大切です。
 
また、生地に衝撃がかからないファイナルプルファーを選ぶこともポイントになります。最終発酵しているパン生地は、ショックや衝撃に弱いという特徴があり、少しの衝撃でもしぼんでしまうことがあります。庫内への設置や発酵後の移動がスムーズにでき、生地へのショックを最小限におさえられる設計をしている機器を選びましょう。

◎まとめ
ファイナルプルファーは、パンを焼き上げる前の最終発酵の工程で使用する、製パンの製造機械です。最終発酵は、パンの出来上がりを左右する工程なので、ファイナルプルファーを使って温度や湿度の管理を徹底し、安定した環境で行うことが大切になります。中型から大型のファイナルプルファーがあるため、ベーカリーやパン工場などパンを生産する規模に合わせて機器を選んでください。
 
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