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リッチな生地をミキシングする製パン機械縦型ミキサー

2022年6月28日
製パンの製造機器のひとつに、ミキサーという機械があります。
パンになる材料をこねて生地を作る、パン作りの最初の工程で使用する製パン機械です。ミキサーにもさまざまな種類があり、使用するミキサーによって製造できるパンの量や作りやすいパン生地などが異なります。この記事では、ミキサーのなかでもベーカリーなどの店舗で使用されることの多い縦型ミキサーについて、その特徴や選び方などをご紹介します。
◎ミキシングで使用する縦型ミキサー
ミキサーは、小麦粉や水、酵母、砂糖、バターといったパンの材料をこねてパン生地を作る、ミキシングと呼ばれる工程で使用する機械です。家庭でパン作りをする際は、ミキシングを手作業で行うか、もしくはホームベーカリーを使用することが多いかもしれません。一方で、パン屋さんやパン工場などでは、ミキサーを使用することで作業の効率化をはかり、製造できるパンの量を増やしています。
 
ミキサーには、縦型ミキサーのほかにもスパイラルミキサー、横型ミキサー、スラントミキサー、スタンピングミキサーなどの種類があります。日本のパン屋さんでは、縦型ミキサーを使用していることが多いですが、縦型ミキサーとスパイラルミキサーの2つを使用しているパン屋さんもあるようです。
 
縦型ミキサーは、大きめのミキシングボウルと材料をこねるためのバーをセットし、スタートすると自動でバーが動いてボウルに入れた材料をこねる仕組みになっています。縦型ミキサーに取り付けるバーはフックと呼ばれていて、アルファベットのJのような形をしています。縦型ミキサーには、フック以外の器具に取り替えることも可能です。生クリームを泡立てるホイッパー、クッキーやパウンドケーキなどの生地を混ぜるのに適したビーターと呼ばれる平らな器具を取り付けることができ、パン作り以外の用途に使用することも可能です。混ぜる速度は低速から高速まであり、用途に合わせて混ぜる速度を変えて使用します。

◎縦型ミキサーの特徴
パン作りのミキシングで大切なのは、パン生地の伸びを良くすることや吸水率が良い生地にすることです。ミキシングの際にしっかりこねるなら、グルテンが形成されて強化され、伸びの良い生地になります。伸びの良い生地は、焼き上げるときにしっかりふくらんでボリュームが出て、きめの細かいふんわりとした食感のパンを作ることができます。また吸水率の良いパン生地は、生地に水分を多く含んでいるので、しっとりもちもちとした食感のパンになるのです。
 
縦型ミキサーは、フックが回転しながら動いて生地をこねる仕組みですが、フックが回転する際に、ミキサーボウルの内側にパン生地をたたきつけるように動くのが特徴です。縦型ミキサーでは、まず低速で小麦粉や水を混ぜてグルテンを作ってから、高速に変えて生地をたたいてこねる動きをすることによって、伸びの良い生地を作ることができます。
 
縦型ミキサーにはこのような特徴があるので、菓子パンなどふんわりとやわらかいパンになる、リッチな生地といわれるパン生地を作るのに適しています。日本では、やわらかいパンが好まれる傾向があるため、日本のパン屋さんでは縦型ミキサーが使用されることが多いです。
 
一方で、フランスパンなどハード系のパンになるリーンな生地といわれるパン生地は、こねすぎないで作る生地のため、スパイラルミキサーが適しています。スパイラルミキサーは、フックとボウルの両方が回転しながら動くのが特徴で、生地をたたきつける動きはなく、生地を練って休んでという動きを繰り返してパン生地を作ります。ミキサーを2つとも持っていない場合は、縦型ミキサーを低速で動かして、こねすぎないようにしてリーンな生地を作ることも可能です。
◎縦型ミキサーの選び方
縦型ミキサーは、ミキサー全体のなかでは中型の機器になりますが、さまざまなサイズの縦型ミキサーが製造販売されています。卓上用の小さな縦型ミキサーから、コンパクトな20リットル用、大型サイズの300リットル用などがあり、店舗の広さや製造するパンの量に合わせて選ぶことができます。リットルではなく、コートという単位で大きさが表示されている縦型ミキサーもありますが、1コートは約1リットルです。
 
縦型ミキサーは、機器によって操作性や機能性にも違いがあります。ミキサーにミキシングボウルを設置する際は、ハンドルを回してボウルを持ち上げ手動でセットするものが一般的でしたが、スイッチ1つで自動昇降でき、簡単に設置や取り外しができる縦型ミキサーもあります。またボウルを設置する位置が高めになっている縦型ミキサーは、かがんで作業しないでよいため、作業者の負担を軽くすることができます。さらに、操作盤やスイッチがタッチパネルになっているものや、回転時間をタイマーで管理できる機能があるミキサーもあります。ミキシングのとき温度管理が必要な生地を扱う場合には、ボウルに湯煎器を取り付けられるミキサーなら、氷水で生地を冷やしながらミキシングすることも可能です。たたいてこねる動作によって伸びが良い生地を作ることができますが、たたく動作で出る音が大きく、近隣から苦情が出るケースもあるため、店舗の場所によっては、静かな運転音でしっかりこねることができるかも、縦型ミキサーを選ぶ際のポイントとなります。
 
縦型ミキサーは安全性にも注意する必要があります。ボウルをセットしたあとに安全カバーをかぶせて、カバーがセットされていないと動作しないといった安全装置が付いているミキサーや、網目状になっていないカバーを使用しているミキサーもあります。さらにステンレスなど使用している部品の素材にも注意し、塗装がはがれてパン生地内に混入しやすくないか、しっかりカバーして異物混入を防ぐことができるかといった安全面での機能も考慮に入れましょう。
◎まとめ
縦型ミキサーは、パン屋さんなどで使用されることが多いミキシングの機械です。フックを使って生地を叩きながらこねる動作ができるため、伸展性や吸水性の良い生地になり、ふんわりとした柔らかいパンを焼き上げることができます。KOKIでは、効率的に作業しながら美味しいパンを作ることができる製パンの製造機械の開発に取り組んでいます。パンの製造機械に関することは、お気軽にお問合せください。