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パン生地を成形する際のポイントと注意点

2022年12月13日
一次発酵が終わりパン生地を休ませた後は成形を行います。同じパン生地でも、成形の工程によりオリジナリティあふれるさまざまなパンが生まれます。この記事では、パン生地の成形パターンやポイントをご紹介します。
◎パン生地の成形パターン
成形とは、パン生地が焼き上がった際の「最終的な形に整える」工程のことを言います。パン生地の生成には、大きくわけると「丸め・包む・長く伸ばす・平面に伸ばす」といった4つのパターンがあります。
 
まず1番基本的な「丸めの成形」は、丸パンやカンパーニュなどに用いられます。ガスを抜いた後は一次発酵と同様に、パン生地の表面を張らせながら丸く形を整えていきます。さらにコッペパンの様な楕円の丸めの場合は、上下から折りたたむように綴じた後にパン生地をしっかり密着させましょう。
 
「包む成形」は、クリームパンやカレーパンを作る際に用います。生地の外側は薄めに伸ばしつつ、中央は少し厚めになるようにします。そして中央にフィリング(具材)を置き、少しずつ回すようにしながらパン生地を引っ張り包み込みます。包むフィリングによってパン生地を広げる厚さの調整が必要となったり、フィリングの油分が付着して綴じにくくなることもあるので注意が必要です。
 
ロールパンやツイストパンのようにパン生地を巻いたり、またはねじりを入れたりする場合は「長く伸ばす成形」をします。楕円の丸めを作るときのようにパン生地を上下から折りたたみます。ロールパンを作る際はクレープのように片方を少し開いた形に折りたたむようにすると、巻くときの仕上がりが綺麗になるでしょう。そこから更に半分に折って細くしてからパン生地を伸ばし巻いて形を作ります。
 
ピザなどを作る際は、厚みを均一にして「平面に伸ばす成形」を用います。均一に伸ばすコツはめん棒に力を入れすぎないことです。指先だけではなく手のひらで大きく転がすようにしましょう。そして基本的にはパン生地の中心から上下、中心から左右に伸ばしていきます。めん棒を生地の上で往復させてしまうと、パン生地が傷む原因となるので注意しましょう。
◎パン生地を成形する際のポイント
成形作業をしやすくするためには、使用する打ち粉(手粉)の量に気を付けましょう。打ち粉とはパン生地が手や作業台にくっつかないように、生地や作業台に薄くかつ満遍なく小麦粉をふるうことを言います。
 
例えば丸めの場合は、パン生地を丸める際に作業台と触れる面の粘着性が軽く残る程度に粉をふります。表面の生地には、丸めるときに生地が手にくっつかない程度の粉で十分です。この際、打ち粉の量が多すぎると生地が作業台の上で滑ってしまい丸まらないので気を付けましょう。また包む成形時には、パン生地の内側(具材を包む側)に粉が入り込まないようにすることも大切です。粉が入ると、焼き上がりの際も粉っぽさが残ってしまいます。
 
仕上がりを綺麗にするためには、パン生地に張りを持たせることが必要です。パン生地を成形する際は、なかがフンワリ表面はピンと張った状態にすることが特に大事になってきます。張りを持たせて丸めると、発酵したときに発生する炭酸ガスが断面から逃げることがありません。そうすることで、ふっくらとしたボリュームが出て綺麗に焼き上がります。そのためにも、成形時のパン生地の綴じ目はしっかりと密着させて、必ず下にします。密着していないと焼成時に上に膨らまずに横に広がってしまったり、包む成形の場合は、なかの具材が溢れてしまったりする危険性もあります。そのため、綴じ目の位置が焼き上がりの見た目を左右するとも言われています。
 
パン生地を休ませつつ成形することも、スムーズにパン作りをする上でも意識したい大事なポイントです。パン生地は、伸ばそうとすると縮もうとする性質を持ちます。分割したほかのパン生地を成形している間に若干縮んだパン生地は、次に伸ばそうとする際に伸ばしやすくなります。ここで休ませずに無理に伸ばし続けてしまうと、グルテンが切れて膨らみにくくなってしまうこともあるので気を付けましょう。
 
スピード感を持って成形することも仕上がりに差が出るポイントです。パン生地は成形している最中も発酵は進んでいきます。時間が経つにつれて生地に張りがなくなりへたってしまい、焼き上がりもパサついて香りもあまり感じられなくなってしまいます。また触りすぎるとパン生地の表面が傷んでしまい焼き上がりもボコボコになってしまうため、もし生地がべたつくようであれば打ち粉を足すようにしましょう。

◎パン生地を成形する際の注意点
生地の成形時は、仕上がりを良くするためにも、パン生地が乾燥しないようにしましょう。乾燥すると生地がシワシワになっていまい、焼き上がりが固くなってしまう原因となります。特に冬場はあっという間に表面が乾燥してしまうので注意が必要です。
 
成形待ちのパン生地は、オーブンシートなどを掛けておいたり、タッパーに入れて作業時にひとつずつ取り出したりして乾燥から守ってあげることが大切となります。万が一、成形中にパン生地が乾燥してしまった際は、水分ではなく少量のバターやショートニングなどの油脂を使用します。ここで失った水分を足そうと水を吹きかけてしまうと生地のべたつきや、焼き上がりに表面が凸凹になる原因となりやすくなります。
 
ほかにも、二次発酵や焼成後にどれくらいパン生地が膨らむのかをイメージしながら成形することも必要です。焼き上がる頃には、成形した時点よりもパン生地が膨らんでいます。そのためリング状のようにアレンジする際は、生地が膨張することも考慮して太さや形作りをしておきましょう。膨らんでも穴が塞がらないように、事前に大きめの輪を作っておくこともポイントです。

◎まとめ
1種類のパン生地から成形パターンを変えるだけで、数種類のパンが作れます。
ポイントや注意点を確認しながら、ぜひアレンジしながら自分のお気に入りのパンを見つけてみてくださいね!