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手ごねに代わるミキサーを家庭用から製パン工場用まで詳しく解説

2023年6月6日
パン生地をこねる作業は、どうしても時間と労力がかかってきます。手ごねがパン作りのネックになっている方は、ミキサーを使えばそれらの問題が解消されます。この記事では、ミキサーを使うメリットや、家庭用から工場用まであるミキサーの種類についてご紹介します。
◎パン生地づくりで時間と労力がかかる手ごね
小麦粉や水、塩、イーストなどの材料を混ぜ合わせて、パン生地を作る工程をミキシングといいます。ミキシングの目的は、材料を均一に混ぜることとグルテンを作り出すことです。とくにふわふわとした食感のパンを作る場合には、発生する炭酸ガスを逃さないためにも、パン生地を十分にこねてグルテンを形成させる必要があります。
 
ミキシングには、手ごねと機械ごねの2つのやり方があります。手ごねのメリットは、パン生地の状態を把握しながら作業が進められることです。常にパン生地の様子がわかるので、その都度こね方を変えたり温度調節をしたりと、最適な対応を取ることができます。パン作りが好きな人のなかには、パン生地をこねることが息抜きやリフレッシュになるという人もいます。
 
その反面、パン生地を手でこねるのは時間がかかり力も使います。材料の配合によっては、パン生地がベタついて扱いが難しいこともあります。パン作りはしたいけれど「あまり時間や労力をかけたくない」「パン生地が手にくっつくのが嫌」といった不満を持っている方は、ミキサーを使うことをおすすめします。

パン生地づくりで時間と労力がかかる手ごね
◎パン生地づくりでミキサーを使うメリット
ベーカリーや工場などの製パン作りの現場では、材料を混ぜてパン生地をこねるときミキサーを使う場合がほとんどです。なぜなら、数キロから数十キロを超える大量のパン生地を仕込むのに、すべてを手でこねるというのは現実的に不可能だからです。そのため、現代のパン職人には、機械を使いこなすことも求められる技術のひとつといえるでしょう。
 
ミキシングには、つかみ取り段階、水切れ段階、結合段階、最終段階、麩切れ段階、破壊段階の6つの段階があります。おいしいパンを作るためには、基本的に4つ目の最終段階のタイミングでミキシングを完了させるのがベストです。この段階になると、グルテンがしっかり作られて、パン生地は滑らかで弾力がある状態になります。ミキサーを使う場合は、高速でパン生地をこねることで最終段階まで到達させます。しかし手ごねの場合は、こね続けるのにはかなりの力がいるため、実際は手前の結合段階で終了する場合も多いようです。
 
たとえば、食パンや菓子パンを作るためには、パン生地をしっかりこねる必要がありますが、ミキサーに任せてしまえば力は必要なく、稼働している間は別の作業に専念できます。パン作りの際にミキサーを活用すれば、手でこねる場合と比べて気軽にパン作りを楽しめるでしょう。

パン生地づくりでミキサーを使うメリット
◎家庭でパン生地をこねるのに便利な卓上ミキサーの種類
家庭向けの卓上ミキサーは、スタンドミキサーとニーダーがあります。ベーカリーでも、試作などで少量のパン生地を作る場合や、フィリングや仕上げに使う上掛け生地などを仕込む場合には、卓上タイプのミキサーが活躍します。
 
多くのスタンドミキサーには、フックのほかにホイッパーやビーターが付いているので、これらを付け替えればお菓子作りなどにも使えます。ニーダーはこねることに特化した機械で、機能がシンプルで使いやすいのが特徴です。パン以外にも、うどんやパスタをこねるのにも使用できます。スタンドミキサーやニーダーは、メーカーや機能などによって多くの種類が存在します。家庭用ミキサーの購入を検討している方は、予算や1度に作るパンの量、手入れのしやすさを踏まえながら決めると良いでしょう。
 
ミキサーを使う場合は、手でこねるときのようにパン生地の状態を常時把握するのは困難です。そのため、パン生地がこねあがった段階でグルテン膜ができているか必ず確認してください。場合によっては、温度管理をしたり、仕上げとして手でこねたりしたほうが良い場合もあります。

家庭でパン生地をこねるのに便利な卓上ミキサーの種類
◎ベーカリーや製パン工場で使われるミキサーの種類
ベーカリーでの普及率が高いミキサーのひとつが、縦型ミキサーです。アルファベットのJのような形をしたフックが、ボウルにパン生地を叩きつけるように回転することで材料を混ぜていきます。しっかりとパン生地がこねられるので、食パンやコッペパンなどのふんわりとしたやわらかいパンを作るのに向いています。しかし、縦型ミキサーにはパン生地を叩きつける際の音が大きいというデメリットがあります。
 
縦型ミキサーによる騒音を回避するために、スパイラルミキサーを導入するベーカリーもあります。スパイラルミキサーの特徴は、フックとボウルの両方が回転することです。らせん状のフックは、パン生地を巻き込むように混ぜ、離れる動作を繰り返します。そのため、パン生地がこねっぱなしになる縦型ミキサーと比べて、摩擦による温度の上昇を防ぐことができます。スパイラルミキサーは縦型ミキサーよりもパン生地に優しいので、フランスパンのようなハード系のパンを作るのに適しています。
 
ベーカリーでは、縦型ミキサーかスパイラルミキサー、あるいは併用して使う場合がほとんどですが、なかにはスラントミキサーやアートフェックスミキサーという珍しい種類のミキサーを置いているところもあります。
 
製パン工場では、横型ミキサーという大型のミキサーが使われます。1度にまとめて大量のパン生地を仕込むことが可能で、なかには200キロものパン生地を扱えるミキサーもあります。箱型の機械のなかで横向きに設置されたパン生地を混ぜるためのバーのことをアジテーター、アジテーターとボウルのすき間のことをクリアランスといいます。アジテーターはメーカーや種類によって、Y字のように3本あるものや、2本のものがあります。製パン工場では、パンの種類やその時の環境に合わせてクリアランスやパン生地を混ぜる速度、こね時間を調整しながらミキシングをしています。

ベーカリーや製パン工場で使われるミキサーの種類
◎まとめ
ミキサーを使うことで、手間や時間がかかるミキシングの作業が楽になります。当社では、分割機や丸目機を中心とした各種製パン機械を取り扱っています。製パン機械に関するご相談は、お気軽にお問合せください。

手ごねに代わるミキサーを家庭用から製パン工場用まで詳しく解説