パンといえば小麦粉で作るのが主流ですが、近年では健康や美容の観点から米粉で作るグルテンフリーのパンも注目を集めています。この記事では、小麦粉と米粉の違いや、米粉をパン生地に使うメリットをご紹介します。
◎小麦粉と米粉の基本的な違い
小麦粉は、小麦を製粉して作られています。小麦粉に含まれるグルテンと呼ばれるタンパク質は、水と一緒にこねることで弾力や粘り気をもたらします。グルテンの性質を活用してさまざまな食品に用いられる小麦粉ですが、よくこねられたグルテンには空気の膨張に対応して伸縮する特性があるので、シフォンケーキのように大きく膨らませる料理に適しています。
米粉は、もち米やうるち米などのお米を細かく砕いて作られたもので、粒子は細かくさらっとしています。従来、米粉は上新粉や白玉粉として主に和菓子の材料に使われてきましたが、製粉技術の進歩によって細かい米粉が作れるようになりました。近年よく見られるようにパンや麺類、洋菓子など多くの用途で使われています。米粉は、水に溶けやすくダマになりにくいので、製菓やパン作りはもちろん、ホワイトソースに入れるとヘルシーに仕上がります。米粉を使った食品は、もちっとした食感と、ずっしりと重く食べ応えがあるのが特徴です。
小麦粉と米粉の基本的な違いのひとつは、グルテンの有無です。小麦粉に含まれるグルテンは、米粉にはありません。ほかにも、米粉は小麦粉と比べて油の吸収率が低いので、揚げ物をする際に小麦粉ではなく米粉を使うと、ヘルシーで軽い食感に仕上がります。小麦粉は米粉と比べると、カロリーの差はあまりありませんが、必須アミノ酸の含有量が大きく異なります。米粉は小麦粉よりもタンパク質は少ないものの、必須アミノ酸のバランスが良く、ビタミンB1やビタミンEといった栄養素が豊富で、脂質も少なめです。
◎パン生地で使われる小麦粉と米粉
小麦粉はグルテンの量や性質によって、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉に分類されます。パン作りで主に使われるのは、グルテンを多く含み高い弾性と粘性を持つ強力粉です。なお、中力粉や準強力粉は、水分の少ないフランスパンに使用されることが多いです。小麦粉を使ったパン生地は、グルテンの働きにより大きくふっくらと膨らみます。そのため、焼くとふんわりとしたやわらかい食感のパンに仕上がります。
一方で、米粉を使ったパン生地にはグルテンが含まれていないため、小麦粉ほど膨らみません。米粉は吸水性が高いので、パン生地は水分を多く含んだしっとりもちもちとした食感になります。もっちりとした食感のため咀嚼の回数が増えるため満腹感が得やすいです。米粉は低GI食品なので、米粉を使用したパンは小麦粉のパンに比べて、摂取した場合の消化が緩やかで血糖値の急激な上昇が起きにくいため、健康面を考慮して選ぶ人も多いです。
米粉で作ったパンは、グルテンアレルギーの人でも安心して食べることができます。しかしなかには、米粉100%だけでなく、小麦のグルテンを添加して作られたパンもあります。米粉を使っているからといって完全なグルテンフリーではない場合もあるため、アレルギーがある人やグルテンを避けたい人は都度確認をしましょう。米粉を使ったパンは栄養価が高く、腹持ちも良いことからダイエットに向いているとされていますが、米粉の元はお米なので当然糖分を含みます。糖質制限をしている場合は注意しましょう。
◎パン生地に米粉を使用するメリット
グルテンフリーの観点から、パンに米粉を使うことは最適といえます。小麦粉に含まれるグルテンは、一部の人には消化や免疫系への反応を引き起こす可能性があります。グルテンに敏感な人々やセリアック病を持つ人にとっては、米粉は小麦粉の代替品として一役買っています。普通の小麦粉のパンが食べられなくても、米粉のパンなら安全に楽しむことができるのです。グルテンに対してアレルギーを持っていなくても、ダイエットをしている人や健康的な食事を心がけている人は、米粉で作ったパンがおすすめです。小麦粉を使ったパンを食べるよりも、血糖値や体重管理に配慮した食事設計ができます。
米粉は粒子が細かく水に溶けやすい性質を持っているため、パン生地づくりの際も扱いやすいです。米粉で作るパンは膨らみが小さく、もちもちとした食感が特徴です。独特な食感を生かして、米粉ならではのパン作りを追求してみるのも良いでしょう。米粉は小麦粉よりも流通量が少ないため、価格は高めなのがデメリットです。
◎米粉を使ったパン生地作りのポイント
米粉を使用したパン生地作りにおいては、いくつかのポイントに注意する必要があります。湿度の管理は非常に重要です。米粉は水分を非常によく吸収する性質を持っていますが、乾燥しやすく、対策しないとパン生地が固くなったり、焼成後にひび割れたりしてしまいます。発酵の際はラップや濡れ布巾でカバーするなど、常に保湿を保つことが大切です。
米粉はグルテンを含まないため、小麦粉のような粘り気が自然には得られません。パン生地に適度な弾力を与えて形を保ちたい場合には、ゼラチンやキサンタンガムなどの増粘剤を加えるという方法もあります。焼き時間と温度の調整も重要です。米粉を使用したパンは、小麦粉のパンと比べて焼き上がり時間が長くなることや、焼き温度が異なることがあります。レシピに従って適切に調整して、焼き加減を見極めるようにしましょう。焼成後は十分に冷ましましょう。米粉のパンは、焼き立ての状態ではもちもち感が強く切りづらいことがあります。そのため、焼き上がったパンはすぐに型から取り出し、少し時間を置くようにしてください。しっかり冷ますことで、パンが固まり切りやすくなります。
◎まとめ
米粉を使ったパンづくりは、グルテンフリーなど美容や健康面で大きなメリットがあります。普段は小麦粉を使ってパン作りをしている方は、米粉を使ったパン作りにも挑戦してみてはいかがでしょうか。小麦粉と米粉の違いを比べてみてくださいね!