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パン生地にオリーブオイルを使う際の選び方とポイント

2023年10月10日
パン生地作りに油脂を使う場合、一般的に選ばれるのはバターですが、パン生地を作るのにオリーブオイルを使うのはご存知でしょうか?この記事では、パン生地に合うオリーブオイルの選び方や、使う際のポイントについてご紹介します。
◎パン生地に合うオリーブオイルの選び方
オリーブオイルは、国際オリーブオイル協会(IOOC)が品質によって8つのカテゴリーに分類していますが、日本で流通しているほとんどは「エキストラバージンオリーブオイル」と「ピュアオリーブオイル」の2種類です。オリーブの果実を絞って濾過しただけのものを、バージンオリーブオイルといいます。そのなかでも、酸度が0.80以下の最高級グレードのものだけがエキストラバージンオリーブオイルとされています。エキストラバージンオリーブオイルの特徴は、フレッシュでフルーティーな香りと味わいです。サラダのドレッシングとして使うなど、加熱せずに味わうのに適しています。
 
ピュアオリーブオイルは、精製したオリーブオイルとバージンオリーブオイルをブレンドしたものです。ピュアオリーブオイルというのは日本特有の呼び方で、国際オリーブ協会では「オリーブオイル」と表現しています。そのため、スーパーなどでオリーブオイルのみの表記で売られているものは、多くの場合ピュアオリーブオイルと考えてよいでしょう。ピュアオリーブオイルは、エキストラバージンオリーブオイルに比べて香りや味が控えめで、一般的には焼き物や揚げ物など、加熱調理用の油として使われることが多いです。
 
バージンオリーブオイルは、非加熱用でピュアオリーブオイルは加熱用という線引きをされがちです。しかし実際のところは、どちらを生食しても、あるいは加熱調理をしても問題ありません。たとえば、エキストラバージンオリーブオイルは加熱すると、加熱しない場合と比べて風味は弱まるものの、食品にアクセントを加えることができます。したがって、どちらのオリーブオイルがパン生地に合うかというのは、好みの問題になってくる所もあります。オリーブオイルの風味を活かしたいならエキストラバージンオリーブオイル、ほかの食材の風味を邪魔したくない場合にはピュアオリーブオイルを選ぶのがよいでしょう。

パン生地に合うオリーブオイルの選び方
◎オリーブオイルがもたらすメリット
オリーブオイルには豊富な栄養素が含まれているため、健康と美容に多くのメリットをもたらします。とくに、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸には、さまざまな効果が期待できます。まず、オレイン酸は善玉コレステロール値は下げずに悪玉コレステロール値のみを抑える働きをします。その働きにより、動脈硬化や心筋梗塞、生活習慣病のリスクを低減させる効果が期待できます。また、オレイン酸は腸内環境の改善や便秘解消にも役立ちます。オレイン酸は消化されにくいため、小腸では消化されずに大腸まで届きます。その間に、腸を刺激して排便を促してくれるのです。
 
オレイン酸は、美容にも良い影響をもたらします。オレイン酸は、肌の乾燥を防いだり、シミやそばかすの予防に優れています。オレイン酸に加えてオリーブオイルに含まれるポリフェノールやビタミンEには抗酸化作用があり、細胞の老化を抑えるためアンチエイジングに役立ちます。ビタミンEは、血行を促進してくれるため、疲労回復にも効果が期待できます。ポリフェノールは加熱によって失われやすいものの、オレイン酸やビタミンEは熱に強いため、加熱しても酸化されにくく損失が少なくすみます。そのため、オリーブオイルのメリットはパン生地からも十分に得ることが可能な点にあります。オリーブオイルをパン生地に取り入れる際は、ピュアオリーブオイルよりも純度が高く、オレイン酸が豊富に含まれているエクストラバージンオリーブオイルを選ぶことで、より健康や美容に良い効果が見込めます。

オリーブオイルがもたらすメリット
◎パン生地にオリーブオイルを使う際のポイント
パン生地作りでは、バターをはじめとしてマーガリン、ショートニングといった固形油脂が使われることが多いです。とくに日本人が好むふわふわとしたやわらかいパン生地を作る場合には、バターが欠かせません。バターには可塑性があり、パン生地の伸びをよくする働きをします。バターの油脂がグルテン膜の隙間に入り込んで潤滑油となることで、パン生地がよく膨らんでボリュームのあるパンになるのです。また、バターにはパンにコクと風味を加え、こんがりとしたきれいな焼き色をつける役割もあります。
 
一方で、オリーブオイルには可塑性がないため、パン生地の伸びを良くする働きはあまりありません。たとえば、バターを使うレシピで代用として同じ分量のオリーブオイルを使うと、表面がベタついて油っぽいパン生地になります。そのようなパン生地の状態のまま加熱すると、油が浮いた表面に火が通りやすくなり、パンの外側が固くなりやすいです。ほかにも、ボリュームが不足したり、口どけが悪くなったりすることも考えられます。したがって、本来バターを使うべきレシピでオリーブオイルを使った場合、パンの仕上がりは別物になる可能性が高く、安易にカロリーや脂質、健康面だけを考えてパン生地にオリーブオイルを使うのは危険です。ただし、固形油脂は使わずにオリーブオイルのみを使うパンも存在します。イタリアで生まれたフォカッチャが代表で、チーズや生ハムなどのイタリアらしい食材は、オリーブオイルの爽やかな風味との相性が良いのが特徴です。
 
パン生地にオリーブオイルを使うのであれば、バターなどの固形油脂と併用するのがポイントです。そうすることで、失敗しにくくバターとオリーブオイルのいいとこ取りをしたパンが作れます。パン生地作りにおいて、油脂はある程度パン生地がつながってから入れるのが基本です。しかし、オリーブオイルはこねの後半で入れるとパン生地によく馴染まず扱いづらいため、水と同じタイミングで入れるようにします。

パン生地にオリーブオイルを使う際のポイント
◎まとめ
オリーブオイルは美容や健康によく、パンにフレッシュな風味をつけてくれます。オリーブオイルを使う際は、バターと一緒に使用するのがおいしいパンを作るコツです。パン生地にオリーブオイルを加えることで、普段のレシピとは一味違ったパンを楽しんでみてください。

パン生地にオリーブオイルを使う際の選び方とポイント